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7th

次にガーキに会ったのは…夏休み10日目。
お盆休みで明日からまた4日間練習できない。

朝勉強の時間が終わると、急いでガーキを連れてピアノに向かう。ガーキは私が困った時だけアドバイスをくれたり、お手本を見せてくれた。それ以外は横で練習している姿を見ていてくれるのだが、それだけでも安心感がある。何気ない会話をしながら練習する時間は、あっという間に感じた。

お昼ご飯の時間になり、いったん練習を切り上げる。お弁当が食べ終わったらすぐにでもピアノを弾きたいところだが、ご飯の後は読書の時間なので焦る気持ちを抑えて本を選ぶ。ちょうどガーキが近くにいたので、近くにあった本を取り、話しかける。
「ガーキ、これ一緒にやろ!」
「ミッケ...なにこれ?」
「描いてある絵の中から、色んなものを探す本だよ!」
「面白そうだね。よし、やってみよう!」
一冊の本を2人して真剣に覗き込む。
「あっ!これだよ!」
「僕も見つけた!」
「次は...セリの花は見つかるかい?だって!セリの花...ってどんなの?」
「えっと...あった!これだよ。」
「へー。綺麗な花だね。」
「確か清らかって意味の花言葉だった気がする。なんか君みたいだね!」
「え〜、そうかな?」
嬉しいことを言われるとつい照れ隠ししてしまう。普段は音楽のことを教えてくれるガーキだが、この時だけは同級生の友達のように、2人で本を見ながら笑い合った。

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