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政治(経済)講座v1352「中国共産党のGDP世界2位の嘘」

 中国大陸の歴史は嘘と捏造の歴史である。ご存じの通り、勝者によって都合の良い歴史が作られるのである。
GDPの統計の数字も嘘である。自国の経済力を大きく見せて、海外の投資資金を呼び込もうとする計略がこの嘘には感じられる。中国に設備投資したら企業の撤退が容易にできないとも聞く。海外の投資資金でGDPを膨張させて、嘘も本当になるような策略かもしれない。世界GDP2位の実力は海外の設備投資が当初作り出した虚像にすぎないのである。その虚像を維持するために無理な過剰設備・過剰生産が繰り返されたのが今に至る中国の経済破綻・金融破綻に繋がるのである。世界GDP2位になったころ作られたのが当時、鬼城マンション(ゴーストタウン)として、今も残っている。収益性の無いマンションなどを盛んにつくったが、その需要の無い建築物は鬼城マンションとなり、今まで、人口以上、世帯以上のマンションを作り続けてGDPを上げたのである。鉄鋼の建材は余るようになったので、採算性の無い路線をひたすら増設して、鉄道事業も赤字事業のお荷物になっているが、それでもやめようとしていない。海外事業でGDPを上げるために始めたのが「一帯一路」事業で、これはやはり採算度外視の事業で、予算オーバーで現地には「債務の罠」という債務だけを押し付けて融資担保としてその事業の物件を占有して収益を返済財源にしている。このように海外から呼び込んだ投資資金で作り上げられた虚像が中国のGDPの嘘の目的と真実である。今、日本を含む海外から進出した企業は逃げ出しているために、設備資金が枯渇して、破綻状態になっているのである。日本など海外の企業が生産活動した者も寄与しているのである。日本流に表現するなら『人の褌で相撲をとる』という、中国流でいうなら兵法36計の第1計『瞞天過海』であろう。
この様にGDP世界2位にはないようにからくりがあり、今の中国から日本企業が逃げだした生産活動後のGDPは日本のGDPより下位になるであろう。今回はその中国の嘘のGDPを暴く報道記事を紹介する。
蛇足:「砂上の楼閣」「張子の虎」とは今の中国のことであろう。我々は中国共産党のの虚像を見ているのである。中国大陸支配の正統性を示すためにGDP世界2位の嘘をつき続ける必要性が彼らにはあるのである。

     皇紀2683年9月11日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国経済、調べてみたらやっぱりウソだらけ!~本当のGDPは、公式発表の3分の1!?

髙橋 洋一経済学者
嘉悦大学教授

中国の首相自身も信用していない経済統計

中国の経済統計、指標などまったく信用できない」こう公言したのは、のちに首相の座に就く李克強である。

オフレコではあったが、この発言が飛び出したのは2007年9月、大連で開催された「第一回ダボス会議」でのこと。当時、李克強は遼寧省の共産党委員会書記、すなわちトップで、温家宝首相とともにダボス会議のホスト役を務めていた。

冒頭の衝撃的な発言が飛び出したのは、アメリカ経済界代表団との会食の席だった。オフレコという前提で、

中国の経済統計、指標は、まったく信用できない。遼寧省のGDP成長率も信用できない。私が信用してチェックしているのは、わずか三つの統計数値だけ。その三つとは電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資額。この三つの統計を見て、遼寧省の経済成長の本当のスピードを測ることが可能になる。他の中国の経済統計、とりわけGDPなどは、ただの『参考用数値』に過ぎない」

と漏らしてしまったのだ。

同席していたアメリカの駐中国大使、クラーク・ラントは国務省に報告。これは部外秘だったが、2010年、機密情報を漏洩させるウィキリークスによって暴露されてしまった。この後、李克強が信用していたとされる三つの指標は「克強指数」とまでいわれるようになり、一部のエコノミストやメディアが信頼する数値となっている。

克強指数についても後述するが、李克強自身が「参考用数値」と述べたGDPに関しては、参考にすらならないという事実を、説明しよう。 

中国の「実際の数値」を暴く方法

済統計の数値の真贋を見抜くには、複数の統計を合わせてみるとわかる。そうして矛盾点があるか整合性があるかを見極め、統計数値の信頼性を計るのだ。たとえば前述したGDPと失業率の関係。ところが中国は失業率を発表していない。社会主義国の「建前」として失業はないということなのかもしれない。

