覚書:津阪東陽とその交友Ⅲ-同郷の先輩から女弟子まで-(10)
著者 二宮俊博
おわりに
津阪東陽の交友について、「安永・天明期の京都」「文化十一・十二年の江戸」に引き続き、東陽の詩を中心としてこれを探ってきたが、そのなかで注目すべきは、東陽の生地平尾村に隣接する菰野の学問的風土である。「吾薦野ハ百五十年來多クノ学者ヲ出セル郷ナリ」とは、南川金渓の言(『閑散餘録』巻下)であるが、伊藤東涯に学んだ龍崎致斎が種を播き、南川金渓や久保三水が育ち、その薫陶を受けたのが東陽であり或いは平井澹所であったわけである。菰野の知友先輩に対しては、在京