シェア
じょーじ
2023年11月17日 10:10
9章「浅はかな者よ!ここに来い!」僕(悟)はまた夢を見た。俺(龍)はまた夢を見た。夢の中でその人は家を建てている。建てあげて、石の柱を7本切り出した。家畜から肉の料理を並べ、ぶどう酒を注ぎ、食卓を整えた。そして周りにいた女性たちに何かをことづけた。その人たちが小高い丘の上に駆け上り、この言葉を届けた。「浅はかな者よ!ここに来い!」僕は「行きます」と叫んだ。俺は
2023年11月16日 20:16
8章僕(悟)は夢を見た。俺(龍)は夢を見た。何かが叫んでいる夢だ。人の形をしている。丘の上で、街の中で、家の前で、必死に何かを叫んでいる。僕に向かって。俺に向かって。「お前だ!お前に言っている! お前に届くよう声を枯らしている! 浅はかな者よ!悟れ! 愚かな者よ!知恵を得よ!」その必死さに、言葉とは逆に、愛のようなものを感じた。「聞け!これは支配する者の言葉だ
2023年11月15日 14:31
7章夜、おばあちゃんの家まで、お父さんと車で行くことになった。僕(悟)が学校から帰ってすぐに、お父さんの妹から電話があって、調子が悪いから見に行ってほしいとなったそうだ。お母さんは仕事だからいけなくて、夕飯の都合で僕も一緒に行くことになった。二時間ほどある車の中で、お父さんとたくさん話した。あの子のことを話した。お父さんの教えてくれたことを守ろうとしていることも。するとお父さん
2023年2月4日 23:35
俺(龍)の親父は暴力を振るうクソ野郎だった。俺のことも、母ちゃんのこともよく殴った。小2の時に母ちゃんと家を出て、俺はじいちゃんの家に預けられた。あいつが教えたことは「龍、強くなれよ」ってことだけだ。俺は嫌でも強くなった。強くなればなるほど、苛立ちは増した。あの牧師の話の後から、親父のことを考えることが多くなった。『父が愛しい子を叱るように』そう言っていた。あいつがこの俺を愛
2022年12月27日 14:50
『我が子よ、主の懲らしめを拒むな。 その叱責を嫌うな。 父が愛しい子を叱るように、 神は愛するものを叱る。』年少に来た牧師のこの言葉に、俺(龍)は気がついたら涙が出ていた。泣きながら首を傾げていた。月に一度の全体集会では、いろんな人が来てくれた。時にはマジックショー、時には演歌歌手。そして時には、元ヤクザの牧師が来た。その牧師の話が始まる前の、聖書の一節を読んだすぐ後のこと
2022年11月26日 23:15
僕(悟)は次の日から朝、ゴミ拾いを始めた。誰かに好かれたいんじゃない。褒められたいんじゃない。ただ昨日の美しい夕日の感動を再び味わいたいのだ。早朝にはたくさんのおじいさん、おばあさんとの出会いがあった。僕は彼らが、なんて優しいんだと感動した。彼らは僕の心を何一つ殺さなかった。こんな僕の話を真剣に聞いてくれた。そして僕の存在そのものをとっても褒めてくれた。その姿勢に「聴く」そして
2022年11月1日 15:09
2章僕(悟)の心は叫び続ける。それは昨日読み漁ったあの巻物の中の知恵だ。僕はそれに耳を傾けることにした。受け入れることにした。まるで心の中に他の誰かがいるみたいだ。目の前では、警察が不良たちの首に手を置き、不良たちは不満そうにパトカーに乗せられていく。不安でいっぱいだった僕の心は次第に落ち着いていった。「正しさとはなんだろう。この恐れはなんだろう」僕は考え始めた。この世界の
2022年10月13日 16:44
僕は悟(さとる)。ある日、家の倉庫でソロモン王の巻物を見つけた。ソロモン王は古代イスラエルの王で、大いなる知恵と有り余るほどの財産を持っていた。その書物はこう始まった。『これはあなたが、知恵と命令の言葉を知るため、悟りの言葉を理解するため、正しさ、裁くこと、公平であることにおいて、知恵の命令を受け入れるため、若い浅はかなものに知識と慎みによる思慮深さを与えるため、のものである。』