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8th

読書の時間が終わるとすぐにピアノに向かう。

「だいぶできるようになったね。」
「でも、ここが難しくて...できる気しないよ。」
「大丈夫だよ。君ならできるから!」
「そうかな〜?」
「あっ、そうだ!」
いつものように応援してくれるガーキは、何かを思い出したかのように続けた。
「言い忘れてたんだけど、僕が君といられるのは夏休みだけなんだよね。明日からお盆休みになるから、あと3日だね。」
「え...そうなの?」
「そうなんだ。そもそも僕は君の弾いた音から生まれた存在だからね。音は永遠には鳴り続けないだろう?」
「そっか。そうなんだ…じゃあ、なんでガーキは私の前に現れたの?」
「そういえば、そんな話した事なかったね。僕自身も、わからない部分はあるんだけど、きっと、 音楽が1番輝く瞬間を君に教えたくて生まれたと思うんだ。」
「難しいな...音楽が1番輝く瞬間?」
「そう!この曲を最後まで練習したらまた改めて教えるよ。」
「じゃあ、最後の日にまた聞くから話してね?」
「わかった、その時ちゃんと話そうか。」
「約束だからね。」
「うん、約束する。」
「じゃあ、指切り!」
「いいよ?」
『せーの、指切りげんまん 嘘ついたら針千本呑ます 指切った!』
「よし、そのためにも練習の続きをしよう!」
「はーい!」
その後、迎えが来るまで練習してだいぶ上達した。
でも、ガーキはあと3日でいなくなってしまう。それを考えるとこれからのお盆休みは少し憂鬱だ。

また明日から4日間休みか...

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