そこで私が注目したのが貿易統計だ。中国が発表する統計のうち、数少ない、というか、唯一信用できるのが、この貿易統計。貿易統計は外国との関係もあって捏造しにくい。相手国の「正しい」対中国貿易量を集計すれば、正確な数値が求められるからだ。

この事実を踏まえて2015年の中国の貿易統計をチェックしてみると、輸出額は前年比8.0%減。輸入額たるや14.1%の減少となっているが、中国当局はその原因を資源価格の低下、としている。しかし、同年の中国のGDPに対する貿易依存度は40.25%……GDP成長率6.9%を達成したとしたら、内需が異常に上昇した、ということになる。

中国では、習近平が国家主席に就任すると、最低賃金を引き上げている。場所によってまちまちだが、おしなべて三年で四割ほど最低賃金は上昇している。それに合わせて物価も上昇。コンビニを覗いてみるとわかるが、商品によっては日本の物価より高くなっているケースも珍しくない。

前に紹介したように、イギリスのBBCニュースが疑問を投げかけているように、「成長率6.9%」という数値にも、大いに疑問が付いて回る。そこで、どうしてこの「偽装数値」が出てきたのか、私なりの推測を述べてみよう。

高橋洋一氏の新著『中国GDPの大嘘』

2012年の第18回中国共産党大会。習近平が「偉大な中国の夢」と語ったその大会で、具体的な夢を語っている。

「2020年にGDPと国民の平均収入レベルを、それぞれ二倍にする」

二倍の基準は2010年比だ。これを達成させるには年平均七%成長が求められる。習近平に限らず中国人のメンタリティでは、メンツを重んじる。なにより景気が悪くなれば、政権基盤を揺るがしかねない。それ以降、七%成長は政権の至上命題になったのだ。

「公式統計」によれば、2012年の固定資産投資総額はおよそ36兆人民元(610兆円)。前年比20%という高い伸びだ。投資の伸びで、この年の成長率も、かなり押し上げられている。

ちなみに、公式発表では2012年のGDP成長率は7.8%になっている。「中国の夢」という大風呂敷を広げただけあって、その年はどんなことがあっても高い成長率を維持しなければならなかった、そういう事情が強くうかがえる。

ところが2013年には景気が息切れしてきた。李克強は懸念を示し、「経済成長を達成させるための経済刺激、政府の直接投資に頼ろうとしても、その余地は決して大きくはない。市場メカニズムに任せなくてはならない」と発言したのだ。

無理に成長を維持しようとするなら、もう一段の投資を行わなければならない。李克強はそれには限界があるとし、低成長の痛みを受け入れるよう求めたのだ。

4年間で約2000兆円の景気刺激策を行った結果…

さらに中国には、2008年の四兆元(約68兆円)投資と、空前の金融緩和による後遺症がある。このとき、リーマンショックによる経済の落ち込みを防ぐための大型投資を行なったのだ。これが奏功し世界経済は立ち直りのきっかけをつかんだが、中国はその後、過剰設備などに苦しむことになる。

しかも四兆人民元のはずだった景気刺激策はその後も続き、2009年からの四年間で、なんと110兆人民元(およそ1900兆円弱)の固定資産投資が行なわれた。過剰な投資は、各地にゴーストタウンを生み出すなど、いまだに負の遺産を遺している。そのような背景もあって、李克強は経済政策の転換を匂わせた。

しかし中国政府内でも、これに同調する容認派と慎重派に分かれた。特に2014年には、全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)の前に、習近平主席と李克強首相との間で衝突があったという。その年のGDP成長率7%を提案した李克強に対し、習近平は7.5%を主張して譲らなかったというのだ。

習近平の「中国の夢」にこだわる一面だった。さらに一年後の全人代では「7%前後」と、前年より目標値を下げている。しかも「前後」としているところがミソだ。それだけ自信がなかったかとも受け取れる。

そして2015年のGDPの伸び率は6.9%……かなりゲタを履かせた数字であることは容易に想像がつくが、実は発表前から「発表される数値は6.8とか6.9あたりではないか」という予想が、私の耳にも届いていた。

別に正確かつ実態を表した数字を予想してのことではない。「政治的に装飾された数値」としての数字だ。つまり、経済成長が続いている資本主義社会では、成長率7.0%や6.9%の違いは、さほどではない。この程度なら統計誤差の範囲であり、ほぼ目標達成と胸を張れる数値だ。

しかし中国では、これは多分に政治的なメッセージなのである。

すなわち対外的には、「やや経済成長は鈍化しているけれど、心配しなくてもいい」という、やや願望を込めたメッセージ。そして国内的には、「七%達成はなんとしてもやり遂げる」という強い意志の表明なのである。

が、その中国も、統計のゴマカシもそろそろ限界と見て、今後少しずつ数値を下げてくることは間違いない。日本のメディア、特にNHKを代表とする大メディアは、中国当局の発表をそのまま受けて、「7%成長を割り込むのは実に25年ぶり」などと伝えているが、実態はもっとかけ離れたところにある。

実際のGDPは発表数値の3分の1!?

