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通勤者向け相乗りソリューションの可能性

トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation)が今年の1月から実施していた、ブラジルの都市部の交通アクセスを改善するアイデア・コンテストの結果発表が行われたそうです。

最優秀賞に輝いたのは、Byndという通勤者向けの相乗りソリューション。

Byndは、従業員が通勤に使う車での従業員同士の相乗りを促進させるためのプラットフォームを提供しています。

これを利用することで、会社側には駐車場の削減や通勤用チャーターバスの手配にかかる経費節減のメリットが生まれ、一方の従業員には従業員同士のネットワーキングの機会が提供できるとしています。加えて、都市部の渋滞や環境負荷といった外部不経済の軽減ができる、というのが同社の提案。

このByndとの契約は企業単位で行われ、同じ会社の従業員同士が専用アプリで相乗りのマッチングをする仕組みとなっています。

公共交通は不便だという常識から、車を持つ人が同僚や友人に相乗りをオファー(当地では「カローナ」と言います)する文化が元々あったブラジルならではのソリューションと言えます。

ITを駆使することで、相乗りの対象範囲を同じ会社の従業員にまで広げるだけでなく、インセンティブもきちんと考えられています。従業員の参加率を高めるために、外部のマイレージサービス会社と提携し、参加者にはポイントを付与するという仕組みです。

オープンな相乗りサービスも登場するブラジル

ブラジルの相乗りサービスでは、Googleが提供するナビアプリのWazeがWaze Carpoolを立ち上げ、同じ方面に通勤する人同士をマッチングさせるサービスを提供しています。

相乗りマッチングサービスは、何も短距離の通勤だけに限りません。遠距離ドライブでも、BlaBlaCarという相乗りマッチングサービスがあります。このサイトでは、なんと1,000kmを越す都市間ドライブのオファーまで見つけることができます。

以前「車を買わなくなるのは、日本の若者だけではない」という記事を書きました。スマホから指先1つでUberなどの車を呼び出し、街中を移動できることを覚えたシェアリングサービスのネイティブ世代の登場が、一体どのように社会を変えていくのかを考えた話でした。

タクシーやUber、あるいは上で紹介したBlaBlaCarような偶発的なモビリティ需要ではなく、人の動きが断然見えやすい通勤・通学での人の動きに対するテコ入れは、公共交通機関の拡充がすぐには期待できない環境であればあるほど、企業も率先して取り組み、そして新たなソリューションが生まれてくる可能性がありそうです。


参考記事:


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