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【後編】スタートアップとCVCの最初のコンタクト〜相談する時は協業案がないとダメ?それよりも必要なのは〇〇

前回の記事では、スタートアップ企業の方とコンタクトを取るタイミングやきっかけについて投資担当メンバーに話を聞いてみました。今回はコンタクト時に知りたい情報や、スタートアップ企業とコミュニケーションを継続させる方法についてもう少し聞いてみます。

知りたいのは協業案よりも事業のこと

スタートアップ企業がCVCからの調達を検討している時に、「話をきいてくれるのだろうか」となかなか声を掛けにくいケースがあるかと思いますが、皆さんはどう思いますか?

吉村:興味はあるけれど、東芝テックとの具体的な協業案がないから相談できない。と考えている方もいるのかもしれません。

鳥井:話をしてみたいけど協業案を持っていかないと……と思って協業アイデアを考えているうちに、「そもそも東芝テックって何をやっている会社だっけ?」で止まってしまうケースもありそうですよね。

そのあたりは正直、どうですか?協業案はやっぱり必要?

鳥井:協業案よりも、事業の話を聞いてみたいと思っています。事業自体に興味があれば、そのうえで色々な可能性をディスカッションしていきたいので、がっちり協業案が固まった状態よりも、むしろ緩やかなアイデアベースのほうが良いかも。固めすぎてしまうほうが話しにくいケースもありますからね。

小澤:通常のピッチブックにプラスして、事業仮説があると議論の手がかりとしては入りやすいですね。あとはCVCの立場で言うと、ラフで構わないのでファイナンス情報やタームシート (term sheet)情報があると話がしやすいかもしれません。

鳥井:ピッチで自社の成長性について語っていただくことが多いのですが、伸びていく話と一緒に、現状の課題やボトルネックもオープンにしていただけると、より深いディスカッションができるのでありがたいですね。

逆に面談まで至らなかったケースは?

吉村:資金調達は必要としていなくて、協業目的でお声がけいただくケースですね。事業部をご紹介することもありますが、今すぐは動かない場合が多いので、その時は正直に現状をお伝えしています。

小澤:資金調達が完了した直後や、すでに数社が出資していると、タイミング的に難しいこともあります。それと、今後資金調達を全く考えていない場合も面談に至らないケースはあると思います。もし、将来的に資金調達をしたいけれど、今はPOS事業と協業したい、という相談を頂いた場合は、まず事業部に紹介させていただくと思います。とはいえこちらもCVC担当と初めに明言しているので、協業希望だけの相談はあまりないですね。

将来的に資金調達を考えている場合、早めにコンタクトを取っておくこともアリですか?

吉村:資金調達を考えているタイミングがベストですが、もちろん次のタイミングで検討する可能性もあるので、それはそれでアリだと思います。定期的に情報交換をすればいいし、継続的なコミュニケーションを取ることで相互理解も深まるのではないでしょうか。重要なのは「縁・運・タイミング」、まさに婚活と同じですよね。

我々が想定していない連携の可能性にも出会いたい

なるほど。ちなみにコミュニケーションを継続させるために、投資担当としてはどんなことをしていますか?

小澤:PR Timesなどで公開されているリリースを定期的にチェックして、新製品やアライアンスの発表があった時に連絡してみることがあります。スタートアップの方々は日々忙しいと思うので、先方が我々とコミュニケーションを取りたくなるタイミングを意識しています。

鳥井:戦略的に事業テーマを絞り込んで探す場合は、スタートアップ企業データベースでリスティングをかけて、定期的にスタートアップ企業のニュースリリースをチェックしています。そこで気になった新しいプロダクトや事業連携について「詳しく話を聞かせてください」と連絡して、情報交換につなげることが多いですね。

ところで、「戦略的に事業テーマを絞り込む」ケースもあるとのことですが、投資する領域を絞り込む時はどうやって決めているんですか?

鳥井:東芝テックの中期経営計画やプロダクトのロードマップは全部チェックしているので、その中で外部の力を借りる必要があるものや、市場性がある領域をスクリーニングしていきます。一方で事業部の課題に寄せすぎてしまうと本質的なテーマやトレンドからズレてしまう可能性もあるので、バランスを取りながらみんなでディスカッションをして決めています。

絞り込んだ領域以外のテーマでも、CVCウェブサイトに記載している投資領域のテーマであればウェルカムでしょうか?

鳥井:ウェブサイトに記載しているテーマであればもちろん検討します。そうでなくてもお話はお伺いさせていただくケースもあります。ウェブサイトに掲載しているのは、東芝テックが今後発展するために必要な事業ケイパビリティとして挙げているテーマではありますが、自分たちが気づけていないケースもありますので、幅広くお話は聞くスタンスで活動しています。ただ、限られたリソースで活動していることもありますので、私たちが能動的に動く場合は、優先順位を付けながらのソーシング活動になるとは思います。

そういう意味では、できるだけ話をお聞きしたいと考えていますので、なんとなく興味がある、もしかしたら連携できるかもしれない、という方でしたらライトにコンタクトを取っていただければと思います。

吉村:自分の視野を広げるという意味でも、声をかけていただけるのはありがいことですよね。個人的には食べるのが好きなのでフードテックとか会社の投資テーマと関係ないものにも興味があったりします(笑)。

小澤:スタートアップ企業の方は多くのCVCに会うと思いますが、各社スタンスの違いはあるでしょうね。私たちはCVCにしては柔軟な体制が取れていると思うので、あまり構えずにご相談いただけたら嬉しいですね

※東芝テックCVCの注力領域については、こちらの記事もご覧ください。

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CVC側のスタンスとしては、具体的な協業案の有無よりも、事業自体のユニークさ、そして今後のファイナンスの可能性のほうが重要な情報のようですね。

投資や協業について相談してみたい方は、公式サイトよりお気軽にお問い合わせください!


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