ここでもう一度、2015年の「中国GDP成長率7%」について検証してみよう。

2015年通期の成長率は六・九%だったが、上半期に限っていえば7.0%を達成。年初に立てた目標に達したわけで、決して低い成長率ではない。

その一方で、中国政府は、2014年11月から翌年8月までの間、五回もの金利の引き下げを行なっている。さらに公共事業も追加で行うなど、景気刺激策に躍起になっていた。7%もの経済成長を達成したとすれば、そこまで景気刺激策を施さなくてもいいはずなのだが……。

別の角度から見てみよう。信用できない中国の経済統計のなかでも、農業生産と工業生産に関しては、しっかりデータを取っている節がうかがえる。小売や物流といった第三次産業に関する統計には弱点があるものの、計画経済を進めるために、1950年代からしっかり生産量のデータをとっていた。

この農業および工業の2015年のGDP成長率を産業別のデータのなかから見ると、農林業に畜産と漁業を加えたところで3.6%、工業が6.0%の成長となっている。この業種別GDPのほかに、自動車、鉄鋼、電力といった主要二七の工業製品の生産量データも出される。

これらをチェックしてみると、2015年上半期に六%以上の成長を達成した製品は四製品のみ。さらに、13の工業製品は、伸び率がマイナスを記録している。

工業製品の生産量の伸びは平均で一%程度。工業製品のデータに関しては割と正確に採取される。そうなると、産業別の成長率六%の伸びと、工業製品別の生産量の伸びとが、かなり乖離していることがわかる。

粉飾の匂いがプンプンするのは工業成長率6%だ。こういった数値を積み重ね、重ね合わせていくと、どうしても中国経済GDP6.9%成長というのは、相当にゲタを履かせた数値だということが判明する。

私は、中国の実際のGDPは、公式発表されている数値の三分の一程度ではないかと見ている。

中国の本当のGDPは当局発表の6割しかない…人工衛星で光の量を測定してわかった中国経済の真の実力2022年11月にTIME誌が報じた衝撃データ

PRESIDENT Online

中国のGDPが米国を超える日は来るのだろうか。エコノミストのエミン・ユルマズさんは「独裁専制国家のGDPは実態と大きく乖離する。中国の本当のGDPは、中国政府当局の発表の6割程度しかないという研究結果もある。中国経済は10年後には弱体化しているのではないか」という――。(第1回)

※本稿は、エミン・ユルマズ『大インフレ時代!日本株が強い』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

香港株は2018年の高値から56%も下落

近年、中国の経済成長のほとんどは不動産投資、インフラ投資によるものであった。しかし昨今、投下された資本効率が低くなっていた。アウトプットを出すためには、さらにインプットをしなければ成長は望めない。それが叶わなくなっていた。

不動産バブルが崩壊し、中国の景気が悪くなるということは、世界のマーケット関係者には周知の事実である。だから、香港株は2018年の高値から56%も下落しているのだ。

香港株は2018年の高値から56%も下落(※写真はイメージです)全ての画像を見る(5枚)

金融危機の定義を数字で表すならば、指数が高値の半値になるレベルということができる。すでに香港株は半値以下になっているので、金融危機に突入していると言っても過言ではないのである。

ライトの使用量と経済発展レベルに齟齬

もう一つ、経済の実態について紹介したい。中国の本当のGDPは、中国政府当局の発表の6割程度に留まるということを、皆さんはご存じだろうか。

その見方を示したのは、シカゴ大学の研究だ。

最近IMF(国際通貨基金)や世界銀行も似たようなアプローチをとり始めているが、各国の経済成長を人工衛星から入手した夜のライト(明かり)量で比べて抽出したもので、過去の映像と当時の各国の経済力を比較した研究結果が2022年11月、『TIME』誌に掲載された。

