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ワスレタクナイオト

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Op.1 「ワスレタクナイオト」/Wasuretakunaioto Sounds you don't want to forget
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#短編小説

『noteだけに書く』初作品 ワスレタクナイオトのきっかけ

『noteだけに書く』初作品 ワスレタクナイオトのきっかけ

今回は、物語ではなく、初作品になった「ワスレタクナイオト」とそれの番外編である「ワスレタクナイコエ」を創ったきっかけについて書きたいと思います。

この作品は、エピローグでも少し書きましたが、私の実際に経験した事を元に創りました。そのきっかけとなったのは今年の夏です。

浪人生の私は夏休み期間限定で、地元の学童の先生という形でアルバイトをしました。以前から子どもは好きで、子ども達と一緒に遊ぶのも得

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Op.1 ワスレタクナイオト

Op.1 ワスレタクナイオト

Op.1 「ワスレタクナイオト」/Wasuretakunaioto
Sounds you don't want to forget

キャラクターイメー

キャラクターイメー



ガーキ/Gaaki ―音楽の精

主人公(私)/main character
小学生の女の子

キャラクター設定

キャラクター設定



Op.1 に登場する 音楽の精 ガーキ
上→帽子をとった姿
下→後ろ姿

2作目にも登場します。
ただいま制作中。

プロローグ

プロローグ

物語について

「忘れたくない出会いがある。
伝えたかった事がある。」

そんな想いを込めて。

「思い出が、新しい一歩を踏み出す力になるはず。」

すべての願いを込めて。

ある夏に一人の少女に起きた、ほんとの出来事…

のような物語。

Debut.

Debut.

これは、
短い夏の間に起こった少し不思議な出会いの話。

1st

1st

「今日で、一学期が終わりです。明日から夏休みですね。皆さん、健康に気をつけて過ごしましょう。」

終わりの会での先生の話も終わり、夏休みが始まった。でも、今年はいろんな事情が重なって3週間しかない。今までで一番短い夏休み。さぁ、どんな風に過ごそうかなぁ―。

夏休みは毎年学童で過ごしている。もちろん今年も。

夏休みの学童は、普段にはないちょっとした出会いがある。それは、夏休み期間だけやってくる新

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2nd

2nd

「いい曲だよね」

振り返るとそこには、羽付きの鉛筆が突き刺さったハットを被り、真夏なのにタキシードを着て、顔がなにかの楽器でできた人間...
ではない不思議なナニカが立っていた。

「あなたは…なに?」
あたりをうろちょろしている「ナニカ」にそう尋ねると、スッと立ち止まりこっちを見て答えた。
「僕は、音楽の精のガーキ。君がさっき弾いたメロディから生まれたってところかな。君が生み出したんだから、気

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3nd

3nd

夏休み3日目。
学童に行くと当然のようにガーキの姿があった。

学童での生活にはなんの影響もないが、うろちょろと歩き回る姿は気になって仕方ない。周りのものには普通に触れるようで置いてある本を手に取って読んでいる。ご飯の時間になると、嬉しそうにみんなのお弁当を見て回っている。そんな自由なガーキに我慢ならずとうとう声を掛ける。
「なにしてるの?」
「美味しそうなお弁当だなぁと思って。」
なにか特別な理

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4th

4th

夏休み4日目。
その日も相変わらずガーキの姿はあった。

今日は、明日行われる夏祭りイベントの準備だ。
遊びの時間が少し減り、それぞれが班に別れて、自分達の出すお店の準備をする。自分の店の準備が早めに終わり、暇になった私はなんとか先生に仕事をもらおうと、普段は入ることが許されていない職員室に居座っていた。
「なにかすることないんですか?暇なんです。」
「うーん…そこまで言うなら…」
見かねた先生が

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5th

5th

夏休み5日目。
夏祭りの本番を迎えた。自分の班で出しているお店の担当を終え、他の班のお店を回る。外でのゲームと室内での工作に別れていて、全てのお店を回らなくてはならない。

室内での工作を終えたところで、ガーキの姿を見つけ出来上がった工作を見せる。
「どう?」
「すごい!綺麗にできてるね。」
ガーキはいつも褒めてくれる。その言葉についつい笑みがこぼれる。

午前中には夏祭りが終わり、午後からはいつ

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6th

6th

「ん〜...そっか、なら自分で弾いてみよう!」
そういうとガーキは、ハットに刺さっていた羽付きの鉛筆を抜き取り、口ずさみながら指揮をし始めた。
私は、その姿をただ黙って見ているだけだった。

「よし!できた!」
突然そう言うと、ポケットから2枚の紙を取り出した。
「はい、これで弾けるよね?」
そこには初心者の私でも弾けるように整理された楽譜が書かれていた。
「ちょうど暇してるなら、練習しない?僕が

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7th

7th

次にガーキに会ったのは…夏休み10日目。
お盆休みで明日からまた4日間練習できない。

朝勉強の時間が終わると、急いでガーキを連れてピアノに向かう。ガーキは私が困った時だけアドバイスをくれたり、お手本を見せてくれた。それ以外は横で練習している姿を見ていてくれるのだが、それだけでも安心感がある。何気ない会話をしながら練習する時間は、あっという間に感じた。

お昼ご飯の時間になり、いったん練習を切り上

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8th

8th

読書の時間が終わるとすぐにピアノに向かう。

「だいぶできるようになったね。」
「でも、ここが難しくて...できる気しないよ。」
「大丈夫だよ。君ならできるから!」
「そうかな〜?」
「あっ、そうだ!」
いつものように応援してくれるガーキは、何かを思い出したかのように続けた。
「言い忘れてたんだけど、僕が君といられるのは夏休みだけなんだよね。明日からお盆休みになるから、あと3日だね。」
「え...

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