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ツキノエッセイ

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なにげない日常だったり、ふらりと立ち寄った過去や、ふと思い出した記憶を拾い集めて、言葉の花束にしてみたい。 切り取ったシーンをそのままに ノンフィクションを始めてみる。 人生…
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#私の作品紹介

わたしの中の小さなわたし

わたしの中の小さなわたし

目覚めたばかりの太陽が
小さなベランダの植物たちに
あたたかな光を届けてくれる

ゆれる葉っぱたちの甘い匂いに誘われて
わたしの呼吸はどんどん深くなっていく

こんな優しい朝があったなんて

あの頃、まだ小さかったわたしは
ずっと夜を待っている子だった
朝なんて来なければいいのにと
毎晩祈りながら眠っていた

長い間、孤独の住人だったわたしは
闇の中にしか居場所を見つけられず
人と関わることに強い

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雨音

雨音

さらさらと雨の音が響く朝、
耳の奥をくすぐられているみたい。

今日が日曜日であることに心底ホッとする。

まだ布団から出たくない。このまま永遠に雨音を聞いていたい。いつまでも。

そういえば、あの人に会う日もよく雨が降っていた。買ったばかりのスニーカーを履いて会いに行く。白いコンバースが汚れることさえも、心が弾む魔法のように思えた。いつだってわたしの足取りは軽かった。

好きな人にただ好きだと伝

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