中国のような独裁国家は、ライトの使用量のレベルと経済発展のレベルに大きな齟齬そごが見られることが判明した。

研究結果として得られた結論は、中国のGDPについては政府当局発表の6割でしかないとする衝撃的なものだった。

独裁専制国家のGDPは実態と大きく乖離

この研究結果を見ると、きわめて興味深い事実が浮かび上がってくる。

欧米日などいわゆる先進国、あるいは自由主義国家の数字を見ると、「夜のライト量で割り出したGDP」と「当局から報告されたGDP」はほとんど乖離かいりしていない。

これが、部分的にしか自由がない国々、民主主義を敷いてはいるがさまざまな問題を孕はらむ国々になるとどうなるか。

レバノン、メキシコ、コロンビア、ナイジェリア、フィリピン等々は、「夜のライト量で割り出したGDP」よりも「当局から報告されたGDP」のほうが高い数値になっている。

さらに完璧なる独裁専制国家を見てみると、その乖離がひどくなっており、中国、エチオピアなどはその最たるものであることがわかった。

「中国がGDPで米国を抜く」は空論

この事実を鑑かんがみると、中国がGDPで米国を抜く、凌駕りょうがするという説は空論であると考えるほかない。

中国経済はあと10年、15年後には弱体化することを、中国自身もわかっているのだろう。
バブル崩壊後の日本のように、活力を失い、国力も沈んでいくと意識しているのかもしれない。

次に社会問題である。深刻なのは食料に関わることである。

一般的な中国人の食生活に不可欠な食材は、大豆とトウモロコシと豚肉と言われている。

大豆とトウモロコシは豚の飼料になるので、大げさに言えば、中国人とは三位一体の関係を成す。

こうした食料はコモディティ相場と切っても切れないものなのだけれど、大変興味深い現象が見られる。トウモロコシ価格が上がった年には、肉の価格が下がることが多いのである。特に牛肉の場合は顕著なのだ。稿日:2022/1/22

中国の不可解なGDPを考える

澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
・中国は2021年のGDPが前年度比8.1%伸びたと発表。

・2012年から18年まで「投資+消費」だけで各年のGDPを遥かに超えていたが、19年からは下回っている。

・2020年と21年に、政府支出が著しく減少したためだと推測できる。

 今年(2022年)1月17日、中国は2021年のGDPを発表した。当局によれば、GDPが前年度比8.1%伸びたという(民間投資<以下、投資>は前年比4.9%増、消費は前年比12.5%増)。「コロナ禍」にあって、この経済の回復が“本物”ならば、評価されるべきだろう。まずは、表付きグラフ(2012年〜2021年)をご覧いただきたい。



 図表)筆者作成
このグラフは、①投資と②消費を積み上げグラフで作成し、その後、折れ線でGDPを加えている。2021年の「①投資+②消費」(GDPは無視)だけを見ると、この数字は2016年から2017年の間に位置するだろう。だとすれば、2021年の「①投資+②消費」の数字は、過大評価すべきではないかもしれない。

 以前、本サイトの拙稿で触れたように、中国のGDPには極めて不可解な点がある。一般に、GDPは「①投資+②消費+③貿易収支(輸出-輸入)+④政府支出」で構成される。

、③貿易収支が赤字になったのは、1993年(-703億元)のたった1度だけである。同年の④「政府支出」は8017億元だったので、結果「③貿易収支+④政府支出」はプラス7314億元となっている。1993年を除く他の年(1991年〜2021年)は、③貿易収支がすべて黒字だった。

 一方、政府支出だが、公務員の給与や公共事業などによる支出なので、マイナスになる事は考えられない。

 したがって、(③貿易収支が極端な赤字を計上しない限り)「③貿易収支+④政府支出」は必ずプラスとなる。「①投資+②消費」だけで、GDP全体を超える事は理論上、あり得ないだろう(〇「①投資+②消費」<GDP/×「①投資+②消費」>GDP)。

 けれども、中国ではそのあり得るはずのない事態が起きている。習近平政権が誕生した2012年から2018年まで、「①投資+②消費」だけで、各年のGDP全体を遥かに超えてしまう現象―「アブノーマルな状態」―が見られた。

 実は、この中国における「アブノーマルな状態」 は、2008年の「リーマンショック」後の2009年から始まっている。そして、ようやく2019年から以前の「ノーマルな状態」―「①投資+②消費」だけでは、GDPを超えない―へ回帰している(2019年は微妙な数字だが、2020年と2021年はごく自然な数字である)。なぜ、回帰したのかについては、後述したい。

