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やればできる子 〜自由奔放な母、タモヨ3〜 #012

母タモヨ(*)はバイタリティに溢れている。

以前から続けている洋裁や、パソコン教室、水泳などいろいろな教室に通い、飼い猫を愛し、六十七歳で初めてスマホを買った。

お母さんスマホ買ったのよと家の固定電話から連絡があり、使い方がわからないという母に会いに、実家に行った。その時、便利だよと伝えてLINEを交換し、妹と私と母のLINEグループを作った。

猫や作った洋服の写真を撮ったり、送ったりできるのが便利そうね、とタモヨは嬉しそうだ。

数日経ってメッセージが来た。

「お母さん、新しいコート作ったよ(音符の絵文字)見て。初めて写真(写真の絵文字)送ります」。初めてのメッセージで洋裁で作った冬用のコート画像や絵文字を送ってきたことはすごいが、何よりそのあとで送られてきたスタンプに驚いた。

「以上、タモちゃんでした」
「やればできる子、タモちゃんです」

なんと母は、有料の「タモちゃんスタンプ」を自分で購入して送ってきたのだった。「やればできる子」と自信満々だ。

ある時は「タモちゃんと飲もう」というスタンプが送られてきた。スタンプのキャラクターはビールを手にしている。母から飲み会の誘いか?と思ったら、「スタンプ間違いました(泣き顔の絵文字)」と来て、安心したが、なんだか少しがっかりした気もする。

昼頃帰省しようとした際「ご飯食べますか?」という母の質問に、「お昼は食べたよ」と返したら、タモヨの返信は「理解」のみだった。女子高生か。そのうち返信は「り」(「了解」の意)になるかもしれない。

最近会った時、73歳になった母に、新しく買ったスマートウォッチを自慢された。また「こっちの方が安いのよ」と、新しい光回線と格安SIMにしたエピソードを聞かされた。さすが、やればできる子、タモちゃんだ。我が母として頼もしい限りである。いつまでも元気でいて欲しい。

2023年10月6日執筆、2023年10月10日投稿


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