[SIer]大手企業のお客様の話

私が退職するまでに担当させていただいたお客様の一つに、大手企業でグローバルで事業展開を行っている企業がありました。そのお客様(A社)の話をしたいと思います。

私はA社様のパソコンのサポートをしていました。

大手企業に勤める事は皆さんもあこがれると思いますが、総合職でグローバル展開をしている企業に勤めるという事は、いつでもグローバルな異動が発生するという事です。とても怖い事だと思います。

うまく表現ができませんが、たとえば職種などの変更の打診が出て、断った場合、どこに異動させられるかわからないという話を聞きました。このどこに異動するかわからないというのは、日本のどこの地域かという事もありますし、どこの国に飛ばされるのか分からないという意味です。

A社様を担当させていただき、仲良くおしゃべりをさせていただいた、定年間近の人から昔話を聞きました(この方は、IT部門の方ではありません。よく知らないのですが、私には優しいおじいちゃんでしたが、非常に怖い方だそうです)。
この方は、英語の他にスペイン語も堪能です。
若いころは、サービスマンとして世界を駆け巡ったそうです。
中南米に行った時は、現地の人と車で国を超えて移動をしながら仕事をしていたそうです。
ある国に入国しようとした所、よくわからない理由で、拳銃をもった軍隊の人に拘束されて、牢屋に閉じ込められたと言っていました。本当に殺されるような思いをして忘れられない事だと言っていました。
また、新興国(危険な地域)で海外駐在になった時は、広いお屋敷の様な所に住んでいたという話を聞きました。メイドの様な人もいたそうです。特別手当も出たので、かなり良かったという話を聞きました。

本社部門に所属していても、いつ海外に異動になるか分かりません。
財務・会計系の部門の管理職の方は、ITに詳しくIT部門と連携をかなりされていた方だったのですが、北の方の国に異動になりました。

A社様は、IT部門でも海外出張はとても多いです。長期出張も多いです。
また、海外の子会社に出向になる場合も、かなり多いです。
海外の子会社は色々な地域にあるので、本当に大変だと思います。

A社様のIT部門は、海外対応は当たり前ですし、個人の内線にも海外から電話がかかってきます。海外との打ち合わせも頻繁にあります。
役職者以上の方は、打合わせなどで世界一周(飛行機で地球を一周回って戻ってくる)を行う事も良くあります。

南アフリカでネットワークトラブルがあり、現地で対応ができない場合は、IT部門の方が南アフリカまで行って対応を行ったそうです。

若手の人も、海外出張が多いです。私がよくお喋りをしていた女性の話です。出張先は新興国だったそうです。ホテルの前には拳銃をもった人が扉の横に2名いたそうです。外出はしてはいけないと言われたそうです。その現地の事業所とホテルを行き来するだけで、外は危険で出れなかったと言っていました。
アフリカで銃撃戦があった時に、その女性は「私の友達がその現場のそばで働いている。とても心配。」と言っていました。
若い人も、結構危険な思いをして出張をしているみたいです。

私のお客様で、私の少し年上の方は、ロシアへの長期出張が多かったです。
ロシア出張が終わった際に、私にお土産に歴代大統領のマトリョーシカを買ってきていただきました。そのマトリョーシカの外はメドヴェージェフ大統領のものでした。私が、今はまた大統領はプーチンに戻っているので、古いんじゃないの?という話をしました。
ご丁寧に、次にロシア出張に行った際に、再度お土産に歴代大統領のマトリョーシカを買ってきました。こちらは、外側がプーチンになっているものです。
一ベンダーの私に、お客様がせっかくお土産を買ってきてくださったのに、ケチをつけてごめんなさい。
わざわざ別のマトリョーシカを買ってきてくれるなんて、非常に律儀な人だと思いました。

別の私のお客様で、私とだいたい同じ年の方は、インドに長期出張に行かれました。
インドは地獄だそうです。少しでも現地の水を口にしたら、腹痛が1週間以上続き、大変な事になるとの事です。地獄を見たと言っていました。
日本から持って行ったカップ麺をミネラルウォーターで作ったもの以外は口にできないと言っていました。
この方もお土産を買ってきてくれて、よくわからない木でできた球のような物と、スパイスをいただきました。

私は、沢山お土産をもらっていますね。私は所詮一ベンダーの一人にすぎなのに。この会社の方々は、会社組織はどうとも言えませんが、所属している人は私に対してはとてもやさしいです。

私はA社様のパソコンのサポートをさせていただいていたのですが、時々どうすればよいのかと考えてしまう問い合わせがありました。

問い合わせの例を2つあげてみましょう。

来月からいきなり南米に異動になった(長期出張からそのまま現地出向だそうです)。現地では日本語キーボードのパソコンが入手できないと聞いているので、日本の自分が利用しているパソコンを持っていきたいけれど、どのような手続きをすればよいのか?
いきなり異動を言われて、自分でもどうすればよいのか色々とわかない状態だという事を言われていました。

オーストラリアに出張中に、車を止めていたら不在中に車が襲われて、車の中にあったものが盗難にあった。どうすればよいのか?
私は、お客様のセキュリティ担当部署に対応を依頼しました。

グローバル企業は、英語が出来て当然です。英語ができないと仕事になりません。内線電話に海外から電話がかかってくるのは日常茶飯事です。また、グローバル展開をしているので、いつ自分が海外に出向になるのか覚悟が必要です。そうでなくとも、海外との打ち合わせや、海外出張は頻繁にあります。

A社様以外にも、大手企業(有名なメーカー)の本社部門の方と仕事をさせていただいた事があるのですが、その企業は40歳前に高い確率で子会社へ異動し、転籍になるとの事です。親会社の本社部門に残るのは非常に大変な事だと言っていました。労働条件は子会社の内容になるので条件が悪くなるらしいです。
まるで銀行の様だと感じました。

大手企業で働くのは、みなさんあこがれていると思いますが、本当に大変な仕事をされていると思いました。




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