見出し画像

真面目にレビュー『ファーザー』を鑑賞させて頂きました。

本作を一言で表すなら、『認知症の追体験』

ぽんずです。
2022年初投稿になります。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

新年一発目に何を取り上げようか迷いましたが、最近見た作品で痛烈に心に残った作品「ファーザー」(2021)を取り上げようと思います。

本作は、2021年(第93回)アカデミー賞で、主演男優賞と脚色賞の2冠。また、作品賞、助演女優賞、編集賞、美術賞でノミネートされました。

特に、主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスの演技に絶賛の嵐。
鳥肌物の演技が各界隈からの賞賛の声多数です。

アンソニー・ホプキンス(1937~)

また、認知症をテーマとした作品で、教養の側面からも興味深い内容になっています。
少なからず将来起こり得る病気への理解に繋がります。

演技・教養の観点からも素晴らしい映画です。
是非、記事を足掛かりに本作を鑑賞して頂けたらと思います。


・注目ポイント

①アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマンの名演。

②認知症を主観的に描いた新たな映画

③結末の見えないスリリングな展開。

簡単に3つほど注目ポイントをまとめました。
詳細については、感想の所で触れたいと思います。


・映画詳細

製作国:イギリス/フランス
公開年:2021
上映時間:97分
監督/脚本:フローリアン・ゼレール/クリストファー・ハンプトン
出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、イモージェン・プーツ、ルーファス・シーウェル、マーク・ゲイティス、オリヴィア・ウィリアムズ

俳優は全て英国俳優。そして、キャストは6人だけと少数精鋭の布陣です。


・あらすじ

ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。だが、それが事実なら、アンソニーの自宅に突然現れ、アンと結婚して10年以上になると語る、この見知らぬ男は誰だ? なぜ彼はここが自分とアンの家だと主張するのか? ひょっとして財産を奪う気か? そして、アンソニーのもう一人の娘、最愛のルーシーはどこに消えたのか? 現実と幻想の境界が崩れていく中、最後にアンソニーがたどり着いた〈真実〉とは──?

Firmarks

Firmarksのリンク載せておきます。
約20000近いレビュー数ながら、平均4.0の高評価。
(Firmarksの4.0以上は基本的に外れはないです。好み云々は置いといて。)


・感想

一言で表すなら、『認知症の追体験』。

主観的に認知症を描く過程が妙にリアルで、その奇々怪々な体験が恐ろしかったです。(ホラー映画見てるかと思いました。)

例えば、主人公アンソニーが「お前は誰だ!」「ここは俺の家だぞ!」「俺の時計はどこだ!」って騒ぎます。いわゆる認知症の症状です。
問題なのは、それを客観的に描いていないこと。
主観的にアンソニーの視点で描かれているので真実が一向に見えてこないんです。この、現実と幻想の狭間で有耶無耶にされる感覚が何とも言えません。真実が見えてこないのでサスペンス要素も醸し出してます。

特に、登場人物が誰だか分からない部分が、ストレスでもありスリリングでもあります。先ほど述べた通り、人物を忘れるという認知症の症状をアンソニー視点で描いているからであり、同時に視聴者も分からないわけです。
この、記憶の歪みの描き方が妙にリアルで、認知症を実際に体験しているような感覚に陥るわけです。

不思議な感覚に陥りながら、「認知症こわー」と思う訳です。
そして、ふと「祖父母や父母が認知症になったらどうしよう」と考えてしまいます。
それこそ、監督フローリアン・ゼレールの思惑通り。
「観客にどんな立場で見てもらいたいか?」という問いに「自分事として見て欲しい。認知症の一部を自分で経験しているような立場で。」と答えています。
(まんまと、思惑にハマってしまいました。)


しかし、なぜ、こうも感情が揺さぶられたのか。
巧みな脚本や監督の手腕、テーマ性も強いなどありますが、アンソニー・ホプキンスとオリヴィア・コールマンの圧巻の演技、観客を引き込む演技が凄まじかった。

オリヴィア・コールマン(1974~)

作品にどんどん引き込まれますし、二人の演技があるからこそ、認知症当事者だけでなく、その家族の想いや感情にも思慮がいくわけですね。

それこそ、親が認知症を患い、子が看護するわけですから、親と子の立場の逆転が起きるわけですよね。両者の側からしても心苦しいですし、親への愛情が強いほど苦しくなる。悲しい運命です。

個人的に最も印象に残ったのが、主人公アンソニーがママに会いたいと涙を流すシーン。
結局人間は、母の愛に行きつく。それが、生物的なものなのか、潜在的に心の奥深くに根付いているのか分かりませんが、純粋な愛だけど切なく悲しい場面でもありました。

総じて、大満足です。

上映時間も100分超えないので見やすいのではないでしょうか。
認知症を客観的に描くと暗い展開になりそうですが、主観的に落とし込むことでサスペンス寄りに本作を展開させた点は面白かったです。
テーマだけに少し暗い内容ではありますが、教養という面でも得るものは確実にありますね。


最後に

もし気になった方は予告編載せてので見てみてください。

2021年1月17日時点では、Netflixで見放題になっています。

追記
(Netflixがあれば基本的に映画生活には困りませんよね。優秀ですよね。
現在、Netflixとアマプラの2刀流ですが、欲をいえばU-Nextにも登録したい。作品数豊富で痒いとことに手が届くんですよねー。
最近だと、Disney+の勢い凄いですよね。MCU好きなんで登録したいのですが、やり方汚いですよね。オリジナルコンテンツが劇場公開の作品に少なからず影響及ぼすなんてセコイですよね。解せない。)

少し愚痴りましたが、決してアフィリエイト的なのは一切関与していないので悪しからず。しがない東京都民です。

また、気になった作品があれば投稿していきたいと思います。
本記事で少しでも皆様の力になれたら幸いです。

ではまた。



この記事が参加している募集

スキしてみて

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?