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詩のまとめ。
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(詩)「Frl. X」

(詩)「Frl. X」

君が知りたくて
今夜は揺れた心との決別
眠らずに生きていた楽しみが
蒸発して街を繰り出し
細胞のように増殖し続ける君が
やがて支配する

ペシミズム醸し出す
西口改札
私の唯一生きていた時間は
じわり動き出し
やがて終わることを知りながら
浴びせた言葉は何気ない雨

このまま終わらないでと
気づいたのは2番線
君を貼り付けた夜を行く
列車はなぜか早い
それでもわがままな私は
昨日と同じ曲を聴いてい

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(詩)「収容所」

随分と深く空の下
息継ぎばかりで吐く
イデオロギーに閉じ込められて今を生く
同化している
世界。見えている世界
世界。動いている世界
実感のない時間を誰か止めて
空気だけの空間を誰か壊して
世間という権力
時間と空間、みんな世間の奴隷
奴隷だらけの世界
整列をしている世界
耽美なる線はやがて厚さを増して長さを増して壁となり
クニという収容所の完成
収容所の広さを実感したものはいない
平易なる線の線

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(詩)「線香花火」

どうせ逝くんだろ。じりじりと、暑さを耐えて線香花火を片手に持っていた。火はすぐに消えるとばかり思っていた。しかし、火は線を帯びて丸い小さな火の光を最後までそこで耐えぬこうとしていることに気づいた。それを直視すればするほど目は火一色に染まっていた。夜の空、丸い月、目には写ることを忘れていた。耳もやがて、火に支配されていた。浜に打つ波、足に踏まん砂、みんな忘れて音もやがて小さな小さな火の平坦な音に染ま

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(詩)「時間」

人の世を下にみて
とんびは空を飛んでいる
山は深く緑にして空は薄く青である

テラスにもたれてコーヒーを飲めど
時間はそれほど経たない
山、空、湖、けたたましく流れない
いつも休んでいるように

本当は何もしたくない
山、空、湖、のように動じない
だけど、見えないどこかで彼らは時とともに動いている
それはじっと見つめても見つかるわけではない

実は人もそうだったりするのだろうか

*広瀬凌也

(詩)「夏空」

(詩)「夏空」

誰かの殺意を運んだ飛行機が空を飛び交う夏があった
殺意の雨に町は瞬く間に散ったんだ

モノクロームの写真
でも空は青かった
 私は雲ひとつない空に「生」を感じた

正義のための犠牲を厭わない人にまみれた夏があった
その声の数だけ無数の灰が生まれたんだ

モノクロームの写真
でも人は人だった
 私は蝉の叫びの重なりに「死」を感じた

殺意に燃えたぎる太陽が空から降ってきた夏があった
信念は雲に覆い被

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(詩)「見ないふり」

暗くなったから夜だと思った

目を閉じただけなのに

何かあっても引き伸ばせば

光は届かなくなる

黒く周りから浮いてたけども

今はそう気にならない

夜と同化したんだよ

どうかしてるよ

光を、朝を、昼を

そんなあなた達がいない世界で

僕も、みんなも王だ

多少何しても気にはならない

目を背けているだけだが

浮き彫りになる光よりもずっといい

住むなら同じドブでも

マシな方のドブ

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(詩)「恋と人」 

恋愛でしか存在できないなら死んでしまえ

君はひとりの人間
手は2つあって足も2つある
顔は1つあって体も1つあるだろう
君の生まれた時の写真には
手は4つあって足も4つある
顔は2つあって体も2つあるのか?
君の恋人は君のもう一つの体か?

君の定義は君の恋人
つまらない定義で生きている
恋人が死ねば君はすっからかんだ

考えて!

アイデンティティが恋人なら
君はもう要らない
この世にひとりの

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(詩)「海 見た」

(詩)「海 見た」

高く 黒く 雲 模索 悔み 見えない 
いない 行けない 痛い いつも
もし 潮風 絶叫 打って
掌 乱暴 うるさい 息
気持ち 血 小さな 涙
黙って 照った 太陽 ウェイブ
ブローク 苦 暗い 言えない 今も 悶々

*広瀬凌也

(詩)「色の無い鳥」

たった今死んだ君は

ほんの昨日に言ってたね

私は汚れてしまったから

無色の鳥になるのだと

あの空に溶けていって

自由に動いて

どんな色にも染まれると

たった今死んだ君に

僕は昨日言ったよね

ならばこちらは風になろう

何者でもない空から

めいいっぱい空気震わせ

君を浮かび上がらせて

どこへでも翔ばすと

たった今死んだ君は

すでに鳥になったのかな

まだ色は無いだろうから

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(詩)「大人」

いつか子供は死んでゆく
浜に引き上げられた魚のように並んで死んでゆく
綺麗なまま
でも、そんなもの食べれやしない
子供を殺したと勘違いする子供だったから 

生産しないくせに自らの子供に殺人未遂を犯しただけだったから
楽しいのかい?
楽しいの、だろう
勘違いは自然に消えてゆく、だろう
やがて子供は死んでゆく、だろう
どこまでも果てしなく遠く影が見えなくなるほど

ご覧あれその綺麗な死際を

*広瀬

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(詩)「そこに居ますか?」

ここは僕を照らす光は少ない

僕と似た性質の時間帯

眩しすぎるから自分が霞む昼より

強烈な太陽がいる時より

周りも闇で同化したかのような

この夜の方が

ずっと心地よいが

やはり誰もいないと

寂しいものだ

熱源に焼かれるのも嫌気がさすが

いざ居ないと欲しくなる

いや、やっぱり1人がいい

なぜ?それはなぜだろう

溶けてしまいたい

光に塗り潰されて消えるよりかは

誰にも知られ

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(詩)「崇めるタイプのゴミ」

おゴミ様おゴミ様
どうか恵みをくださいな
せめて敬称つけてやるから
この私をお救いください

おゴミ様おゴミ様
高次の存在なら
矮小なる者の多少の理不尽など
関係なさそうではありませんか

おゴミ様おゴミ様
祈りがまだ足りませんか
こんだけ思ってやってるからさ
そろそろ目を向けてくださいよ

おゴミ様おゴミ様
悲しくなってきました
もう助からないのでしょうか
私は何も悪く無いのに

*井上

(詩)「沈没」

一隻の舟が大海原に浮かんでいる
小さな、小さな
もろい木の舟
陽の光の眩しさに迎えられて今日を進む

突然、波は怒りに彷徨う
いつも、いつも
進むべき道を教えていてくれたはずなのに
舟を憎むように波は何度も飛沫を上げる

もろい小さな木の舟は
ゆらり、ゆらり
まだ波にその身を任せながらも
必死に今日を浮かぼうとしている  

木製の小さな舟に
細く細い
穴が開いて
次第に量を増して舟を脅かす海水

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(詩)「不条理」

(詩)「不条理」

際限なき世界を恨んで
どうしようもないほどこの世の不条理に泣いた日がある

空を信じていたが雨は止まない
時を信じていたが針は止まない
町を信じていたが開発は止まない
お前を信じていたが涙は止まない

手は動いている
もう君を抱きしめることもないけれど
足は動いている
もう君の下へは行けないけれど
目は見ている
もう君を見ることはないけれど
耳は聞こえている
もう君の声は届かないけれど

憎めど憎

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