ポケットモンスター青 -ノーマルでんきネズミ-
日本を代表するRPGゲーム、ポケットモンスター。
シリーズの累計売り上げは計3億8000万本にものぼり、世界のゲームシリーズ歴代総売り上げとして見ても、あのマリオシリーズを抜いて堂々一位とのこと(2020年時点)。名前通りのモンスタータイトルだ。
そのポケモンシリーズの原点、初代ポケットモンスターはゲームボーイ用ソフトとして1996年に発売された。
「赤」と「緑」の2バージョンを同時発売するという手法は子供ながらに新鮮だった。その後、2バージョンを発売するゲームボーイのソフトが明らかに増えたあたり、やっぱり影響力はデカかったなぁと思う。
当時小学生だった私も例に漏れず、ポケモンがやりたい少年だった。
ただ、我が家のルールとしてゲームは1日40分ほどしかできず、ゲームボーイを買い与えてしまうとプレイ時間のコンロールに歯止めが効かなくなることを懸念されてか、ポケモンはしばらくの間保留案件だった。
そんな中、我が家のルールでもプレイする道筋が発見される。それがスーパーゲームボーイの存在だった。
スーパーゲームボーイはスーパーファミコンの周辺機器の一つで、ゲームボーイ用ソフトをスーファミを通してテレビ画面で遊べるようになる、というもの。
これなら親としてもプレイの様子を視認できるので、安心な訳である。
この画期的なアイテムのおかげで、なんとか我が家でもポケモンが遊べる運びとなった。
三人兄弟の我が家はそれぞれにポケモンの別バージョンが買い与えられることになり、私には「青」が割り当てられた。
「青」は遅れてラインナップに追加されたニューバージョンで、発売当初は特定の雑誌上の通販でしか買えなかった。しかも数量限定。
これもなかなか特殊な商品展開である。さすがポケモン。
我が家はゲームショップで中古の青版を買ってもらったのだが、上記の独特の販売方法もあり、人知れず「青版のオーナー」という特別感をこっそりと味わっていた。
ポケモンは数多くの仲間から旅のお供を決めて一緒に冒険するゲームだ。
その性格上、人それぞれで本作に対する思い出や思い入れのあるポケモンはガラリと変わるだろう。
私のプレイスタイルは「一度手持ちになったやつらは基本的に最後まで連れて行く」というものだった。割とすぐ愛着が湧くタイプだ。
最初に仲間にしたコラッタ、ポッポ、キャタピーも最後までしっかり育てて、殿堂入りまで連れて行った。
新しいポケモンたちと道すがら出会うたび、そろそろ他のやつに変えてみてもいいかな?とは思うのである。けどいいタイミングで進化しちゃうから、結局より一層愛着が湧いて最後まで連れて行っていた。
子供の私にとって、進化するポケモンは姿なんか関係なく全員かっこよかったのだ。変身はズルい。
ポケモンにはそれぞれ、自分なりに考えた「キメ技」を設定していた。
御三家のうちの一匹、リザードンには「かえんほうしゃ」、ピジョットには「そらをとぶ」、バタフリーには「サイケこうせん」といった具合に。
数字上の威力というより、独断と偏見による必殺技らしさを優先したチョイスだ。
ラッタにも「ひっさつまえば」というキメ技を設けていた。威力も申し分なく、何より「ひっさつ」という言葉の響きがいい。
ただ、プレイするうちに一つのことが気になりはじめる。
ピカチュウの存在だ。
いわずもがなポケモン全体を代表するシンボルのような存在で、アニメや企業広告などにも引っ張りだこ。
知名度ダントツNo.1のポケモンの顔である。
ピカチュウの世間への露出っぷりはわりと早く、リアルタイムにゲームをやっていたころから彼の特別感はなんとなく感じていた。
そんなピカチュウはネズミをモチーフにされている。
うちのラッタもまさしくネズミポケモン。
そう、キャラ被りである。
しかも向こうは電気属性というプラスアルファがある上、とてつもない人気を誇る。
子供の私にはこの状況が気に入らなかった。
ピカチュウが「ネズミポケモン」というポジションを独占しているかのような錯覚を覚えたのだ。
そんないわれもない被害妄想に駆られた少年の解決策が『わざマシンをつかってラッタに「じゅうまんボルト」を覚えさせる』だった。
自ら属性を被せにいったのだ。
そんだけ人気があるんだからせめて電気ぐらいくれよ、という気持ちである。
冷静に考えるとよくわからない行動だが、自分なりに(ここにもでんきネズミおるよ)とこっそりと意思表示をしたかったのだ。
世間へのゆるやかな反抗である。
かくしてうちのラッタは「ひっさつまえば」と「じゅうまんボルト」の二刀流となった。でんきタイプを手持ちに入れていなかったので、実際活躍してくれた。
思い出はまだまだあるが、長くなりそうなのでここらで切り上げる。
今や総勢900を超えるポケモンがいるが、自分の中では初代の151匹はやはり特別感がある。たぶん「ポケモン言えるかな」もいまだにわりと歌える。
まだまだ勢いの衰えを感じさせないポケモンの世界。
今後の新作も気になりつつ、やはり初代はいつまでも特別な思い出として心に残りそうだ。
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