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洋書Brain Energyを読んだ感想 メンタル疾患とミトコンドリア(代謝)の関係

brain energy という洋書がアメリカのアマゾンでよく売れているので、読んでみました。

アマゾンアソシエイトはやっていません。

メンタル疾患はなぜ起きるのか、そのメカニズムを最新の研究をもとに解説している本です。

メンタル疾患の人は老化する速度が速くなったり、心筋梗塞や心臓発作などの血管系の病気にかかりやすくなる。肥満、糖尿病の人にメンタル疾患の人は多い、ことが昔から知られていたそうです。

わかってきた真実は、細胞の中にあるミトコンドリアの代謝異常が原因とではないかということです。

ミトコンドリアは細胞質基質の中に多数あり、ブドウ糖(グルコース)を燃やしてエネルギーを作る働きがあり、エネルギー工場のようなものです。

ミトコンドリアはエネルギーを作るだけではなく、様々な働きをしていることがわかってきているそうです。本文中から引用して箇条書すると、




・代謝を広範囲で制御する
・セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質を作ったり、制御したりすることを助ける
・免疫システムの働きを制御することを助ける
・ホルモンを作ったり、放出したり、反応したりすることに関わっている
・代謝の過程で生み出される活性酸素を除去する働き
・核の遺伝子の発現に主要な働きをする
・細胞の成長や分化に関わっている。ips細胞やes細胞の幹細胞の分化にも関わっている
・健康な細胞のメンテナンスに関わっている。オートファジーと呼ばれる不要になった細胞の除去などをする。
・古い細胞や傷ついた細胞を除去する




また、ミトコンドリアの働きが悪くなると、5つのことが起きると、著者は述べています。引用すると、



1 細胞のメンテナンスができなくなる
2 脳の神経細胞の過剰反応が起きる
3 脳の神経細胞の働きが落ちる
4 脳の発達時に問題が起きる。子供の時に発症する自閉症など。
5 細胞の縮小や細胞死が起きる。



2の、神経細胞の働きの過剰反応は、特にメンタル疾患でよく見られるそうです。精神的錯乱、PTSD、統合失調症、双極性障害、自閉症、強迫性障害、アルツハイマー病、てんかん、などの病気も、神経細胞の過剰反応が原因のようです。

細胞の炎症反応が、ミトコンドリアの代謝に影響しているという話が、とても興味深かったです。

炎症反応が起きるとメンタルが悪くなり、ミトコンドリアの代謝反応も悪くなる。代謝が悪くなると、さらに炎症反応が起きメンタルも更に悪くなる。このような負のサイクルが起きてしまうそうです。

ミトコンドリアと炎症反応は、複雑なフィードバックサイクルがあって、これが代謝やメンタルヘルスに重要な役割をしているそうです。

本のpart3で対処法や解決策が、解説されています。不健康な食生活や、運動不足、睡眠不足、アルコールやドラッグの使用、ライフスタイルの影響などが低いレベルの炎症を引き起こしているそうです。

病院で治療でもらう薬も、ミトコンドリアの代謝に影響して、神経細胞の過剰反応も引き起こしてくる話もあり、興味深かったです。

メンタル疾患に有効とされている、有酸素運動はミトコンドリアを増やしたり、活性化したりすることが知られています。

食事、運動、睡眠、ストレスがかかることをやめる、といったことが、やはり大事かと思いました。

難しい英単語もなく、理系の知識もいらず、わかりやすく解説してあるのでとても読みやすかったです。最新の研究情報豊富で、対処法も書かれていて、メンタル疾患の方や生物系が好きな方には、面白く読める本かと思いました。



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