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楽団日記

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日々の活動の様子や大切にしていることなどを徒然と書いていきます。弦巻楽団の弦巻楽団による皆様のための日記です。公演の特別企画も掲載。
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記事一覧

どうしてあなたはロミオなの?ジュリエット、君が望むなら何者でも無い。

代表の弦巻です。 弦巻楽団演技講座 “舞台に立つ” 『ロミオとジュリエット』 は無事に全4ステージ終演しました。 全員揃って上演を終えられたことをまずは喜びたいと思います。 受講生だけじゃなく講師にも劇団にもまだまだ課題はありますが、120分迸る舞台をじっと見守ってくれた客席の皆様に大きな感謝を。 初日、集中度の高い客席に驚いていると終演後「とんでもねえバッドエンドだ…」と漏らすお客様の声が。凄く手応えを感じました。 「読解力が凄いから物語がしっかり立ち上がるのだ

3ヶ月間の稽古場公演「間奏曲」に取り組む理由:劇団員の自立について(佐久間)

いつも弦巻楽団を応援いただきありがとうございます。楽団員の佐久間泉真です。 僕たちは現在、「間奏曲」と題した稽古場公演企画を行っています。2024年1月〜3月末にかけて、週1〜2回のペースで計18回の公演を予定しています。 演目は、劇団代表・弦巻啓太が2015年に執筆した『四月になれば彼女は彼は』。岸田國士が1925年に発表した『紙風船』を稽古する二人の劇団員のお話です。 出演者は、発起人の佐久間のほか、呼びかけに応えた劇団員4名(相馬日奈、阿部邦彦、イノッチ、柳田裕美

PEACE PIECE

弦巻楽団#39『ピース・ピース』、昨日無事に全10ステージの上演を終えました。 吹雪いた日もありましたが、毎日少なくない当日券をお求めのお客様が来て下さり、励みにコツコツ公演を続けることができました。ありがとうございました。劇場スタッフの皆様、札幌演劇シーズン実行委員会の皆様、本当にありがとうございました。 ちょっと実験的なことしたいんだ〜と呼びかけて(当時・気軽に)集まってくれた3人の出演者には感謝しかありません。騙し打ちみたいな呼びかけだったな…今思うと…。初演からわず

『ピース・ピース』本番迫る。(1/27!)

いよいよ今週1月27日(土)より#39『ピース・ピース』が開幕します。札幌演劇シーズン2024冬の、トップバッターです。 「冬」に開催される最後の札幌演劇シーズンとなります。 12年前、最初の演劇シーズンには出演者で参加しておりました。そう思うとちょっとだけ感慨も湧いてきます。 先日劇場のコンカリーニョで稽古してきました。公開稽古で、一般の方も見学可能でした。淡々と、いつものように稽古したのですが、もう少し盛り上がりを見せた方が…とか少しだけ反省しました。 今回の目玉で

【対談】塚本奈緒美×相馬日奈『セプテンバー』で母娘を演じた二人が語る「娘の気遣いの物語」|#39『ピース・ピース』

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 2022年の初演は、翌年に上演が決まっていた新作公演『セプテンバー』執筆のための"実験的公演"として創作されました。 3篇の「母と娘の物語」によって構成される『ピース・ピース』ですが、『セプテンバー』は4篇目の「母と娘の物語」とも言える作品です。 『ピース・ピース』初演で描かれた断片が

【対談】 藤沢レオ×弦巻啓太「椅子を共有する三人芝居」を語る|#39『ピース・ピース』

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 初演との大きな違いとして、北海道を拠点に活動する金属工芸家・彫刻家の藤沢レオさんの舞台美術が加わります。 作品の重要な要素として登場する「椅子」。これがレオさんによりどのように生まれ変わるのか。美術のコンセプトについて、劇団代表の弦巻啓太と対談していただきました。 藤沢レオ 金属工芸

2023年を振り返る

代表です。間違いなく年の瀬であります。 というわけで恒例の一年を振り返る投稿です。 今年、劇団の公演活動としては 以上です。 なんだ、意外に少ない…気もしますが、これにWSなどの活動や個人の活動を加算すると、 『セプテンバー』や「秋の大文化祭!」キャンペーンで7月以降はたくさんのWSも行いました。 実際6月くらいまではゆとりも多少あったのですが、個人的な事情もあり6月末からはほぼ休みなしでした。特に7月8月は『セプテンバー』準備以外にも色々あって、記憶があんまりありませ

