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森の奥

森の奥

蝶の森の、生き血を吸う蝶。

その正体は、亡くなってしまった人の魂だと言う。

人の魂がなぜ、人間の生き血を吸う蝶になってしまうのか。

生き血を吸われた人間は、なぜ宝石になってしまうのだろうか。

この村の人間は、人と妖精の間にできた子供の子孫だという。

婚姻は村人どうしばかり。

妖精の血は薄まらない。

村人たちは人として生きて、死んでしまったあとの魂は妖精として振る舞う。

蝶の森の最も

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蝶

の森では、宝石が採れる。

危ないといわれても、僕みたいな貧乏人が、振り向いてもらうには、これしかなかった。

まさか、蝶が生き血を吸って、人間を鉱石に変えてしまうなんて。

失敗した。

 

 
 
欲を出さずに、あの娘の笑顔を見ているだけで満足しておけばよかった···
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

昭和の風景でよく描かれた、紙芝居のおじさんが水飴にくっつけてたやつと、教会で牧師

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夜の水

夜の水

「ずっとこのままでいたい」という気持ちは、ずっと続くのだろうか。

その疑問は滞流せずに流れていった。

「ずっとこのままでいたい」という気持ちが続けばいい。

その願いも、手応えなく流されていく。

夜から滲み出るまどろみだけが留まって、浸された。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

焼き肉ごちそうになった。

彼の

彼の

かたに与えられた、この姿こそがつとめ

天の国よりいづるさいの受難により、方々へ散った、かけらを集める

幾年へても瑞々しくうごめく

かならずや復活をとげられる

我らが運ぶは、彼のかたのお体

 
 
 
 

おととい女性の友人とLINEしてて、「OK」と打ったつもりが「オープンブラ」になっているのに気づかず送信してしまった。

オープンブラと言うのはクソやらしい下着のこと。
 

たい···

たい···

消えてなくなりたい···

このまま消滅してしまい···

パカッ

パカッ

脳内麻薬発動
 
快楽物質カクテル

フィーバーッ!!!
 

 
万能感!
 
 
 
 
 

昔はよくこんなことが自分の身に起こっていた。
最近は酷く落ち込むこともなくなって、そこからの万能感コースもなくなった。

pocket

pocket

彼が居るのは、現世でも、あの世でもない。

彼の魂は、川の渦のようなモノにとらわれて、抜け出せないでいる。

彼は、永い間考えて、そう結論付けました。

退屈でも孤独でも死ぬことはない。

永遠に一人だと思っていました。

やっときた

やっときた

やっときた

流れ着いた他の魂が。

 
 
 
 
 

お盆を意識した話を書きました。
gifも急に動いてビックリするように作ったけど、そんなに

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縫い

縫い

合わされる。

覚えていることと、忘れていること。

縫いあとのように、とぎれても続いている。

ここは、あなたが忘れているところ。

いつものようにとびこえて。

 
 
 

 
 

詩みたいな文章にならないように、かつ、ベタな話にならないよう、心がけているけど、なかなか難しい。 
 

ユダヤ

ユダヤ

教でザクロは、虫のつかない唯一の果実として、神殿の最も神聖な場所へ持ち込みができた。

あなたに虫はよれない。

ここが神聖な場所だ。

 
 
 

 
 
 

この絵は以前付き合っていたかたにモデルをしてもらったものです。 
こん感じに描きましたが、かわいらしいかたで、付き合う以前、イベントでセーラー服でDJをやっていて、DJが終わり、ブースから降りる瞬間ブースの照明が、後光みたいになって、

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言う

言う

とおりにしてれば、治るから。

さあ、食べないと。

よくならないよ。

 

この子の母親を殺したのは俺だ。

肉を食らった。

この子も売るために捕まえたのだ。

しかし、気が変わった。

人魚の肉の言い伝えのない、遠くの海へ。

母親のことを知れば、俺を海の底へ引きずり込むだろう。

でも俺は死ねない体。

海のなかで永遠に苦しむだけだ。

 
 
 
 
 

男を見世物の興行師にする話に

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この

この

花は最後のひとつ。
 

同じ個体の生殖では、環境が変わると適応できないそうだ。

いずれそうなるだろう。

滅びゆくことを決定づけられた花。
 
そう思ってるから綺麗に見えるのだろうか。

 
 

 
 
 

140文字に収まる話を練習中。

よく

よく

見る夢がある。

夢の中で僕は、両手になにかを持っている。

それは大切なのものなのに、何だか思い出せない。

空気に触れないように握りこんでいるのに、それは、少しずつなくなっていく。

哀しい気持ちで起きる。

起きていても、その、ないものを探している気がする。

 
 
 
 

きのう日中、アイスを買いに出た。
カンカン照りで、日差しがえぐりにきてた。
アイスを食べたい気持ちにとり付かれてい

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