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シネマ・エッセイ 〜暮らしに映画のエッセンスを

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人生の旅路という表現が意味するように、時に人生は旅に例えられる。映画は、さまざまな人生の縮図。旅をするように楽しむ。日常の、または非日常の暮らしにもっと映画のエッセンスが注がれた…
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#cinema

映画館と映画が育むこと

映画館と映画が育むこと

映画も好きですが、どちらかというと「映画館で映画を観ること」が好きな私。映画ファンであることを認めてもらったような記念の品をいただきました。

今年はコロナの影響でどの産業も多大なる影響を受けています。私の好きなことの中では、やっぱり映画産業とりわけ映画館が心配です。緊急事態宣言が出されてからは、足しげく通っていた映画館はどこも休館。家にプロジェクターを購入してマイシアターを味わってみるも、想定し

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追記 『詩人の恋』

追記 『詩人の恋』

1回目の鑑賞からちょうど一週間後、昨日『詩人の恋』をまた観てきました。B4サイズのビジュアルポスターがもらえるとのこと。アメにつられてしまいました。こちらです。

今回はすでに物語の流れがわかっているしパンフレットも熟読していたので、それぞれの場面をよりじっくり楽しめました。特に印象に残ったのが、詩人と青年がバスの中で「죽은 개(死んだ犬)」という詩を二人で作り上げていくシーン。人生の諸行無常さを

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『詩人の恋』にみるモテの法則とは

『詩人の恋』にみるモテの法則とは

韓国映画『詩人の恋』を鑑賞しました。前売りチケットについてくるノートが欲しくて、ついチケットを購入。ちなみにこちらです。

ちょっと可愛らしいですよね。

映画『詩人の恋』は、詩人が感性のひらめきが消えてしまった状態の中、ある青年に出会うことで、ひらめきが蘇るという物語です。(パンフレットにある主演ヤン・イクチュン氏のコメントを引用)

ぽっちゃり体型の詩人の男性には妻がいるが、どこか心が冷めきっ

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『ある画家の数奇な運命』 「グラスを割った」から「グラスが割れた」への主体性からの逸脱

『ある画家の数奇な運命』 「グラスを割った」から「グラスが割れた」への主体性からの逸脱

小学生のころから、手を使って何かをつくる図画工作や家庭科が大好きでした。中高校では美術部に所属し芸術の道に進みたいとも思っていましたが、途中で方向転換。鑑賞中、芸術と向き合う青年の姿が懐かしく思えてきました。

画家の道を目指すドイツ人の青年クルト。第二次世界大戦で彼の人生も翻弄される。戦時中に芸術の魅力を教えてくれた叔母。彼女の死に関わったのが、クルトの婚約者の父親だった。戦後、東ドイツから西ド

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『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』 主人公・竈門炭治郎の優しさは原作者ゆずりだった

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』 主人公・竈門炭治郎の優しさは原作者ゆずりだった

もともと観に行く予定になかった『鬼滅の刃』。
数日前に、ヴィクトリー下村さんのnoteで紹介されていた記事を拝見して、急遽、心変わり。予定変更。公開日当日に“始発列車に乗車“することにしました。

実を言いますと、コミックを読んだことはありません。TVアニメだけ見ていました。私が住んでいる地域では毎週水曜日深夜2時30分ごろから放送。毎週水曜日に自分が担当していたテレビ番組のOAチェックをしていて

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『82年生まれ、キム・ジヨン』 占星術の観点から時代の先駆けを感じる作品

『82年生まれ、キム・ジヨン』 占星術の観点から時代の先駆けを感じる作品

この作品との出会いは遡ること、2018年9月。
神保町の古本屋街にある「チェッコリ」という韓国語書籍を扱う書店でのこと。
店内には韓国から輸入した小説やエッセイ、絵本などさまざまなジャンルの本が取り揃えてありました。
どれにしようか迷うときは、まず店員さんに尋ねる私。
そのとき教えてもらったのが『82년생 김지영』(邦題:82年生まれ、キム・ジヨン)でした。
その女性店員の方は韓国語の翻訳もなさる

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『異端の鳥』 原題には「痛み」をともなう宿命があった

『異端の鳥』 原題には「痛み」をともなう宿命があった

待望の『異端の鳥』がついに公開されました。

強烈に訴えかけてくるこのチラシの場面。

醸し出されるシズル感。

何かある。

観たい、いや、観なくちゃいけない!などと、ひとり心の中でいろんな想いが駆け巡っていました。

一方で、鑑賞前からこのテンションだったので、期待外れだったらどうしようなんて考えもちょっとだけ頭をよぎりましたが、余計な取り越し苦労でした。

舞台は第二次世界大戦中の東欧のどこ

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