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【読書メモ】『武士道シリーズ(全4冊)』(著:誉田哲也)
剣道を題材にした、正反対な属性ともいえる二人の少女「磯山香織」と「甲本(西荻)早苗」を主人公とした物語。期間は高校3年間、1年ごとに1冊+後日談としての1冊で、計4冊のシリーズモノになります。
この時代を共に生きる、二人といない、好敵手。
1冊目は『武士道シックスティーン』、題名通りに主人公二人の高校一年の時の物語です。どこか『錦繍』などを想起させる、交互に対話していくかのように綴られていきます。出会いと別れ、そして再会。それぞれの挫折と成長がないまぜに、、うーん、青春です。
そしてまたいつか、共に歩むべき道-。
次は『武士道セブンティーン』、高校二年の物語。少し柔らかくなった"香織"と少し強くなった"早苗"の、それぞれの成長が頼もしい。一度は袂を分けた二人がそれぞれの場で、それぞれにもがき、あがきます。またいつかその道が重なることを信じて。
すべての道は、この武士道に通じている-。
3冊目の『武士道エイティーン』、それぞれの剣"道"を、ひたすら真摯に歩んでいる二人の少女の高校最後の物語。いよいよ天王山、それぞれの道であがいてきた二人が、全国という舞台で相対します。
笑いながら向き合うことができるなんて、幸せな関係ではないかと。またそうそう、外伝として差し込まれる手書きの章がいい味出してました。守って、破って、離れる、いい言葉だと思います。
負けは死でも、恥でもない
ただ優劣を競うだけではない、(果て無き)連続性のある道の上で人として交わっていく、そんな事を感じさせてくれました。そしてそれぞれが歩んでいく物語へと道は交差し、つながっていきます。
相手を傷つけることなく、暴力のみを封ずる。それこそが武道
そして後日談ともいえる『武士道ジェネレーション』、時系列的には6年後から始まる物語(実際にも6年経過してからの発行だったような)。二人とも大学に進学・卒業し、早苗さんに至っては結婚までしていますが、そこに至る経緯等も回想的にそれぞれの視点で振り返られていきます、今までと同様、二人の視点からの物語が交差しながら。
なぜ戦うのかではなく、どう戦うのかが、重要である
そして、それらの物語達を縦軸とすると、そこに横軸的に織り込まれてくるのが、二人も深くかかわってきた「桐谷道場」に秘められた歴史とそして、想い。剣の「道」と剣の「術」の差とは、なんて考えさせられる物語でした(剣道はさっぱりわからないのですが)。
その他個人的には、早苗を介して語られる歴史観と、それに対する日本人の認識へのジェフからの指摘がまた、考えさせられました。日本の歴史を紡ぎ、語り継いでいくのは、他の誰でもない「日本人自身」とのことをあらためて実感しながら。
この武士道を、続く者たちに、伝えなければならないー。
道を歩んでいくとしても、自分自身がその半ばで終えることになっても、誰かしらにつないでいく、信のおける人に。「道」である以上、果ては無いのでしょうから(香織さんの長い春がどうなったのかも気になりましたが)。
やはり学生時代の友人は一生モノだなぁ、、おそらく、良くも悪くも生身での付き合いをするからかなぁ、なんて風に思いながら。
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