 かつて中国では、常に①投資が②消費を上回っていた。そして、過去、同国では①投資が②消費と比べ、大差は無かったのである(「ノーマルな状態」)。

しかし、「アブノーマルな状態」時には、①投資が②消費の約2倍近くにのぼるという異常現象が起きている。

 仮に、中国共産党の公表した数字が、少なくともGDP及び②消費、③貿易収支に関して、正確だとしよう(ただし、もし同党がこれらの数字を改竄していたら身も蓋も無いが)。

 おそらく、この「アブノーマルな状態」は、中国共産党が④政府支出、特に「公共投資」等を①の投資へ紛れ込ませたために起きたのではないか。それ以外は、考えにくい。結局、同党は、内外からの批判を恐れ、④政府支出をできるだけ少なく見せかけようとしたのではないだろうか。




 他方、中国の政府支出の中には⑴公共投資はもとより、⑵地方政府の赤字補填、⑶ゾンビ企業の延命、⑷企業への輸出補助金等も含まれている公算が大きい。

 確かに、中国共産党による数字の改竄は重大事件だが、⑴〜⑶については、あくまでも国内問題に過ぎない。だが、⑷企業への輸出補助金(正確には、輸出還付金)は問題視されるべきではないだろうか。

 現在、中国はアジア太平洋経済協力(Asia Pacific Economic Cooperation。いわゆるAPEC)へ加盟申請している。しかし、その加盟にあたり、北京政府による企業への輸出補助金は大問題となるだろう。もし、APEC内で、この事が大きく取り上げられれば、中国の加盟は難しくなるに違いない。

 ところで、なぜ、近年、中国は「アブノーマルな状態」から「ノーマルな状態」へ回帰したのだろうか。

 それは、2020年と2021年に、④政府支出が著しく減少したためだと推測できよう。つまり、中央政府による財政出動が抑制されたからではないだろうか。

 ひょっとして、習近平政権は、もうこれ以上の財政赤字拡大(少なくともGDPの300%以上)に耐えられないと考えたのかもしれない。そのため、④政府支出を増やす事ができず、「ノーマルな状態」へ回帰したのではないだろうか。


中国の経済統計、ホントの信用度は?GDP至上主義と地方の水増し疑惑

2021/2/4 加藤 嘉一

●中国経済統計は信用できるのか?
●中国国家統計局課長がハーバードで漏らした本心
●中央政府が強行突破で取り組んだ「統計改革」
●中国の政府官僚や経済学者は自国の統計を信じているのか?
●マイナス成長の遼寧省で目撃した景気の実態

中国経済統計は信用できるのか?

「中国政府が発表する経済統計は信用できない! 加藤さん、本当のところどうなんですか?」

 中国研究を生業とする私が、各国の政府、市場、メディア関係者たちから、幾度となく耳にしてきた問題提起です。

 1月、中国で経済統計に関する収集、管理、分析、公報などを統括する国家統計局が、2020年第4四半期(10-12月)の実質GDP(国内総生産)は前年同期比6.5%増、通年でも前年比2.3%増となったと発表しました。この数字を“鵜吞(うの)み”にした日本のメディアも同様に伝えています。私自身も、本連載でその数字を元に分析をレポートしました(中国GDPが100兆元超え。コロナ禍2.3%成長でも、低所得層6億人の「途上国」)。

 一方で、本連載をご覧いただいている投資家を含め、数字の「信ぴょう性」について疑問を持っている方は少なくないでしょう。私自身、中国政府が発表する統計データを目にするたび、引用するたびに、「大丈夫だろうか?」という疑念や困惑を持たなかったと言えば、うそになります。

実際のところはどうなのか?

 今回のレポートでは、「中国政府が発表する経済統計データの信ぴょう性」について考えてみたいと思います。先に断っておきますが、言うまでもなく、この疑問を解消できるわけでも、100%正しい回答を提供できるわけでもありません。ただ、皆さんがこの問題をこれまでよりも臨場感のある、立体的な根拠を持って考え、投資の動機にするわずかな素材は提供できるのではないかと考えたため、筆を執った次第です。この問題に向き合い、実際に中国の労働者や消費者が営む経済の現場を垣間見てきた人間として。

 以下、中国政府の取り組みを検証しつつ、中国北京市、遼寧省瀋陽市、米ハーバード大学キャンパスの三つの現場での私自身の経験を元に、レポートしたいと思います。

中国国家統計局課長がハーバードで漏らした本心

「日本人である加藤さんには分からないと思いますよ。仮に我々が、全身全霊を込めた仕事をし、限りなく100%に近い正確な統計を算出、発表したとしても、中国政府が出した数字だからという一点で信用されないのですから。国家の属性ではなく、仕事の内容で、信用するのか否かを判断してほしい。それが私たち現場の思いです」

