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政治講座ⅴ1190「ドイツ経済の縮小の原因」
中国とロシアに依存し過ぎた報いが今の経済低迷である。「中庸の徳」、「過ぎたるは及ばざるが如し」とはよく言ったものである。今回は、ドイツの経済についての報道記事を紹介する。
皇紀2683年7月1日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
ドイツ経済、予想を上回るスピードで縮小
Simon Constable によるストーリー • 昨日 11:30
滅多にないことだが、ドイツは今や「欧州の病人」のようだ。この言葉は以前、英国を表すのによく使われていた。
最近のデータによると、企業部門の健全性は6月に著しく低下した。ドイツ企業の景況感を示すIfo景況感指数は、5月の91.5から6月は88.5へと落ち込んだ。同指数は高いほど経済が好調であることを示し、低いほど経済が低迷していることを示す。
経済低迷は先週発表された製造業購買担当者景気指数(PMI)にも現れていた。PMIは5月の43.2から6月は41へと大幅に落ち込んだ。50を下回る数値は縮小を示す。
英ロンドンを拠点とする経済調査会社キャピタル・エコノミクスの最近の分析によると、これらの経済指標は通常、国内総生産(GDP)成長率と密接に相関する。キャピタルのレポートはこの状況を次のように説明している。
「全体として、6月の調査結果はドイツのGDPが第2四半期に再び落ち込むという当社の予測と合致する。実質所得の伸び悩みや金利の上昇、外需の低迷が引き続き経済活動の重しとなるため、第3四半期と第4四半期にはさらなる縮小が予想される」
言い換えると、2023年はドイツ経済が全四半期で縮小する年になるということだ。 これは問題だ。なぜなら、ドイツ経済は欧州で群を抜いて大きく、アナリストはしばしば欧州連合(EU)の経済のエンジンとして見ているからだ。つまり、現在のドイツの経済成長ではEUはほとんど成長が望めないということだ。
経済情報サイトのトレーディングエコノミクスは、ドイツ経済は来年から若干改善すると予測している。
現在の弱さの一因は、ドイツがその強大な製造基盤を動かすために、これまでロシアからの安価なエネルギーに大きく依存してきたことにある。ロシアが昨年2月24日にウクライナに侵攻したことでその前提は明らかに崩れた。
原子力発電所を廃止するという2011年の決定も状況を悪化させた。もちろん、廃炉の結果、エネルギー価格は大半のアナリストの予想をはるかに上回って上昇した。
昨年のウクライナ侵攻と夏の猛暑を受けて、欧州の天然ガス価格は2021年12月下旬のメガワット時あたり67ユーロ(約1万570円)から昨夏には339ユーロ(約5万3490円)に跳ね上がった。トレーディングエコノミクスのデータによると、その後33ユーロ(約5210円)まで下落している。
一方、他の多くの自由主義の国が中国との関係を断とうとしている中、ドイツは両国間の貿易関係を良好に保つためにできることをしている。
米コンサルのユーラシア・グループの最近の報告書は、この状況を次のように説明している。
「ドイツのショルツ首相は6月20日に行われた待望の中独政府間協議の後も、中国に対して比較的ビジネスフレンドリーな路線を継続することを決めているようだ」
ドイツのアプローチは米政府の一部の人々を失望させるかもしれないが、中国と多くのビジネスを行っているドイツ企業の経営者らが歓迎することは間違いない。
「ドイツ政府は経済的機会を重視する姿勢を大きく変えることはないだろう」とユーラシアの報告書にはある。言い換えると、少なくともしばらくの間はこれまで通りのビジネスが続きそうだ。(forbes.com 原文)
ドイツがリセッション入り、エネルギー価格高騰による消費低迷響く
2023.05.26 Fri posted at 10:49 JST
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ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)最大の経済規模を持つドイツがリセッション(景気後退)入りしたことが、25日発表の公式データから分かった。昨年のエネルギー価格の高騰で消費が落ち込んだことが要因とみられる。
ドイツの1~3月期の国内総生産(GDP)は前期比0.3%減と、昨年10~12月期の0.5%減に次ぐマイナス成長を記録した。連邦統計局が当初のゼロ成長から下方修正した。
GDP成長率が2四半期連続でマイナスになると、リセッションと定義される。
連邦統計局は、物価高の継続が依然としてドイツ経済の重荷になっていると指摘。とりわけ家計の最終消費支出は1~3月期で1.2%低下したと明らかにした。
