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新社会人へ|「いい人」がぜんぶを台無しにする
こんにちは。
5月というのに、気温は夏のような上昇を続けていますね。
緊急事態という、メンタルにも良くない状況の中ですが、熱さによる身体のケアも、ぜひ気をつけていきましょう。
今回のテーマは、いわゆる「いい人」であるリスクについて、考察をしていきます。
■「いい人」とは厳密に、どういう人なのか
このシリーズコラムでは、「自分らしい働き方」について、考察を重ねてきましたが、
いよいよ、これまで述べてきたすべての行動を”台無し”にしてしまうような行為を、ここに挙げます。
それは、「いい人でいようとすること」です。
例えば、「彼/彼女は、とてもいい人だ」と言うとき、あなたはどのような人のことを言うのでしょうか。
社会にとって善いおこないをしている人でしょうか。
嘘を言わない人のことでしょうか。
あるいは、言われたことを黙々とまじめに取り組む人でしょうか。
おもしろいことに、ビジネスの場に身を置いている私たちにとって、この「いい人」とは、一種独特の響きや意図が含まれているように思います。
「人畜無害だ」。
「だから、いろいろ都合が良い」。
■”無害”という害
極端かもしれませんが、職場で、誰かが「彼/彼女は、とてもいい人だ」と誰かのことを言うとき、残念ながらこうしたニュアンスが多少含まていることは、なんとなくわかるのではないでしょうか。
「人畜無害の何が悪い?」
こういう人もいるでしょう。もちろん、悪くはありません。
でも、こう考えてみると、どうでしょうか。
「いい人」と評価されている間はずっと、
「彼/彼女は”従順”だから、何を言ってもやってくれるさ」とか、
「害はない人だから、とりあえず頭数だけ合わせるために、置いておけ」とか。
そんな風に自分が言われていたら、どうですか。
私は仕事柄、実際にこうした生々しいやり取りが交わされる場に、何度も立ち会ったことがあります。
そして、こういう「いい人」として名前が挙がる人には、誰もやりたがらない仕事が回ってくることが定石でした。
もちろん、そうした職場ばかりではありませんが、少なくないことは事実です。
■ラベリングの怖さ
「主張しない。害がない。断らない」。
”ない”の3拍子そろった人。
現実として、多くの職場では、「いい人」というのが、こういうタイプに置き換わってしまっていることがあります。
そして、本当に恐ろしいのは、この後です。
いったん、この「いい人」カテゴリーに入れられてしまったら、自力でその領域を脱することは、非常に難しくなってきます。
出ようとすればするほど、どういうわけか、かえって評価が悪くなってしまうことだってあるのです。
周りからすれば、「そんなわがままを言うやつだとは思わなかった」、というわけです。
あまりに身勝手な言い分だと思うでしょうが、これは、誰しもが持つバイアスの一種、「ラベリング」という現象です。
人は他人のことを、記憶しやすいように「彼は●●だ」というラベルを、その人のイメージとして持ちます。
そして、
いったん貼られたラベルというのは、なんと、本人が自力ではがすことができなくなる。
むしろ、そのイメージに操られるように、ラベル通りの行動をしてしまう、というのが、有力な学説にはあります。
つまり、権威のある誰かから、「君はいい人だ」と一度でもラベルを貼られてしまったら、「そうじゃない」といくらがんばろうが、そのイメージから脱却できないばかりか、どういうわけか、むしろそのイメージどおりに振舞ってしまう、という状態にしばられてしまうのです。
まるで、解くことのできない呪いのようなものです。
■「いい人」は結局、「手に余る人」
もちろん組織にいるかぎり、できれば上司やお客様から「いい人」だと思われたいという思いはあるでしょう。
しかし、「いい人」だけを自分の安住の地にする必要はない、ということです。
「いい人」プラスアルファ。
このアルファの部分を、「あなたらしい何か」で補完してほしいのです。
いくらジブンらしい働き方を見つけようとしても、周りの人から「可もなく不可もなし」とか、「人畜無害な人」とか言われていたなら、すべてが台無しです。
ジブンらしい働き方を見つけることが、遠のいていくばかりなのです。
日本の企業には、だいたい「いい人」が集まっているのは事実です。
でも、そこからジブンらしさを発揮する人は、さらに何かをスパイスとして持ちあわせている人なのです。
「いい人でいようとする」行為。
もし今のあなたがその努力をしようとしているなら、ちょっと待ってください。
あなたは今、それによって何を得ようとしていますか。
ジブンらしい働き方を見つけることが、はたしてそれで実現されますか。
自分も、会社も、社会も、はたして理想に近づくでしょうか。
いま一度、今の自分の目指す姿に、立ち戻ってみませんか?
「いい人」も確かに悪くはありません。
でもその前に、ジブンにしかできない、ワクワクする働き方を描いてからでも、遅くはありません。
◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)
われわれが小さな欠点を認めるのは、
大きな欠点を持っていないと、
人に信じさせるためである。
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