死ぬまでわからないことがあってもいい【オンラインナースのお仕事】
※この記事は、双極性障害の朝日さんの原稿をもとに、看護師の私の視点を入れ書きこしたエッセイです。
なんでもっと頑張れないんだろう、どうしていい結果がでないんだろう。高校2年生のとき、部活で全くと言っていいほどタイムが伸びませんでした。1年生のときよりも、むしろ、中学のときよりも、遅い。当時は、トレーニングを積んだ分だけ速くなれると信じてやまなかったから、まわりがどんどん活躍していく姿を見て、どうして自分はと思い悩む日々が続きました。
けれども、それは決して私だけはなく。チームメイトにも、同じように苦しんでいる子がいました。互いに励まし合ってきたと思います。それでも、心が晴れることがないまま。そんなある日、彼女は私に重い口を開きました。
「自分の実力はこんなもんじゃない」スポーツをする上で大切な心構えだけど、それを「こんなもんなんだ」と受け入れる方が、それよりももっと困難で。でも、彼女は決して向上することを放棄したわけではありませんでした。明るく懸命に、その後も練習に励み、試合に挑み続けました。
「そんなことない、もっとやれるよ!」と彼女に伝えたように思います。でも「ううん、受け入れる」と、諭すように話していました。事実だけを受け止めることが、前を向いて生きていくには、とても重要だと、今なら痛いほどわかります。私は、彼女のように割り切れなくて、ずっとしんどいと感じていたから。
練習はした。けれどもタイムは出ない。なにが悪かったんだろう、何が欠けていたんだろう…それは負のループ。
練習はした。けれどもタイムは出なかった。それだけのこと。そう思えた彼女は、それまでよりも、笑顔が増え輝かしく見えました。
誰よりも練習したからといって誰よりも結果が出るように、人生は作られていません。時に不条理だと思うくらい。そこに答えなんて、簡単に見つかるわけでもないのです。
人生は矛盾ばかり。自分のことだってわからないのだから、他人のことなんて、もっとわからなくて当たり前。死ぬまでわからないことだらけです。でも、それでいいのだと思います。事実だけ受け入れて、その裏側なんて知る必要はないって。そう思えるだけで、随分と楽に生きられる気がしています。
※このマガジンは、個人が特定されないように書こうと留意しています。でも、朝日さんは「別に自分だと気づかれても構わない。それよりも、同じ病気の人を救えるのならという思いが優先する」とのこと。関係者の方は、そっと見守ってくださると幸いです。
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