パンテオン・マクロエコノミクスでユーロ圏担当チーフエコノミストを務めるクラウス・ビステセン氏によると、第1四半期の消費者支出は「エネルギー価格ショック」に水を差されたという。
欧州のエネルギー価格はロシアがウクライナに侵攻した昨年2月からすでに上昇し、記録的な水準に達した。ロシア政府がその後も欧州諸国への天然ガス供給を制限し続けた結果、ドイツの経済状況は深刻化した。
天然ガス価格はその後低下し、現在は2021年後半の水準に落ち着いた。これは消費者支出に対するインフレ圧力の緩和を示唆する。4月のドイツのインフレ率は年率換算で7.2%に低下したが、それでもまだ高い水準にある。
ドイツのリセッションについては、長く続かない兆候も出ている。今週発表された5月のデータによると、国内の企業活動は再び増大に転じた。ただ製造業は大きな落ち込みを記録している。
ショルツ首相はドイツ経済の見通しを「非常に良好」と説明。直近の数カ月で複数の施策を打ち、再生可能エネルギーの分野などで大幅な拡大を見込んでいることを示唆した。
ドイツ経済モデル破綻がギリシャ人の同情を誘う訳
2022.8.17
![](https://assets.st-note.com/img/1688184577671-Fj8CB4NrSP.png?width=1200)
目が覚めたら自国のビジネスモデルが破綻していた、というのは決して心安らかなことではない。否定しようのないことではあっても、受け入れ難い。すなわち、自国の政治指導者は何十年にもわたって、私たちがコツコツと働いて実現してきた生活水準が崩れることはない、と保証してきたが、それは彼ら自身が欺かれていたか、彼らが私たちをだましていたのだ。
近い将来は、こちらを押しつぶそうと決意している外国人の慈悲にすがるしかない。あれほど信頼していた欧州連合(EU)は、ずっと隠蔽(いんぺい)工作に従事していた。今こそ仲間であるEU加盟国に支援を求めているというのに、彼らはこちらを、とっくの昔に天罰を受けるべきだった悪漢だと考えている。自国の、そして世界各国の経済エリートたちは、この国を確実に泥沼に落としておくための斬新な方法を模索している最中である。そして、私たちは巨大で苦痛に満ちた変化に耐えなければならないのに、その見返りは現状維持にすぎないのだ。
ギリシャ人はこの感覚を知っている。2010年初頭に、骨身に染みてそれを経験したからだ。今日、侮蔑と反感、さらには嘲笑の壁に直面しているのはドイツ人である。皮肉に映るかもしれないが、欧州の中で、ギリシャ人ほどよく理解している者はいない――ドイツ人はもっと高く評価されるべきである。ドイツ人の今の窮状は、私たちの共同体としての欧州の失敗が生み出したものである。そして、他国の不幸を喜ぶことで利益を得るものなど誰もいない。長年苦しんできたギリシャ、イタリア南部、スペイン、ポルトガル(かつてPIGSと呼ばれた)の人々であれば、なおさらである。
ドイツにとって状況が一気に不利になってしまったのは、その経済モデルが、低く抑えられた賃金、低コストのロシア産天然ガス、中程度の技術水準である機械工学部門(特に内燃機関を備えた自動車の製造)における優位性に依存していたからだ。これは、4つのフェーズに区分される第2次世界大戦後の時期において、大規模な貿易黒字をもたらした。
4つのフェーズとは、固定為替レートと欧州・アジア・南北アメリカへの市場アクセスを実現した米国主導のブレトンウッズ体制、続いてブレトンウッズ体制崩壊後、単一欧州市場がドイツからの輸出に高い利潤を保証した時期、さらにはユーロ導入後、ベンダーファイナンスによってドイツから欧州の周辺国に向けて製品・資本双方が流れ込んでいった時期、そして最後に、ユーロ危機が南欧におけるドイツ製品への需要を減らしたのちに、中間財・完成品に対する中国からの需要がその穴埋めをした時期、である。
ドイツの景気が日本よりも落ち込んでいる理由ユーロ経済のカギ「ドイツ、自動車、財政出動」
唐鎌 大輔 : みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 著者フォロー
2019/11/19 6:00
ユーロ圏の成長は牽引車であるドイツ次第(写真:ロイター/FABRIZIO BENSCH)
世界的に景気の底入れを期待するムードが広がる中、依然として欧州・ユーロ圏は精彩を欠く状況が続いている。製造業PMI(購買担当者景況指数)はドイツを中心として惨憺たる状況が続いており、最新10月時点ではフランスだけが辛うじて好不況の分かれ目とされる50をなんとか維持しているような状況だ。主要国でも突出している「弱さ」の理由はどこにあるのだろうか。
最も大きな要因としては経済が外需依存構造であること、とりわけ主力の輸出品である自動車販売が世界的に停滞していることがよく挙げられる。2018年を例にとれば、世界の自動車輸出の4分の1以上がドイツ、フランス、イタリア、スペインからの輸出であるから、自動車業界全体の浮沈がそのままユーロ圏の景気を左右してしまう部分がある。
