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【好きになる人はいつも海の向こう〜Episode 1〜】

私が好きになる人には共通点がある。


1.中性的
2.海の向こうの人


「外国人」というわけでなく、図らずも「海の向こうの人」に惹かれてしまう。


その人の織りなす雰囲気がどこかちょっと異国の風を浴びたから人と違うように感じるのか、

その「違い」の中に共通点が見えた時の喜びが倍増するのか、

恋に理屈は通じない。


思えばあれば10年前になるあの時の恋。

常に自分は、「行き当たりばったり」だなぁと感じる。


なぜなら、10年前のあの冬、
私は日本でたった一度だけ会った人に会いに、

パリまで行ってしまったのだから。



出逢いは、友達がひょいと連れて来た人だった。


名前は、瑛太。

そう、日本人である。


当時、パリピだった私は、酒もタバコもなにもたしなめないのに、ダンサーだったこともあり、時々クラブへ足を運んでいた。

とは言っても、

ただひたすらに

まじめに踊りに行っていたw


4月のある日、
外国人が集うクラブがあり、年下の女の子もクラブデビューしたいってことで連れて行ってあげた。


国際交流キャンプでリーダーをしていた私は、その他にも何人か誘い、その中の友達が、

彼を連れてきた。


それが、瑛太だった。


瑛太に初めて会った瞬間、


ドゥクツン


ハートにビートが刻まれた。


あかん、完全にタイプや。


日本人4人、サウジアラビア人2人という異色のメンバーでクラブへ。

すると、

写真付きの身分証明書の提示がないと入店できない

とのこと。

完全に伝え忘れていて、クラブデビューをしたい女の子1人、入れない状態に。

せっかくみんなで集まったのに、申し訳なさすぎるやらその子も責任感じるやらで窮地。

すると、サウジアラビア人の馴染みのクラブ(文字にするとすごく怪しげ)なら入れるとのこと!

急遽そちらへ向かうとすんなり通してくれた。

ホッとしたが、当初行きたかった場所ではなく、誰もダンスホールで踊っていない閑散としたクラブ。

盛り上がりに欠けたことを申し訳なく思い、

「みんなごめんなぁ〜。私がちゃんと確認してなくて。」

すると、

瑛太は

「こっちの方が貸し切りみたいで逆にラッキーやん!ありがとう!」

え、もう。好き。(早)

そう言って、クラブ初体験の彼は踊ろうとするも、足首に布が見え隠れする。

「包帯?脚、怪我してるの?」

と尋ねると、

「バレた?実は昨日階段から落ちて、脚ひねっちゃって。でも、記念すべきクラブデビューやから包帯巻いて参戦してん!」


ビュンッ!!


閉鎖されたクラブの中で強い風が吹くはずもなかった。

これは、「恋の風」だった。


包帯巻いてクラブ参戦。。か、可愛い。。。。


「普通なら、ケガしたしやめとこう。」
となるところを、

困難にも屈せずやりたいことに忠実な姿に惹かれた。


ほとんど私たちしかいないクラブで、みんなでワイワイ踊った。クラブというより、海辺のキャンプファイヤーに来た感覚に似ていた。


朝まで踊り、夜明けのマクドナルドで、サウジアラビアへ帰る友人の送別会をした。


みんな「私」という共通点でその日初めて会ったのに、絆のようなものをすごく感じた。

たった150円のポテトがすごく美味しく感じた。


瑛太の言葉に何度も救われたプチハプニングな一夜。


彼にまた会いたかった。


聞けば、私の最寄駅からさほど遠くないレストランでアルバイトをしているとのこと。

バイトの後、少しでもお茶したくて、空いている日を聞いてみる。


「その日は、送別会やから、行けないねん〜!」


「送別会続きで忙しいね!誰かやめるの?」と尋ねると、


まさかの。


「僕の送別会。実は、来週からフランスに1年留学するねん!」


ビュンッ!!


心の隙間に強風が吹いた。


またかよ〜〜〜〜!!!

また、気になった人が外国に行っちゃうのかよ〜〜!!


留学経験者の私はわかる。

留学一週間前の猛烈な忙しさを。


結局、彼にその後会うことはないまま、彼はフランス留学へ行ってしまった。


お互いに、「夢を持って生きる同士」と感じていたのか、向こうへ渡ってからも、職場のトイレからこっそり近況をメールしたり、

夜にskypeで話すのが日課になっていた。


フランスに着くはずの日にストライキが起こり、空港で寝泊りをする羽目になった話とか、ワインが美味しい話とか、友達のジョージがずっと下ネタを話してくることとか、まだ彼女ができていないとか。そんな話をした。

彼は、一見ネガティブな話も、溢れる笑顔で話してくれてすべて笑いに変えてくれる。

skypeって、ずるい。


話せば話すほど、もっと会いたくなるし、触れたくなる。

同じ時間に行きたくなる。


すると、彼が一言。

「で?いつ遊びに来てくれるん?」

skypeを始めて3ヶ月が経った頃だった。


(こちとら、んなもんすぐにでも飛んで行きまんがな!)というゴリゴリ前のめりの姿勢を少し引き算をして、

「秋くらいかな!」

すると、彼はおもむろにヨーロッパの地図をベッドに広げた。

「じゃあ、瀬菜が来たら、ヨーロッパ旅行をしよう!今から、この地図に鍵を投げるから、それが落ちた場所に2人で行こう!」


#思考回路がショート寸前

#今すぐ会いたいよ

セーラームーンが鳴り響く。(昭和生まれのバイブル)


なんなのこのドラマみたいなシチュエーション。

コラーゲンも食べていないのに、お肌がプルプルになって来た。


2人で「せーの」の合図で鍵を投げる。


運命の鍵が落ちた場所は、


大好きな、あの国だった。


To be continued...


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