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Mr Crepsley―「ダレン・シャン」原書をおすすめする3つの理由

初めて自分で選んで買った洋書は「ハリー・ポッター」。次にハマったシリーズが「ダレン・シャン」だった。
もう20年以上前の話。八重洲ブックセンターの洋書コーナーで、ダークな雰囲気を醸し出していたダレン・シャンシリーズ。1巻読んで、後悔した。「なぜ、2巻を買ってこなかった…!!!」
 
※ネタバレあります、全巻読んだことある人向け 


・「ダレン・シャン」シリーズのおすすめポイント

お話しは一口で言うとバンパイアもの。生意気盛りのダレン少年が街にやってきた怪しげなサーカスで出会った蜘蛛使い(実はバンパイア)・クレプスリーのアシスタントになって人生180度変わる、そんなスタート。作者の名前がダレン・シャンであり、主人公が出版した本という体になっている。
 
とにかく、ダレンとクレプスリーの「子連れ狼」コンビが最高。おんぶして高速移動します!
最初ダレンはクレプスリーのことを恨んでいるが、そのくせわがまま放題で甘えており……かわいいことこのうえない。
クレプスリーも顔は怖いけどすごく優しい、というかダレンに甘い。喜怒哀楽をどストレートにぶつけてくるクソ生意気なお子様を、苦い顔しながら必死で世話するダンディなおじ様。「クレプスリーの子育て日記」ですよこれは。
1~3巻の、二人の絆が固まる前の不安定な関係は関係性オタクにはたまらない。師弟好き・主従好きは絶対にチェックすべき作品。

・「ダレン・シャン」を原書で読もう! 

日本でも翻訳が出て、一時期は「ハリポタ派」「ダレンシャン派」の2大派閥を生む人気になったとか。
しかし、かつて「ダレン・シャン」を読んだ皆さんに、私はぜひとも原書をおすすめしたい。1巻だけでもいい。理由は以下。
 

①「クレプスリー」とMr Crepsley

ダレンをバンパイアにした張本人のクレプスリー。原書では、"Mr Crepsley"。ダレンは彼にずっと"Mr"をつけ続けている。日本語版では「ミスター・クレプスリー」となってもおかしくなかった(やっぱおかしいか?)が、長すぎたのか、「クレプスリー」と訳されている。
 
でも"Mr"がミソなんですよ……!!! 
"Mr"が醸し出す絶妙な距離感。子どものダレンと、大人のクレプスリー。そして、ダレンが中身大人になって立場的に上になってもクレプスリーのこと"Larten"じゃなくて"Mr Crepsley"って呼び続けるのが私はほんと大好きで……子どもの頃のまま、ずっと「師匠」として仰ぎ見ていたかったんだろうな、ずっと頼りにし続けたかったんだろうな、と……
"Mr Crepsley"の文字列を見るためだけにでもぜひ英語原作を!!
 

②英語がめちゃくちゃ読みやすい

ハリポタと比べても、ダレン・シャンの英語は読みやすい。
私が考える「読みやすい洋書3大条件」は、
 
①1章ずつが短い(一気にたくさん読めなくても問題ない)
②スラングが少ない(初心者だと「スラング」を察知するのも困難だし辞書で調べにくい)
③固有名詞の種類が少ない(固有名詞は意外と受験英語で習わないため、つまずきの種になる)
 
なのだが、ダレン・シャンはこれらを全て備えている。さらに、4つめの条件があるとすれば
 
④子どもの一人称小説(文章が単純で一文一文が比較的短い)
 
であり、これもダレン・シャンは満たす。
ちなみにハリポタは②のみ当てはまる。①と④は×で③は微妙。
 
文法は英検2級レベル。あとは単語力と英文を読む体力しだいだが、昔読んだことがあれば内容は知っているわけで、あまり問題なく読めるはずだ。
 

③英文がかっこいい

1巻の冒頭、シリーズの序章 Introductionはまるごと名文。国語の授業で古典の冒頭部分を暗唱した経験が皆さまおありだろうが、ダレン・シャンのイントロも暗唱に値する名調子である。私は好きすぎて何十回も音読した。この序章を読むためだけでも、1巻を買う価値はある。
もちろん序章以降もずっとリズムのよいシンプルで力強い英文が続き、ハイな気分でどんどん読み進められる。
 
ということで、今回はいつもの「聖闘士星矢」から離れて、「ダレン・シャン」原書のススメでした。
近いうちに、ダレン・シャンの英文を利用した問題を出そうと思います。(謎の予告)


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