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センスの戦い #11

多くの人がオシャレでセンスが良い人を羨ましく思った事があると思います、ではそのハイセンスの持ち主は元からセンスが良いのか?
僕は違うと思う。

ズバ抜けたハイセンスがあるわけでもないのにセンスについて語るなどおこがましいが自分の考えを整理する意味で僕の職業であるヘアースタイリングを例にこの正解と形のないセンスについて書いてみようと思います。



先天性か後天性か


ハイセンスの持ち主は生まれつきセンスが良いのか、先程も言ったがそれは無い、生まれた瞬間は誰だって0からのスタートです。

喋れない、服を自分で選んで着れない、ヘアーカットはできない、でも歳を重ねるにつれ少しずつ他者との違いが出てくる。これは親が何を与え学校や社会で何を見て影響を受け何を体験してきたかどうかで決まってくると思います。


センスの良し悪しは後天性、つまり体験学習の積み重ねの内容によって決まる。



技術 VS センス


ヘアーの世界では技術を磨く事に多くの時間を費やします、とにかくひたすら反復練習です。

僕は自分を含め多くの美容師、ヘアースタイリストを見てきましたがどんなに不器用な人でも教わって反復練習を続ければ絶対にある程度の技術が身につきます

ですが多くの美容室ではセンスを教える事にわざわざ時間を取りません、もしスタイリストデビューするための技術カリキュラムにセンスと言う項目があったらデビューするのに6年以上はかかってしまうでしょう、そして正解の無いハイセンスを教える事は非常に難しいので自分で磨いていくしか無いのです。

朝練して仕事して夜練して毎日クタクタで休日にやっと遊ぶべる、一週間168時間中センスを磨く時間などほとんど無いのです。

ですが誰だってセンスの良い人に髪をやってもらいたいですよね、、、

ではセンスがいかに重要か、説明してみます。


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この2枚の作品、ネットで見つけてお借りします。


髪の色、美しいblue eyeの白人モデル、カットライン、ポーズなど非常に似ていますね。どっちが可愛いとかカッコいいでは無く明らかに右の方がセンスの良さを感じませんか?

技術的にはボーダーの服にあわせてカラーリングをしているので左の方が難しい技術を駆使しているわけですがこの2つの完成度には歴然の差がある、そう、センスの差です。

髪の質感、色味、カラーの入れ方、指の形、表情、蝶と蝶ネクタイ、髪の色と背景の色の相性、服のデザイン、光のあたり方、メイクと髪のバランス、右はそれら全てが良いバランスで表現されている。


何が言いたいかと言うと、いくら条件が同じで技術があってもセンスが悪いと全て台無しのなってしまうのです。


これはヘアーに限った事では無く世の中に存在する全ての物が技術とセンスの集合体でできていると僕は思っています。

技術とセンスの良し悪しがその物の価値に比例しています。高級な物はこの両方のレベルとバランスが良いから高級なんです。



見極める


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この写真は「プラダを着た悪魔」のワンシーンです。

先輩達が似たような2本のベルトのどっちを使うか議論しているのを見た新人エディタがクスっと失笑しながら言った一言ですね。

もちろんプロの目には多くの知識からどっちが正解か判断がつくのですが彼女にとっては全く同じベルトなんです。

クリエイションはこれぐらい小さな違いの2択の連続です、先ほどの2つの作品も1つ1つの要素に大きく違う点はないんですが口の開け方、指の置き方ぐらい小さな選択の違いから大きな差になってしまいます。


僕は毎回仕事の度に技術と戦っていると言うよりはこの沢山の小さな2択と戦っている感覚です。 頭でこれを理解して沢山勉強しても、えーー!?ヤバッ!と思わせられるハイセンスの持ち主達が撮影現場には沢山いて尊敬と嫉妬をする毎日です。

一緒に仕事をする人達がハイセンスであればあるほど自分のセンスが鍛えられるんです。



センスを磨く


ここまででクリエイションにとってセンスが大切で磨くべき物だと認識していただけたかと思います。では実際どうやってセンスを磨くのかってとこなんですが僕のやり方は意識してインプットするという方法です。

意識してとは、日常生活で多くの物を見たり聞いたりすると思いますが無意識だとただ見ただけになってしまい記憶に残らないけどセンスの為にと意識してインプットすると吸収力が違う。メモを取っておこうとか写真を撮っておこうとか買ってみようとなります。 

1つ1つが自分のセンスになる事を意識するんです。


それと出来るだけ自分の専門外のこともインプットすると良いです。いつかそれが間接的に自分のクリエイションの助けになる時が来るはずです。

そして当然できるだけ沢山アウトプットもしなければ自分の物になりません。 技術と同じでハイセンスを身につけるにはインプットとアウトプットの反復練習ですので。


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これはJim Manganというアーティストの地球上の美しい地表の写真だけを集めた写真集です。髪とは全く関係無いんですがつい美しくて購入しました、これはとても良いインプットになりました。

このインプットから僕なりにアウトプットしたのがこれです。

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今までは髪の形にフォーカスした作品ばかりでしたがこれは髪の質感だけにフォーカスした作品です。

このようにもっとセンスを磨きたいと意識してインプットした物から生まれる作品もあります。


自分には生まれつきセンスが足りないなと思っていた方、大丈夫、もっと意識してみてください、きっと仕事と日時生活がより豊かになると思います。


Tsuki







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