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豊かに生きる建築家へ 。はじめまして、岡田宰です。

はじめまして、建築家の岡田宰(オカダツカサ)です。
noteを始めます。

いきなりだが、僕は文章を書くのが、大が付くほど苦手だ。というかほぼ嫌いに近い。誤字脱字もしょっちゅうだし、文法や構成の基本的なこともきちんと理解できていないと思う。

(建築家・デザイナーという職業は、意外にも文章を書く機会が多いのだが、それに気づいたのは独立してからだった。。)

では、そんな人間がなぜわざわざ、文章のプラットフォームnoteを始めようと思ったのか。少しだけお付き合い頂ければと思う。


自己紹介

僕は現在、建築家・デザイナーとして活動している。2id Architectsという一級建築士事務所を主宰している。建築・インテリアから家具のデザインまで幅広く手掛け、商業施設、オフィス、住宅などをデザインしてきた。
自分で言うのもおこがましいが、客観的に見ても割と順調なキャリアを積んできたと思う。大学で建築を学び、ミラノ留学を経て、有名設計事務所と言ってもいいだろう、wanderwallKlein dytham architectureで経験を積み、独立。その後も徐々に仕事の規模も大きくなり、運良く国際的なアワードも数多く受賞させてもらった。そして、新たな代表作になりそうな、大きなプロジェクトが2つほど着工する直前、コロナがやってきた。

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(dezeen award 2018 受賞時の写真  右:  岡田宰/ 2id Architects 、左:小野寺匠吾/ office shogo onodera


コロナの変

結論から言うと、コロナによって、これまでのプロジェクトの8割くらいが中止、または延期になった。商業やオフィス系のプロジェクトがメインだったということも大きく影響した。こればかりは運が悪いと思うことも出来たが、自分的にはどうしてもそうは思えなかった。自分の準備不足であり、リスク分散(事業の多角化など)が出来ていなかった、経営のミスだと猛省した。(幸いにも現在はコロナ以前と同程度のプロジェクト量に戻ってきている。)

一方で、プライベートの生活はと言うと、むしろ順風満帆というか、コロナのおかげ。という感覚すらあった。
僕は2015年から東京ー浜松の2拠点で生活、活動を続けていた。
家族は浜松を拠点に生活し、僕だけが行き来している状態だったが、コロナによって移動が制限された。と同時に取引先のリモート体制が整い、浜松にいながらも東京のプロジェクトを問題なく進めることができる様にもなった。

結果、浜松で過ごす時間が増え、家族との時間も増え、数年前に建てた自邸「白岩の家」を最大限に生かした、理想に近い暮らし・働き方が実現したのだ。

ということもあり、2020年は『仕事は最悪、暮らしは最高』と言う謎の状態がしばらく続いていた。

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(パーゴラ下でのリモートワーク風景)


建築家レースでの敗北

僕は独立した人なら皆が一度は思ったであろう、憧れの建築家・デザイナーの諸先輩たちのようになりたい。という、ごく普通の野望?名誉欲?みたなものを持っていた。(正直現在も捨て切れてはいないと思う。)

そして、無自覚のまま同世代のライバル達と、同じ山の頂上を目指すレースに参加してしまっていた。有名建築家・デザイナーになることを目指していた。

しかし冷静に周りを見渡してみると、そのライバルの多さ、そして、彼らの建築・デザインに対する熱量はものすごかった。息を吸う様に仕事に没頭し、徹夜もいとわず、効率性などお構いなし。最後の最後まで自身の作品のためにこだわり抜く。時間があれば、あるだけ考える。

一方自分はというと、いかに良い作品を”効率的に作れるか”を考えた。「時間=良い作品」なわけがない。欧州の人たちを見てほしい。バカンスを大切にしながら、良質なデザインをいかに生んでいることか。仕事以外の時間の過ごし方が、結果的によいアウトプットに繋がると信じていた。
そのためのプライベートの時間の確保は、徹底的にこだわった。