 2012年9月から2年間、私はハーバード大学のケネディスクール(公共政策大学院)とアジアセンターで仕事をしました。このとき、同僚で中国国家統計局の現役課長が、仕事帰りにキャンパス内を散歩しながら、私にこうつぶやきました。彼も中国の政府官僚、しかもそれなりに重責を担う課長という立場の人間ですから、出会った当初は身構えている感じでした。しかし、私が英フィナンシャル・タイムズ中国語版に毎週書いていたコラムを、彼が読んでくれていた経緯が功を奏し、何回か話すうちに徐々に打ち解け、かなり本音ベースで話ができる間柄になりました。

 上記の言葉は、彼の本心だと思います。私自身、これまで北京を中心に中国各地、米国ボストン、ワシントン、香港など世界各地で中国の官僚と付き合ってきましたが、その絶対多数は非常に優秀、勤勉で、礼儀正しい人たちです。

 官僚以外にも、学者、メディア関係者、実業家、ベンチャー起業家、そして学生など数多くの中国人と仕事をしたり、会って話をしたりしてきましたが、中国において、官僚という人種(特に軍人)は、最も付き合いやすいというのが私の「本心」です。人間として出来ている、品性と素養を持っている、時間を守る、言ったことは必ずやる…そう感じてきました。

 もちろん、彼ら・彼女らが政府を代表する立場にあることで、日常的に自らの振る舞いに特に気を付けなければならないこと、特に私のような「筆」を執る外国人の前では、特に厳格に自らを律しているという側面もあるでしょう。中国の公的機関で腐敗が問題視されてきた経緯も明らかです。

 ただ、私がここでまず1点目として指摘したいのは「中国」、特に中国共産党の政策や言動を、言論弾圧や領海侵犯行為、反日デモやギョーザ中毒事件などをめぐる各種報道を根拠に、信用できないという感想や判断が蔓延(はびこ)る一方で、現場で働く官僚の多く(例外も当然いますが)もまた「被害者」である場合が多々あるということ。英国作家ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を彷彿(ほうふつ)とさせるような、「党」という魔物の恐怖におびえながら、限られた権限の中で、自らの仕事が公正に評価されることを期待しながら、現場でできる努力をしている、というのが私の偽りない実感です。

 前出の統計局課長もその一人でしょう。自らが生涯を捧げた仕事を一生懸命やり、結果を出したとしても、共産党一党支配下の社会主義国の役人であるという理由だけで周りから信用されない。まじめに、純粋に海外で勉学に励んでいる中国の若者が、共産主義国家から来た留学生という一点でスパイ扱いされるのと、論理と構造は一緒です(私が見る限り、信用されなくて当然、スパイ扱いされてしかるべき当事者も少なくありませんが)。

 党はこの論理と構造を打破すべく汗をかかなければいけない。中国が国家として最も欠けている、故に早急に、本気で解決しなければならない問題が「信用」だと私は常々、言ってきました。

信用されるために、何をどうすべきか。

 政治、経済、外交、軍事などを含め、習近平(シー・ジンピン)総書記率いる中国共産党指導部は、常にこの点を最大の基準にして政策を立案、実行、評価すべきだと思います。それも、中国国内でしか通用しないチャイナ・スタンダードではなく国際社会から理解、尊重されるグローバル・スタンダードをもって、です。さもなければ、いつの日か、現場が内部から瓦解(がかい)していく統治リスクに見舞われる可能性も否定できないでしょう。

中央政府が強行突破で取り組んだ「統計改革」

 ここからは、経済統計に関する信用を獲得するために、中国政府が取り組んできた「改革」の一端を検証していきます。

 2019年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)にて、国家統計局のトップである寧吉哲(ニン・ジージャー)局長が、2020年以降、同局が主導する形で、GDPの計算方法を全国で統一する方針を明らかにした上で、以下のように指摘しています。

「我が国の国民経済算出体系は、改革開放40年の改革を経て、著しい成績を収めている。特に、党の第18期三中全会(2013年11月)以来、統計方法に対して新たな改革の任務を与え、前向きな進展も見られる。現在、中国の国民経済算出体系は国際的な規範に通じ、算出されたGDP数値は国際水準に引けを取らない、科学的で信頼できるものとなっている」