長野県松本市「上土劇場」で演出WS

代表です。 世がクリスマスで華やかなりし頃。 かつて演技講座にみっちり参加し、お仕事の都合で長野に帰られたしのさん。長野に帰ってからも、弦巻楽団の活動だけじゃなく、受講生達それぞれの活動にまで足を運んでくれるようになったしのさん。 そのしのさんの発案で昨年今年と初夏に開催した『演出ワークショップ』を長野県松本市にある「上土劇場」で実施して参りました。 12月23日24日の二日間、合計10時間の集中WSです。 しのさんや上土劇場さんのご尽力で、20名を越す参加者が集まってくれ

【初演の感想】桑田信治さん「『言葉』そのものが作品世界を紡ぎ出す」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

桑田信治さん(TGR審査員)話が進み、本作における演者の役割分担が判ってくるにつれ、僕は物語に引き込まれていきました。 初演のことにパトスは、暖色系の控えめな照明にイス3脚だけのシンプルな舞台。離れて立つ語り(ナレーション)と、母親と、娘。(特に序盤は)大仰な感情表現も少なく、母と娘は演者としてそこに存在していますがセリフは控えめ。娘の一人称で進む物語は、ひたすら淡々とした「語り」がその多くを引き受けます。 強いて言うならスタイルとしては朗読劇に近いのかも知れませんが、セ

【初演の感想】飯塚優子さん「この手法の効果は、さらに生かすことが出来るのではないか」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

飯塚優子さん(レッドベリースタジオ代表)3方向に客席を設えた舞台、椅子のほか何もない空間に白ブラウスに黒スカート、全員ほぼ同じ衣裳の女性3人が立つ。 ひとりが読み、他の二人がそこに書かれてある母と娘を演じる。 読み手と演じ手を交代しながら、母についての3つのお話が繰り広げられる。 読むという行為、語り手という位置は、客観性を担当する。 あるいは内容のほとんどが回想なので「記憶」という主観もはらんでいる。 一方、演者の二人は、語りに合わせて行動するのではなく語られる母と娘の生

【初演の感想】むらかみなおさん「自分と母の歩いてきた道を、振り返らずにはいられない題材」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

むらかみなおさん(宣伝美術/デザイナー)「実験的な企画です」 弦巻さんより初演のビジュアル制作のご依頼をいただいた際に、そう伺いました。 脚本やあらすじもまだ未定。決まっているのはキャストのみ。 「3人の女性キャストから何が生まれるか」をイメージできるようなビジュアルで、というご依頼でした。 そのような創作の過程に興味を惹かれたのもあって、チラシを納品して以降、その後の過程をあえて見ずに本編を見ようと決めました。 SNSからの情報も一切入れないよう、1ヶ月慎重に過ごして劇場に

【初演の感想】末広亭柏倉恭三さん「我が事のように心を揺さぶられる」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

末広亭柏倉恭三さん(TGR2019〜2022審査員)TGRにかかわらせていただけた最後の年に観られた作品。わたくしは仕事中の事故でTGRから離れたのだけれども、その時点で大賞に推していたのはこの作品でした。 派手ではなく、奇をてらうでもなく、淡々と自らの裡にある思い出を紡ぎ織りなす掌編の私小説、三篇。 静謐な空間に、暖かくて優しくて、ほんの少し悲しい、いつだって思いどおりに行かない現実に翻弄される、どこにでもありそうで、どこにも無さそうな、母と子の物語。 そして、劇場で

窓に飾る花のように

代表です。監修・演出を務めた深川市民で創る創作劇『フラワーズ・イン・ザ・ウインドウ』、大荒れの天気がやってくる直前(ぎりぎり)に無事に終演することができました。遠方から来てくれた知人も多く、終演後の雪と風にみな無事に帰れたか心配になりました。大変な中、劇場に足を運んでくれてありがとうございます。楽しんでいただけたなら嬉しいです。 今回は主催者からの要望であったり、僕自身のスケジュールの都合もあったり、自分がこうした「市民劇」にイメージするあるべき形を模索する中で、参加者皆さ

【初演の感想】まとめ|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 作品の魅力を多くの方に知っていただけるよう、2022年初演をご覧いただいた方に、ご感想を提供いただきました!ぜひ観劇のご参考にしてください。 01. 種村剛さん(北海道大学・教員)続きはこちら 02. 末広亭柏倉恭三さん(TGR2019〜2022審査員)続きはこちら 03. むらかみ