結果どうなったか。

コロナの影響で一時的かもしれないが、僕は仕事を失った。しかし、周りの熱量モンスターの建築家・デザイナー達はどうか? むしろコロナ以前よりも忙しくなっているようだった。

飲食店を筆頭に他の業界でも同様なことがおきていたように思う。コロナによってあらゆることが本質化し、2極化した。生き残るものと淘汰されるもの。

僕は完全に淘汰されていた。

最初はこの感覚を受け入れたくなかった。すこし大げさではないか?たまたまでないか?とも思った。しかし、仕事のない実状、変化した社会全体を冷静に見渡して、現状を素直に受け止めることにした。

自分はレースに負けた。   と認めてみようと。



シフトチェンジ

そこで、これまで目指していた目標、路線を変更する決断をした。

諦めるにはまだ早いという声もあると思う。しかし今は、例え状況がさらに悪化するとしても、変化すること自体に価値があると、信じてみることにした。そのくらいの大きなチャンスだと前向きに捉え直した。

では、自分の熱量はどこにあるのか。息を吸う様にできることはなんだろうか?1番のこだわりはなにか?有り余る時間と共に徹底的に自分と向き合った。そして見えてきたのは、


「豊かな暮らし」を求め、実現しようとする力だった。


何をぬるいのことを言っているんだと思われるかもしれないが、
自身の過去を振り返ってみると、そこへのこだわりは人一倍だったと思う。

豊かな暮らしを実現する。
そのために仕事の効率化を求めるし。
そのためにプライベート(家族との時間)の時間を大切にしているし、
そのために2拠点生活で、都市と自然を行き来しているし、
そのために建築・デザインがある。

と信じて活動してきた。

アトリエ事務所時代も、新卒で右左もわからないペーペーのくせに、上司・先輩を差し置いて、空気を読まず、誰よりも先に帰っていた。(同業の方ならこれがいかに異常か分かってもらえると思う。)
独立したのも、自分のデザインを実現したいという面だけでなく、「豊かな暮らしを実現するために」、働く時間や場所、行動を自由にコントロールしたい。という側面も大きかった。

僕は、良い建築・デザインを求めるだけでなく、同時に「豊かな暮らし」も実現したいと思っている、すごく欲張りな人間なのだ。

それに改めて気づかせてくれたのが、まさにコロナがもたらしてくれた、豊かな暮らしの時間だった。そして、自分の目指すべき方向が見えた気がした。

良い建築家、デザイナーの前に、「良い生活者」を目指そうと。

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( 裏庭での土いじりとコーヒー)


アウトドアブランドとソーセージ

そう思い始めた途端、思考が自由になった。
自分がいかに建築やデザインの狭い世界に囚われていたのか。改めて気づかされた。

何かを始めよう。

これまでも複業への関心・重要性は理解していたつもりだが、建築家として軌道に乗ってからだ。と言っては、行動に移しきれていなかった。
しかし、今はそれどころではない。

何か、もっと自由に、肩肘貼らずに、暮らしがより豊かになることを始めたい。そう思えた。そうすれば、結果的に巡りめぐって、これまで以上に良い建築、デザインが生まれる気さえしてきた。


さて何を始めよう?
できるだけ建築・デザインとは関係ないことがいい。ただ、これまでの経験やスキルは生かしたい。

その答えが、
we know enough < 

おかだソーセージ
である。


簡単に説明する。
we know enough <  (ウィーノーイナフ )は、倫理的な視点を大切にし、自然と社会を共に豊かにするものづくり。環境配慮型アウトドアガレージブランドである。(6月初旬から第一弾プロダクトの焚き火をMakuakeで、先行予約販売中。) 下記詳細↓

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一方、おかだソーセージは、キャンプ/BBQ向け、無添加の生ソーセージ。正確にはサルシッチャ。(イタリア留学時代に大変にお世話になった。)ただのソーセージ好きおじさんによる、自家製ソーセージ商品化に向けての試行錯誤の奮闘記である。

