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当事者が語るうつの対処法9

一人の時間を大切にする

健常者の方には当たり前の事と思われるかも知れませんが,自分の心を整理するためには他者との接触を断つ事も必要だと実感しています。
精神疾患の当事者は誰かに付き添われていないと危険,と言うイメージがあるかも知れませんが,むしろ症状が和らいでいる時はかつての日常に戻る事を意識するためにも,一人で生活する時間を設けた方が良いと考えています。

私自身の場合ですと,子供達が通学,妻が出勤している時間帯は完全に一人になります。その間に家事をしていると,部屋を綺麗にすることに意識が集中するため,自分がうつである事を一時的に忘れることが出来ます。
自分好みのレイアウトに変えてみたり,家族が過ごしやすい空間にするためにはどんな工夫が必要か考えてみたり,仕事をしていた頃には意外と気付けなかった部分の汚れを落としたりと,頭が前向きに働き始めるのです。
こうする事で私は,自分の中に存在するはずの負の感情を忘れる時間を作り出し,新しい事に挑戦してみようと思えるようになるまで回復しました。

支える側の皆さんが,「目を離している間に何かあったら…」と思う気持ちは痛いほど分かります。
私も今だからこそこのように綴れていますが,休職後初めて私が一人きりになると決まった前日には,妻から「私が仕事行かない方が良いかなぁ…」と本気で心配されていました。
しかしこの気持ちは,『今まで留守番をさせたことの無かった子供に,初めて一人きりの留守番を任せる時の気持ち』と同じだと思ってもらえれば大丈夫です。
勿論どう見ても不安定な状態では判断が難しいと思いますが,冒頭に申し上げた通り,症状が和らいでからは選択肢として持っていないと,今度は支える側の皆さんの心が疲弊してしまいます。
是非ご自身の心を守るためにも,当事者の方の様子をしっかり観察し,最初から無理と決め付けない接し方をしていただけると幸いです。

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