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roots1*青年期

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roots・ season1の青年期 少年期からの続きなので8章からになります。
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2021年5月の記事一覧

【roots】青年期
《13章》ルビー

【roots】青年期 《13章》ルビー

「お前たち結婚写真は撮ったのか?」
オーウェンが突然言い出して僕たち2人はびっくりした。「撮ってないけど」僕がシドロモドロに答えるとオーウェンは「いつも3ヵ月くらいしたら撮ってるんだ。ルビーの花嫁姿を残しておかなきゃな」とルビーに話を振った。ルビーは
「いいの、いいの。恥ずかしいでしょ」と僕に言った。「見たいよ。花嫁姿」と答えると
「よし!決まり。週末な」とオーウェンが用意してくれるとの事だった。

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【roots】青年期
《12章》忘れた頃にやってくる

【roots】青年期 《12章》忘れた頃にやってくる

嬉しくて泣き出しそうな顔のまま花屋へ迎えに行った。ルビーが「どうしたの?」と心配そうに出てきた。
「ドレイク書房のドラゴンさんは、エイデンって言ってね。あのドラゴンだったんだ!!」
涙を目にいっぱい溜めて言った。
ルビーは物すごく驚いた様子を一瞬して「会えて良かったわね」と涙を手で拭いてくれた。
その様子を見て花屋のみんなが心配して出てきた。
「書いてる小説が上手くいくかもしれないんですって」とル

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【roots】青年期
《11章》小さな炎

【roots】青年期 《11章》小さな炎

朝7時に起きて、2人で朝食をたべ。
ルビーは道路向かいの花屋へ出掛ける。
僕は家で、掃除洗濯。
そしてこの旅を書き続けている。

お昼過ぎ、電話が鳴った。
「ハロー」
「ドレイク書房ですが、デイビッドさんで?」
「はい!僕です」
「読みました。なんだか不思議な話ですね。続きはあるんですか?」
僕はドキドキが口から溢れて聞こえてしまうんじゃないかと胸に手を当てて深呼吸した。
「はい、今も書いてます」

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【roots】青年期
《十章》それぞれの仕事

【roots】青年期 《十章》それぞれの仕事

僕は1度目のペリカン兄弟までの原稿を持って出版社を訪ねた。
新聞に求人広告を出していたので住所を書き写して直接足を運んだ。
ドラゴンマークのファンタジー小説を扱っている「ドレイク書房」
ドラゴン書房って事。名前が気に入った!

ドアをノックして中に入ると古い紙の匂いがした。瞳があのドラゴンに似た年配の男性が近づいて来て「何か?原稿?持ち込み?」と聞いて来た。
「は、はい!これはまだ序章で長い長い話

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【roots】青年期
《九章》僕にとっても
ルビーにとっても

【roots】青年期 《九章》僕にとっても ルビーにとっても

「コーヒーの良い香りが部屋に漂ってホッとする」マグカップを鼻に近づけてボソッと呟いた。
3人でこの部屋にいる事を考えると不思議過ぎて笑い出してしまいそうだ。
「歳取ったな」とオーウェンが言った。
「君はライオンっぽいよ」と僕が言うとハハハと笑って「俺と君は親友なんだ。もうずっとずっとね」とオーウェンが優しい顔で僕を見て言った。
僕が頷くと。オーウェンは
「で、俺とルビーも友達だ」な!とルビーに言っ

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【roots】青年期
《八章》新しいくらし

【roots】青年期 《八章》新しいくらし

目が覚めると僕の隣に寝息が聞こえた。
暗くてよく見えない。
白いワンピースが微かに見える。
ルビーだと思った。

ここはどこだろうとキョロキョロ見渡してみた。
一度目の旅では花園の後はまた廊下に戻っていた。でもあの廊下では無さそうだ。
あの古い洋館の壁紙に染み込む匂いはしない。
目が暗さに慣れてきて部屋の中だとわかった。

細く光がみえる。
側へ行くとカーテンから漏れる光だった。
そっとカーテンを

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