 寧氏は、統計局局長に就任して以来3年間、現職、あるいは前職の国際連合統計局局長と何度も交流をしてきたとし、「中国の国民経済算出のレベルは、世界範囲では中の上くらいで、新たな経済分野の算出では、主要国家よりも進んでいると、彼らは言っていた」と振り返っています。

 この中央政府によるトップダウンの改革を後押ししてきた事情が、まさに統計の信ぴょう性向上という動機でした。中国では、長年、全国で31ある各省(22の省、4の直轄市、5の自治区)がそれぞれ算出したGDPの合計(以下「A」)が、国家統計局の発表する中国全体のGDP(以下「B」)を上回ることが多かったため、「GDP至上主義」に基づいて、自らが管轄する行政区域の業績を中央にアピールしたい地方政府やそこで働く官僚が、意図的に数字を水増ししているのではないかという疑念が拭えませんでした。

 過去において、AとBの間には、どれだけのかい離が存在していたのか見てみましょう。

 例として、2006年、Aの合計はBが発表した数値よりも1.5兆元(約24兆円)多く、これが2010年に4.9兆元(約78兆円)、2015年に4.6兆元(約74兆円)にまで膨らんだのです。世界第3位の経済大国である日本のGDPの10分の1以上に値するほどの数字が、AとBの間の「差額」として君臨してきたのです。

 もう一つの側面から、中国のGDP算出の現状がいかに異常であったかを見てみます。

 リーマン・ショックに見舞われた2009年、中国のGDP成長率は前年比8.7%増えましたが、AはBよりも断然高く、しかも、31の省のうち、全国平均であるはずの8.7%増よりも低い省が3つしかなく、うち2つの省は16%増ですらあったのです。2016年のGDP成長率は前年比6.7%増でしたが、31の省のうち、27省の数値がこれよりも高くなっています。

 どこからどう見ても、統計の信ぴょう性を揺るがせる事態であることに変わりはなく、一方で、中央政府が各地方自治体の首長や現場に対して「官僚としての誇りを持て!「道徳をもって日々の仕事に取り組め!」と命令しても、官僚として最大のモチベーションであろう“昇任欲求”を満たすためには、GDPで実績を証明するしかないというのもまた事実だったのでしょう。

 事態を打開するために、中央政府がまず呼び掛けたのが「脱GDP主義」。上海市などでは、すでに数年前からGDPを各政府機関、官僚の評価基準にしない政策が取られていますが、GDPよりも大切な指標がある(例えば、緑化政策、社会保障、労使環境)といった「新常態」を訴えることで、地方政府にGDPを水増しさせない抑止力にしようとしました

 もう一つが今回の「改革」案です。地方政府に期待するよりも、権限を自らの手中に引き寄せることで、強行突破しようというわけです。また、先ほどの寧局長も指摘していましたが、統計局は、GDPそのものだけではなく、最近盛り上がっている「プラットフォーム経済」「デジタル経済」といった分野の統計が、GDPの中でどのくらいを占めるのかを算出するなど、統計の中身を充実、細分化することで、信ぴょう性の向上を狙っているようにも見受けられます。

中国の政府官僚や経済学者は自国の統計を信じているのか?

 2017年、私は遼寧省瀋陽市にある遼寧大学で教べんを執っていました。その間、頻繁に高速鉄道で北京へ出張していたのですが、ある日、国家発展改革委員会、国家統計局の中堅幹部、そしてこれらの政府機関に提言する立場にある政府系シンクタンクや大学の経済学者ら6人と議論する機会がありました。

 そして、統計の信ぴょう性の話になり、彼らが内心では現状をどう受け止めているのかを思い切って聞いてみました。全員が、「我が国の統計には問題がある」と断言していました。一方で、特に制度が未発達の中国のような国において、統計と景気はある意味、別物だという指摘が興味深かったのです。

 そのとき、湖北省出身の経済学者が次のように描写しました。

「仮に国家が最終的に発表したGDP成長率が前年比8.0%増で、ただそこには0.5%の“水分(中国語で「水増しされた分」という意味)”が含まれていたとしよう。中国ほど巨大な“経済体”で0.5%もの誤差があるのは大いに問題だ。信ぴょう性が傷ついても仕方あるまい。一方で、中国には、正真正銘発生している、少なくない経済活動が統計に反映されていない。例えば、全国で無数にある道端での商売だ。領収証もなければ、税金も納められていないのだ」