2つの要因による自動車生産の縮小が直撃
10月の世界経済見通しでもIMF(国際通貨基金)は自動車産業の停滞について相応の紙幅を割いて分析を披露しており、2018年は金融危機後で初めて自動車生産が縮小した年として問題意識を示している。この背景は2つある。いずれも広く知られた論点だ。1つは中国の小型車減税が廃止されたこと、もう1つは欧州において厳格な排ガス基準が導入されたことである。
前者については2015年10月から導入されていたもので、本来は2016年に終了予定であったが2017年も減税幅を圧縮した上で継続されていた。2018年はこの反動で中国市場が低迷したという話である。財・サービスへの時限的な減税(≒値下げ)は当然、需要の先食いを生む。2018年から2019年にかけてはその影響が色濃く出ていると考えられる。
後者については、新たな排ガス基準に対応する自動車の生産が立ち遅れていることや規制対応によって生産コストがかさんでいることなどが生産・販売の動きを抑制したと考えられている。中国の減税終了の悪影響に関しては短期的な下押しで収束する見通しだが、環境規制対応に伴う需要減は中期的に残る構造的な要因だとの見方もある。
世界の鉱工業生産の6%弱を占める自動車産業の不調が昨年来の世界経済の減速の背景にあることは重要な事実であり、先行きを展望する上でも見逃せない。そして、国別に見れば、やはり中国そしてドイツが足かせとなったことが明白である。よく知られている両者の政治・経済的な結びつきの強さを踏まえれば、相互連関的に経済環境が悪化したことも推測される。
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また、中国との結びつきが強かったこと以上に構造的な問題をドイツは抱えている。それは依然として国内が輸出拠点としてのパワーを持ってしまっていることだ。ドイツの輸出依存度(輸出÷実質GDP)は40%弱と日本の20%弱に比較してかなり高い。世界輸出に占めるドイツの存在感は中国の台頭と共に日本が小さくなっていたことに比べると、しっかりと維持されている。
この背景としてはシュレーダー政権下での労働市場改革(いわゆるハルツ改革)を通じて国内生産コストが押し下げられていたことや州単位での権限を拡大させたことなどによる競争力の高い中小企業(ミッテルスタンド)の存在など、前向きな論点が指摘されることも少なくない。
「永遠の割安通貨」で輸出依存度は高いままに
だが一方、「永遠の割安通貨」である共通通貨ユーロの存在や東欧からの安価な労働供給なども国内に生産拠点を残置させる誘因として大きかったであろうことは想像に難くない。
輸出拠点としてのパワーが残っているということは国内で雇用を創出するパワーも残っているということだ。ゆえに、これが巧く回っている時には「強み」として大いに持てはやされる。しかし、「強い輸出にけん引された経済」というのは、海外の経済・金融環境という所与の条件が変われば今までの「強み」が一気に「弱み」に転じ、景気全体を押し下げる。
2005~06年の円安バブルと呼ばれた時代、日本の製造業は薄型テレビなどの輸出を通じて大きな利益を上げた。そして円安環境を前提としつつ国内の生産能力を増強した。しかし、危機を経て為替が円高に振れると、外需が一気に縮小し、業況が一変した。もちろん、今次減速局面に金融危機ほどの震度を見て取ることはできないが、昨年来の世界経済減速の中で失速を強いられているドイツの姿はリーマンショック後の日本の姿と被るものがある。
なお、昨年来の世界経済減速において日本はドイツほど落ち込んでいない。これは度重なる円高や2011年の東日本大震災などを教訓として生産拠点の海外移管を進め、分散化を行ってきた結果と思われる。国内に生産拠点がなければ、円安時の輸出数量の増加は望めない一方、外需減退に伴う実体経済への影響は抑制される。両国の鉱工業生産を比較するとドイツの落ち込みの深さは日本のそれよりもかなり大きい。
もちろん、産業空洞化と揶揄されることもあり、日本の状況のほうが良いとは一概に言えないのだが、ドイツに比べれば海外経済の環境に四苦八苦することのない体質になったということは言えるかもしれない。
ここに至っても財政緊縮路線を維持する構え
いずれにせよドイツが現在の苦境を乗り切るにあたっては、外需減退の影響を和らげるべく政府部門による拡張財政が求められるところだが、これに踏み切る様子はうかがえない。11月8日、メディアに対するインタビューでショルツ独財務相は「われわれの財政政策は非常に景気刺激的で、公共投資は過去最高水準にある」などと述べており、一度は容認したかに見えた拡張財政路線を再び引っ込めるような雰囲気がある。
しかし、貯蓄・投資(IS)バランスを見ればドイツの政府部門は2%弱の貯蓄過剰(即ち財政黒字)を確保するような状況にある(参考記事、グラフ参照『トランプの貿易戦争、ドイツに非はないのか』)。リセッションの淵に立たされても、こうした資源配分を変えようとしないのは、もはや合理性を超えた国民性にかかわる問題なのだろうか。
