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鎌倉殿の13人第11回感想/源氏兄弟は嘘つき兄弟

嘘つきは何の始まり?

嘘つきが好きな人は誰もいないはず。
ここで言う嘘は、もちろん自分の保身のための嘘。
他人を守るための嘘ではない。
自らのプライドや立場を守るために他人をだます事だ。

一度でもこういう嘘をついた人間は
きっとまたいつか
自分自身のために嘘をつく。
それは、他人の気持ちをないがしろに出来るタイプだからだ。
本来その行為によって伴うはずの罪悪感をどこかへ放り投げ
私利私欲を優先させるタイプだからだ。
だから必ずまた嘘をつく。

そんな人間が他人からの信用を得られるはずがない。
そしてやがて誰からも信用されなくなって
遂にはボッチになってしまうんだ、プーチン大統領(

「嘘つきは泥棒の始まり」とかいうことわざあるけど
泥棒の始まりなんかじゃないと思う。
人生滅亡の始まりといっても過言じゃない。

嘘つきな源氏げんじたち

『鎌倉殿』の源氏には少なくとも二人の嘘つきがいる。
棟梁とうりょう源頼朝みなもとのよりとも(演:大泉洋おおいずみよう)と
その弟の九郎義経くろうよしつね(演:菅田将暉すだまさき)だ。
兄弟そろって嘘つきという事は
もはや嘘つきの血筋なんだろうか?w

ちなみに源氏で一括ひとくくりにしちゃうとアレだから
河内源氏かわちげんじ限定の話、ということで。

一人目の嘘つき源氏

頼朝は今回、2つも嘘をついた。
一つが恩赦おんしゃと決めたはずの伊藤祐親いとうすけちか(演:浅野和之あさのかずゆき)と
その子、伊藤祐清いとうすけきよ(演:竹財輝之助たけざいてるのすけ)を殺してしまったこと。

そしてもう一つは、彼が命じて殺させたはずなのに
小四郎こしろう北条義時ほうじょうよしとき、演:小栗旬おぐりしゅん)に正直に話さなかったこと。

せめて小四郎には本当の胸の内を話しても良かったんじゃないの?
と思ったんだけど…

しかも今回は頼朝のいやらしい部分が垣間かいま見えた。
※しょっちゅう見えてるっちゃ見えてるんだけどw

それは、伊藤祐親父子を謀殺ぼうさつするために
弟・阿野全成あのぜんじょう(演:新納慎也にいろしんや)の陰陽おんみょう術を利用したことだ。

頼朝に伊藤祐親殺害をほのめかしたのは全成。
世継ぎ(つまり男の子)が生まれてくるために必要な行為、ってね。
そういう意味じゃ全成も同罪みたいなところはある。
でも頼朝は、それを殺人正当化のために利用した。(たぶん
胡散臭いうさんくさ話だと思ってるくせに。(きっと

伊藤祐親を殺害することに対して後ろめたさはあるはず。
だって一度赦すことにしたわけだしね。
小四郎とも約束したわけだしね。
それでもその後ろめたさと引き換えに
自分の恨みを優先させるための「正義」が欲しかったんだと思う。

小四郎や平六へいろく三浦義村みうらよしむら、演:山本耕史)が
爺様じさま(=伊藤祐親)たちをなんとか生かしたいと考えている一方で
頼朝は、千鶴丸せんつるまる(演:太田恵晴)のうらみみを晴らすために
伊藤祐親の殺害機会をうかがっていたのかもしれない。
なんて勘繰りも、したりしなかったり。

二人目の嘘つき源氏

さてもう一人の嘘つき源氏、九郎義経。
彼がついた嘘は…
細かいこといったら何度もたくさんw
兄である義円ぎえん(演:成河そんは)に
そして頼朝にも嘘をついた。
しかも、まったく悪びれることも無い感じで。

義円は義経と同じ母から生まれた兄。
だけど武芸も和歌も何でもできて義経より目立ってる。
義経より遅く頼朝の元へやってきたのに!
しかも兄の頼朝もめっちゃ頼りにしてそう!