 この学者は、これらの実態を「制度的欠陥」「未熟な経済体」とした上で、改善すれば政府の財政収入は増え、統計の信ぴょう性も増すと指摘しています。

 確かに、これまで中国を見てきて、市場で物議を醸している統計と、人々の生活現場で体感する景気との間に「誤差」を感じることはしばしばありました。「制度的欠陥」や「未熟な経済体」が作用した結果なのでしょう。

 地方や農村部に行けば行くほど、どう見てもGDPに換算されていないとしか判断できない現場が、無数に存在します。人々は、仕事へ行く前に、道端やバス停の近くなどで、おかゆ、豆乳、肉まん、中国風のからいクレープといった朝ごはんを買います。いまでは現金だけではなく、キャッシュレスでの購入も普通ですが、これらの労働や消費は統計局が公式に発表するGDPにはまったく反映されていないといえます。

 また、中国では兼業や副業は当たり前で、大小いろんな業務がある副業、兼業をまったくしていないという中国人を、私自身ほとんど知りません。それらの「業務」が経済活動としてきちんとカウントされているのかといえば、大いに疑問です。

 繰り返しになりますが、これらの実態や現象は大いに問題であり、中央政府としても制度的側面から改善していかなければなりません。経済構造の健全化、中国経済の信ぴょう性向上という意味で極めて重要でしょう。

 一方で経済の統計とは、本来的に景気の実態を測る、知るための手段であるという側面もあります。その意味で、信ぴょう性が疑問視される統計だけを“鵜吞み”にして、中国経済の実態を判断するのもまた危険であるといえます。

 これが私の現段階における総括です。そう考えると、中国経済の実態を的確に把握するためには、中国政府が発表した統計を見る、国際機関や海外の研究所、経済メディアが発表する予測や分析を参考にするといった常とう手段以外に、中国で無数に存在する経済活動の現場に足を運び、景気を実際に感じてみることもまた重要なのではないかと思うのです。

マイナス成長の遼寧省で目撃した景気の実態

 その意味で、私の中で非常に有意義だった体験が瀋陽市での仕事です。

 2017年1月に発表された2016年の中国実質GDP成長率は前年比6.7%増でしたが、遼寧省は2.5%減と、唯一のマイナス成長を記録しました。しかも当時、全国的に問題になったように、遼寧省内で統計データをねつ造する事件が明るみになり、議会で公式に審議し、関係者の処罰に至るという異例の展開となりました。

 特に、2011~2014年にかけてはひどかったようで、李希(リーシー)遼寧省書記(当時)が2017年3月の全人代で行った報告によれば、ある鎮(行政区)では、1年の財政収入が160万元だったのに2,900万元超、ある市は、一定規模以上の企業が281社しかないのに1,600社以上と申告していたとのことです。経済統計という問題が政治問題化し、遼寧省はバッシングを受け、全国各地から「お荷物扱い」されました。

 まさに、このニュースが飛び込んできたその日、私は遼寧大学から徒歩15分くらいのところにある焼き肉屋で、同僚と昼食を取っていたのですが、店内で目を疑うような、ビールの販売を宣伝する張り紙が飛び込んできました。
買一送三

 1本注文すると、3本無料でサービスしてくれるという意味です。中国では、ショッピングモールなどで、この手のセールをよくやります。私も米国のモールや空港などで「buy one, get one」というセールを見たことがあります。ただ、さすがに「buy 1 get 3」を目撃したのは初めてのことです。

 皆さんはありますか?

 それだけ景気が悪かったということです。焼き肉屋の付近にあった靴屋でも、アディダスのシューズやナイキのパーカーが「買一送二」で売られていました。

 中国において、私の中で、現場の経済活動と、発表された経済統計とが一致した、数少ない経験でした。


参考文献・参考資料

中国経済、調べてみたらやっぱりウソだらけ!~本当のGDPは、公式発表の3分の1!?(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/5) (gendai.media)

中国の本当のGDPは当局発表の6割しかない…人工衛星で光の量を測定してわかった中国経済の真の実力 2022年11月にTIME誌が報じた衝撃データ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

中国の不可解なGDPを考える | "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス] (japan-indepth.jp)

中国の経済統計、ホントの信用度は?GDP至上主義と地方の水増し疑惑 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア (rakuten-sec.net)

安東亮著 『孫子の兵法』日本文芸社 昭和58年4月20日発行
島村義著 陳再明監修 『三十六計』ダイヤモンド社 昭和57年11月18日初版発行
 宮崎正弘著 『米国の混乱の隙に覇権を狙う中国は必ず滅ぼされる』徳間書店   2017.3.31 第1刷

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