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夕立

ぐわんぐわん、とねじれたような七月の蒼天
日輪から放たれる矢じりは拡散
優しさにはほど遠い烈しい光よ
カエルの死骸はただちに乾き
遠景は目眩、蜃気楼に淀む

湿った足音は霞む峰の奥深く
ひたすら質量をこらえ
鬱鬱と一閃の時を待つ

田の緑は健気さの色
吹く風は鋭さのかわりに柔軟さを運び
揺れる葉脈は眩しく香る 
営みのにおい 地球の始まりのにおい
少年は畦道で、う~ん、と退屈そうに伸びをした。
いまだ畏怖の調は聞こえず
幼い稲は眠ったように空を飲み込み
切切と奔流への一滴を待つ

・   ・   ・  ・  ・  ・ ・ ・ ・・・・・・

遠くで一匹の龍が吠えた
しばし私にこの夏をくれ、と。
大気は張り詰めることもできず
ひび割れ
大地はその図体をして
必死に身構える

焼けたアスファルトの上
厳しさと豊かさは染み込み
粒は弾け
やがて包まれるような残響
熱のこもった幻想は解かれ
ノイズ世界が母の胸へと帰る

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