【初演の感想】飯塚優子さん「この手法の効果は、さらに生かすことが出来るのではないか」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬
飯塚優子さん(レッドベリースタジオ代表)
3方向に客席を設えた舞台、椅子のほか何もない空間に白ブラウスに黒スカート、全員ほぼ同じ衣裳の女性3人が立つ。
ひとりが読み、他の二人がそこに書かれてある母と娘を演じる。
読み手と演じ手を交代しながら、母についての3つのお話が繰り広げられる。
読むという行為、語り手という位置は、客観性を担当する。
あるいは内容のほとんどが回想なので「記憶」という主観もはらんでいる。
一方、演者の二人は、語りに合わせて行動するのではなく語られる母と娘の生身に迫ろうとする。
3面の客席のどこに座るかによって、3人の俳優の立ち位置は異なって見え、3人が順ぐりに交代して、3つのお話が続くという「閉じた循環」によって、観客は何を根拠に想像力を働かせたら良いのか、混乱し揺らぐ。そこが面白い。
この手法の効果は、さらに生かすことが出来るのではないか、
どこかにちょっとだけ逸脱があったら、さらに衝撃的ではないか、
などとあれこれ考えてしまう。
かつて「父」について直球で語る芝居を創った弦巻さんだがこの度は「母」がテーマである。
その手触りの違いに何を見るか、いまはまだ分からない。
弦巻楽団#39『ピース・ピース』
舞台には3人の女優。かわるがわるそれぞれが「母」について語り、少し奇妙な、しかしありふれた母と娘の姿が描かれる。
彼女たちの口から語られる「母」の姿は、『冷たい女』、『弱い女』、そして——。
「母」について語り、同時に「母」を演じる3人の女優。
母として、時に娘としてそこに現れる彼女たちの姿から、母から娘へ引き継がれる祈り、願い、あるいは呪縛を描きます。モノローグのような、ダイアローグのような、そこにあるのは不思議な心の安らぎ。
出演
赤川楓
佐久間優香
佐藤寧珠
日時
2024年1月27日(土)〜2月3日(土)
会場
生活支援型文化施設コンカリーニョ
札幌市西区八軒1条西1丁目 ザ・タワープレイス1F(JR琴似駅直結)
TEL 011-615-4859
→Googleマップを開く
料金
前売・当日ともに
一般:3,000円
U-25:2,000円
高校生以下:1,500円
その他お得な回数券もあり! 詳細は札幌演劇シーズン公式サイトをご確認ください。
スタッフ
作・演出:弦巻啓太
照明:手嶋浩二郎
音響:山口愛由美
舞台美術:藤沢レオ
楽曲提供:橋本啓一
宣伝美術:むらかみなお
制作:佐久間泉真 ほか
主催:札幌演劇シーズン実行委員会、演劇創造都市札幌プロジェクト、北海道演劇財団、コンカリーニョ、BLOCH、札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)、北海道立道民活動センター(道民活動振興センター)、北海道文化財団、ノヴェロ、札幌市
後援:札幌市教育委員会、北海道新聞社、朝日新聞北海道支社、毎日新聞北海道支社、読売新聞北海道支社、日本経済新聞社札幌支社、HBC北海道放送、STV札幌テレビ放送、HTB北海道テレビ、UHB北海道文化放送、TVhテレビ北海道、STVラジオ、AIR-G’エフエム北海道、FMノースウェーブ、FMアップル、三角山放送局、北海道
連携:札幌国際芸術祭実行委員会
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?