117日目:じしゃく【磁石】→エッセイ

じしゃく【磁石】
鉄粉を吸いつける程度以上の磁気力をもつ物体。
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夫は仕事の影響で背中のコリがひどく、エレキバンを常用している。その小さな磁石を貼る作業は、わたしの役目だ。

エレキバンの中心にある5ミリくらいの磁石を見るたび、指先にのるそんな小さな物が、夫の大きな背中をほぐすことを不思議に思う。
毎回「本当に効くの？」と聞いてみるけど、彼は「貼らないとツライ」と言っている。

何十キロもある体が、数ミリぽっちの磁石に左右されるなんて。人体ってどれだけ繊細なんだろう。
気温、気圧、騒音、目にする風景、空中にある無数の花粉や菌、口にする食物の数ミリグラムの成分…
気にしだすと恐ろしくなるから普段は考えないけれど、体に接する膨大な要素に影響されて、日々を生きている。
死なずに三十数年も過ごせたなんて、大したものだ（自画自賛）。

ちょっと強い力が加わっただけで壊れてしまう体に乗って、今日も無事に一日を終える。
夫にもなるべく長く快適に、彼の体に留まっていてもらえるように。今日もその大きな背中に、小さな磁石を貼りつける。

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↓このエレキバンのCMに出てくる、女性たちの背中が開いた服、めっちゃセクシー（というか、フェティッシュ？）だと思うのは、わたしだけ…？