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【コーヒー】味の違いを説明すればするほど難しく感じてしまう矛盾

僕は今、京都でLaughterというコーヒーショップを運営しています。

「アプリコットや赤リンゴの果実感」
「セイロンティーのような余韻」

こちらはいずれもコーヒーの味わいを表現したものです。

近年「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる品質の高いコーヒーが人気を集めていますが、スペシャルティコーヒーの風味を表現するために、コーヒー以外の食べ物や飲み物を使って例える手法です。

味わいの表現は、アメリカのスペシャルティコーヒー協会が発表している「フレーバーホイール」と呼ばれるものが基準となります。

フローラル、フルーティー、スパイスなど大まかな9つの項目があり、そこからさらに細かく分かれていきます。
複雑なコーヒーの味わいを個人個人で好きなように表現すると訳が分からなくなってしまうので、「統一見解」が示されているといった感じでしょうか。

先ほどの表現もフレーバーホイールに基づくもので、これを用いることでかなり具体的に味わいを表現することが出来ます。
昔に比べ、コーヒー豆の種類も数え切れないほどとなり、単純に産地や浅煎り、深煎りといった焙煎度合いだけでは味の違いを表現し切れなくなってきました。

そこでフレーバーホイールを用いた表現は大きく役立っています。

一方で…
こういった表現をすればするほど「難しい!」と感じてしまうお客様がいらっしゃるのも事実。

うちのお店でも浅煎り・深煎りそれぞれ3種類ずつくらい置いていて、浅煎り・深煎りどちらが好みかは自分の中でハッキリしている方は結構いますが、じゃあその中からさらに選ぶとなったら中々難しいものです。

中にはコーヒーが大好きで、一つ一つの味の違いを興味深く知りたい!という方もいますが、やはり大半は美味しいコーヒーが飲めれば良いなぁと思っている方です。

オープン当初は紹介の仕方も手探りな部分があり、結構フレーバーホイールの表現も用いて詳細に紹介していましたが、「難しそうだしおススメで…!」となるケースも多かったのと、お店のコンセプトとしても、肩ひじ張りすぎずにコーヒーを楽しんでもらえたらと思っているので、今ではなるべく言葉をそぎ落として紹介するようにしています。

どの分野でもそうだと思いますが、インターネットが発達して、あることを知っている人はとことん知っていて、知らない人は全く知らないという状況が増えたんだと思います。

コーヒーでも、「もうお店出せるよ!?」とこちらが驚くくらいコーヒーに詳しいお客様も沢山いらっしゃいます。
一方で、「詳しくはないけれど自分なりの楽しみ方が出来れば良い」という方も。
最近はどうしても「好きな熱量=そのことに関する知識量」との構図になりがちですが、僕は好きなものは誰にも邪魔されないものだと思っています。

国全体でのコーヒー消費量は世界トップクラスを誇る日本ですが、一人当たりに換算するとまだまだ伸びしろがあると言われています。

僕ももちろんですが、コーヒーに関わる方はコーヒーに何かしらの想いを持っていることは間違いありません。
並んでいるコーヒーで何にするか迷ったら遠慮なく聞いてみてください。
きっとその方なりの言葉でひも解いてくれるはずです。

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