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なぜアウトドアブランド?なぜソーセージ?
突然過ぎて訳がわからないと思う。

でもそのくらい唐突なことがちょうど良かった。

今までの仕事の隣くらいにありそうな仕事では面白くない。多拠点を作るのに、隣町に新しい家を建てても意味がない。出来るだけ遠く。出来るだけ関係性がないこと。そこが大事だった。リスクヘッジとはそういうものだ。

しかし、これらの新たな活動が、豊かな暮らしに繋がることだけは容易に想像がつく。
なにせアウトドアソーセージだ。

もちろんなぜそれらを始めたのかには明確な理由はある。想いみたいなところも含めたら、すごく長くなりそうなので、それはまた別の機会に譲る。

兎にも角にも、アウトドアブランドとソーセージが始まった。



ライフスタイルの発信

そんな活動や自身のライフスタイルを少しずつ発信をしていると、以外にも興味を持ってくれる人がちらほらと出てきてくれた。これまでの建築家像とは違う、これからの時代にあった、建築家の暮らし方や働き方に、共感してもらえている感じだ。

そして、建築家・デザイナー界隈で行われるそれとは、全然違うコミュニケーションが生まれている気もした。

簡単に言うと、より幅広い人と関心を共有できている感覚だ。

負け犬の遠吠え的な感覚で、100%のリスペクトを込めて言わせて頂くと、
建築の世界は違う。難しい言葉を使って、難しい話をする。それが建築家だ。そう教わった。一般の人にわかりやすい言葉でなんか話してくれない。厳しい世界だ。学問として、お互いの作品を批評し合ってこそ価値がある。それでこそ建築家だ。

そんな建築家が山ほどいる。

半分冗談だが、半分は本当だ。

やはりそういう空気感が窮屈だったし、自分には明らかに合っていなかった。もっと楽しく建築・デザインと向き合いたい。
「建築を親しみやすく」「建築を楽しく」
正統派ではないかもしれないけれど、それが岡田宰の建築家としての役割なのかもしれないと思っていた。


話を戻す。


しかし、アウトドアブランドとソーセージは違う。もっと単純で、もっと気楽で、もっと普通の会話。普通の言葉で、普通にわかりやすく、多くの人と共感しあえる会話が出来た。


それが心地よかった。建築の世界だけでは味わえなかった、豊かさを感じるコミュニケーションだった。

今はそれが楽しいし、自分には合っている気がする。
だから、これからもそういったコミュニケーションを続けられる場所を作りたいと思った。


だいぶ長くなってしまったが、
それが文章が苦手な僕がnoteを始める最大の理由だ。



決意表明 (仮)


今の岡田宰にはいくつものタグがある。
instagramではそれぞれ別のアカウントを作って、SNS上に発信を続けている。

*建築家・デザイナー  → @2id_architects
*プライベート → @tsucasa_okada
*アウトドアブランド → @weknowenough
*ソーセージ → @okadasausage

Instagram上では世界観を統一した方がいいだろうと思い、それぞれを別アカウントで発信することにしている。しかし、根幹は”岡田宰”という一人の人間がやっていることでもある。
だから、このnoteでは、建築家という立場を軸にしながらも、右往左往しながらもがく姿を、ひとつにまとめて、さらけ出す場にしていきたいと思う。そして、そこから生まれる様々なコミュニケーションに期待している。

だから、これからは定期的に、文章下手を改善するトレーニングも兼ねて、豊かに生きる建築家としての姿を発信していきたいと思う。


目標は週に一回。
(これでもかなりの負担だ。今回の投稿を書きあげるのに2週間以上かかってる有様だ。。)

肩肘貼らずに、ゆるりと続けていきたいと思うので、暖かい目で見守って頂きたい。そして、フォローも忘れずに。(頑張れます!)


次回は、なぜ建築家がアウトドアブランドとソーセージを始めるのか。
にしようかな。

今後ともよろしくお願いします!

2021年 5月 /  岡田宰





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