ドイツ7~9月期GDP(国内総生産)はかろうじてプラス成長(前期比プラス0.1%)を確保し2四半期連続のマイナス成長(すなわちリセッション)を回避したが、米中の軋轢が続く中、依然として海外環境を中心に不透明な状況は変わっていない。
ドイツの政策当局者はかたくなに緊縮路線を維持し続けるのだろうか。ドイツの経済が域内経済の仕上がりを左右する。今後のECB(欧州中央銀行)の政策運営ひいては金融市場の見通しを策定するうえでも「ドイツ、自動車、財政出動」といったキーフレーズは重要になってきそうである。
※本記事は個人的見解であり、所属組織とは無関係です
中ロとの関係強めたドイツ、再び「欧州の病人」と呼ばれるのか
Jana Randow
2022年6月2日 19:45 JST
中ロとの関係巡り「今は支払うべき重い代償がある」-ソロス氏
シュレーダー元首相とメルケル前首相は中ロとの関係を強化してきた
欧州一の経済大国、ドイツが再び「欧州の病人」と呼ばれるようになるかもしれない。ドイツは何年にもわたり中国への輸出を推進し、ロシアからエネルギー購入を進めてきたが、今は両国との結び付きが重しになっている。
ABNアムロのシニアエコノミスト、アリン・スハウリング氏は「悲惨な経済状況だ。ドイツ経済の見通しに対する懸念はもっともだ」と述べた。
同氏は独経済が4-6月(第2四半期)にマイナス成長に陥ると予想。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチやサンタンデール銀行のエコノミストらも同意見だ。ブルームバーグ調査のコンセンサスはプラス0.4%成長。
Trailing the Rest
German economy will be weaker than all but one of its euro-area peers .
Source: European Commission
欧州連合(EU)の欧州委員会は、19カ国から成るユーロ圏で今年の経済成長率がドイツより低くなるのはエストニアだけだと予測。ロシアからの影響という共通点があるドイツとエストニアのインフレ率はユーロ圏平均よりも高くなる見通し。
1990年の東西ドイツ統一後、国内経済の混乱が続いたドイツは「欧州の病人」とやゆされた。2000年代初頭の低迷から抜け出したきっかけは、地政学的リスクを無視した国内製造業の強化と抜本的な労働改革だった。シュレーダー元首相とその後任のメルケル前首相はロシア産の安価なエネルギーへの依存を強め、独企業に中国で事業展開するよう促した。
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資産家で投資家のジョージ・ソロス氏はスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会で先週、ロシアと中国との関係強化が「ドイツを欧州でベストの経済にしたが、今は支払うべき重い代償がある」と指摘。
同じくダボス会議に参加したドイツのショルツ現首相は「過去に少し不注意だった人もいた」と述べ、こうした懸念を認めているようだ。
「ドイツは今サプライチェーンと輸出市場を急いで分散化する必要がある」とするショルツ首相は「多くの企業がそれを直視しなければならない」と呼び掛け、「ビジネススクールで最初に学ぶこと、つまり全ての卵を1つのかごに盛ってはならないという鉄則に反していたことが多々あった」と話した。
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Germany is counting on China as major market for exports and imports
ショルツ首相が就任後初のアジア歴訪でまず訪れたのが日本だった。ベルリンではインドのモディ首相とも会談した。中国訪問はまだのショルツ首相は中国国内の人権侵害疑惑に対する批判を強めている。ショルツ政権はロシアに代わる天然ガスの調達先を確保する取り組みの一環としてカタールとの協議も行った。
![](https://assets.st-note.com/img/1688185006586-H04b0aeAao.png?width=1200)
原題:Russia and China May Make Germany Sick Man of Europe Again (1) (抜粋)
参考文献・参考資料
ドイツがリセッション入り、エネルギー価格高騰による消費低迷響く - CNN.co.jp
ドイツ経済モデル破綻がギリシャ人の同情を誘う訳 | World Voice | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
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