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【エッセイ】思考とシンプル

考えがまとまらない。
そんな午後がやってくる。
たまにほんの数時間だけだが、心がざわつく。
何をしても手につかず、考えをまとめようとしてもパラパラと頭の隅々に散っていく。

あぁ、そうか。今は心が疲れてるんだ。
そうして気づく心の状態。
人間はどうして疲れてしまうのか。
ハツラツとイキイキと過ごしていても、
時々ストンと心が階下に落ちていく時がある。

いつも思う。
世界は疲れる。情報は疲れる。人の言葉は疲れる。
だからこそあらゆる視点、角度から自分に不必要なものは
除きたい。
ある程度生きていると、必要、不必要の線引きができるようになると思う。

まだ知識が浅いころは、いろんな事柄を見て、聞いて、
考える事は必要だ。
そうやって、個性や自分が出来ていくと思うから。

自分を形成するものとして、例えば絵画。
本物を観る。
とにかく手当たり次第に関心があるもの全てを観る。
そうしていくうちに、感覚的に好き嫌いが分ってくる。
それを自分の言葉で表現できるようになれば、感覚ではなく自分の価値基準になり線引きができるようになったと確信に変わる。
それが自分なんだと。

そうやってたくさんの本物を取り込み数十年生きていく。
しばらくすると、ある時点で情報はそれほど必要ではなくなると思うのだ。
新しい視点や物事がいらなくなるわけではない。
吸収し続けることは必要だと思う。
でも、それは本当に自分が欲しているものだけで十分だということだ。

ニュースなど時事的なものも例外だ。
世界の動きを把握しておく事は大事だと思う。
でもほかの情報、例えば噂やSNSで広がるフェイクなあれこれなど知らなくても問題ないものが世の中にはたくさん溢れている。溢れすぎている。
これらを避けて生きていても、どうしても避けきれないこともある。そうやって避けきれない情報達が蓄積し知らない間に思考が薄っすら曇りだす。

曇った思考が心と繋がりパラパラと頭の中で散っているとき、いつも思うことがある。
シンプルでありたいと。
全てにおいてシンプルに。
心地よく、スッと生きていきたいと思う。
実践するのは勿論難しい。
でもそうありたいと思っていることが大切だと。
忘れず思い続けていれば階下に落ちた心を見失わずに
元に戻せるから。


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