「あいつウザイ!義円ウザいぞ!」

みたいな義経の心の声が、視聴者には聞こえていたはずw

義経は兄・頼朝に対する独占欲みたいなものがあるのかな。
もしくは、そもそも自己顕示欲じこけんじよくが強い人間なのか。
いずれにしても義円に対する嫉妬心しっとしんに負けた義経。
義円にある事ない事、嘘八百を並び立て
叔父・源行家みなもとのゆきいえ(演:杉本哲太すぎもとてった)のいくさに参加するよう仕向けたんだけど―

これ、平家との戦が負けると予想した上で
「あわよくば戦死してくれ」
なんて考えてたりしたらエグイいよね…
でもこの義経はそれぐらい考えてそうで怖いんだ…。

義経に関しては登場当初から
ちょっとダークな義経で描かれている。
元気いっぱいハツラツな反面、かげりも見えて
その翳りが性根しょうねの悪さに繋がってる気がする。

そんな義経くんだから後々の出来事でも
自らの保身のために多くの嘘をつきそうな気配がたっぷり。
今後もある意味期待大。

ちょっとグレーな嘘つき源氏が1人

冒頭で『少なくとも二人』としていたけど
もう1人、嘘つきに該当しそうな源氏の兄弟がいる。

それが阿野全成あのぜんじょう
そもそも陰陽術おんみょうじゅつが怪しすぎるw
北条時政ほうじょうときまさ(演:坂東彌十郎ばんどうやじゅうろう)が
『なんか臭うぞ!?』
と言っていたのはそっちの臭い。
つまり怪しい臭い、『胡散臭うさんくさい』の方だ。

小四郎の妹、実衣みい(演:宮澤みやざわエマ)が自分に振り向くように
嘘で固めた占いで誘導しているに違いない!

でも嘘だったとしても
頼朝や義経に比べたら、まだまだ可愛い方の嘘。
実衣もまんざらでもなさそうだから
頼朝にお願いして早く結婚しちゃえばいいのにね。

義円ぎえん、この顔どっかで見たことあるぞ?

好い人ほど早死にする、みたいな話あるけど
義円はそういうタイプの人間だったのかも。
兄弟の中で誰よりも武芸達者で学問にも和歌にも明るい。
頼朝や義経みたいなズル賢さがない。
それだけに、義経の奸計かんけいにあっさりひっかかってしまった。
惜しい人を亡くしました…。

ところで義円を演じた成河そんはさん。
どこかで見たことがあるんだけどわかんないなー
と思って気になって調べてみたら
大好きなドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係 (以下SP)』に出てた!

『SP』は元V6の岡田准一おかだじゅんいちさん主演のドラマ。
2007年~2008年に放送されて2010年と2011年には映画化も。

『SP』は岡田准一さんのアクションが好き過ぎてハマったんだけど
その『SP』で4人組の殺し屋の一人、”ポール”を演じていたのが成河さん。
中国人か韓国人の女性観光客やホテルのボーイに変装していた
アクションもキレッキレだったあの人です。
なんて言っても見たことある人にしかわからないだろうw

でも大好きなドラマだったので、なんか嬉しかったのです。
そういう事ってあるでしょ?

小四郎は頼朝を許せるのか?

赦されるはずだったのに、殺されてしまった爺様じさま
小四郎は頼朝のことを許せるんだろうか?

この頼朝の裏切り行為は小四郎を酷く傷つけたんじゃないかと思う。
平六(三浦義村)も小四郎と同じ立場なんだけど
彼の場合は元々頼朝を信用していない。
だから「そういう奴だと思っていた」ぐらいにしか考えていない気がする。

でも小四郎は違う。

頼朝をそれなりに信頼していたはずだ。
それだけに、今回の頼朝の許されざる嘘はショックだろう。
小さいながらも頼朝への不信感が芽生え始めたかもしれない。
今回の出来事が後々のことにどう影響するのかなー。

あと、全成ぜんじょうの陰陽術が正しい的な流れで進んでいるのも気になる。
何かのフラグなのかな?なんて勘繰ってしまう。

そして三谷さんは梶原さん(善児ぜんじ役)で遊びすぎだw(了)

付録的なもの

【視聴メモ】
小四郎、やっぱり八重殿に縁談話を断られる
三浦義村vs小四郎おもろいw
頼朝の御所が鎌倉に完成
ここにお前の名が無いが
わしは一度口にしたことは必ず守る男だ
和田義盛→侍所の別当に
これより佐殿は鎌倉殿、御一同は御家人
三善康信、京の様子を小まめに伝えてくれるw
梶原景時→侍所の所司
義円のことをだいぶ頼りにしている頼朝だけど…
平清盛死去
九郎に跡を継がせるつもり
鎌倉殿は多忙である!
「私ではありません」「平三が見ておった」
「私の血はひいてません!!」
変成男子の法
江間は小四郎の所領になった
人を許す心が徳となるのではないですか
梶原景時が善児を引き取ったぞ・・・梶原善さんだけに・・・www
三十三間堂、千手観音像、六波羅蜜寺、六道珍皇寺

2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第11回「許されざる嘘」より

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