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コロナに学ぶ、クライシス&リスクコミュニケーション


クライシスコミュニケーションとリスクコミュニケーション

今回のコロナウィルスでは、危篤的状況に瞬時号令をかけるクライシスコミュニケーションと、危機的状況に適正アクションを投下するリスクコミュニケーションの組み合わせが求められました。

クライシスコミュニケーションの模範例として、注目されたのは、日本、シンガポール、韓国、香港でした。罹患率の上昇率を抑える事に一定の成果を上げています。

図38

瞬時の対応が求められるクライシスコミュニケーションにおいては、命のリスクが伴いますので、ある意味独断に近い形で、リーダーシップを発揮し、強い断言・号令をスピードを持って打ち出すことが重要です。

一方、これから長期にわたって続くリスクコミュニケーションでは、緊急性・重要性の判断をして、関係ステークホルダーとの合意形成をはかりながら、成果インパクトを考えた施策が求められます。

コロナリスクが与える3層構造を理解すると、対策・アクションプランを整理しやすくなります。(安部首相もこのようなフリップを使って国民に説明して頂けると分かりやすいと思いますが…)

①命のリスク
不要不急の外出をする、密室・密接・密な会話をする、越境をすることは、自分と他人の命を脅かすリスクがあります。
②経済リスク
経済活動の大幅な縮小と、世界規模での不況リスクについて何通りものシナリオが描かれます。直近での倒産リスク回避、連鎖倒産回避と共に、今後起こりうる需給ミスマッチ解消と経済刺激策が必要となります。
③不確実リスク
いつ収束するか分からない? いつまで続くかわからない? この先どうなるのか読めない。誰もが知りたいのですが、誰もが見えないこと。漠然としたリスクが、実は行動経済に大きなインパクトを与え続けます。

新型コロナリスクのコミュニケーションでは、3層がバッティングして、“優先すべきリスク判断が錯綜する” ことが、説得を難しくさせます。

例えば、「命のリスク」を冒してでも、1週間後の資金繰りの「経済リスク」を回避しないと、企業も自分も生き残れない。今やらないと、明日がない場合には「不要不急の外出」は優先すべきリスクではなくなります。難しい局面が続きそうです。

さて、「不確実リスク」にどんな心構えでいるべきか。

それは、悲観も楽観もなく、事実を見定めて“3~5パターンのシナリオ” 最悪ケース~ちょっとポジティブケースまで、どう来ても対応できるように、「何気の臨戦態勢」をとっておくこと。時代がVUCAであることに対応出来ている企業や個人は、生き延びる確率は高いと思います。

※「VUCA」Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)


コロナギャップから学ぶ

新型コロナウィルスという感染症との戦いの中で感じた、ギャップやインサイト “違和感のある真実” から世の中のシグナルを予測して、未来をフォーキャストする機会として捉えたいと思っています。

私が、今感じている “違和感のある真実” をいくつかご紹介します。

図39

①他人とは距離を。心はひとつに。
不要不急の外出はやめよう、密室・密接・密な会話はやめよう、というリーダーの呼びかけで、多くの企業でリモートワークが始まりました。私自身、「リモートでの競合プレゼン実施」という場面に遭遇しました。表情・ニュアンス・温度感・手触り・感触などの遠隔コミュニケーションは、ZOOMやTEAMSではまだまだですし、ビジネスチャンスは非常にあると感じました。

②見えない敵との戦い
糖尿病やがん、認知症などと異なり、新型コロナウイルス感染症との戦いは「見えない戦い」であることが対応を難しくさせるのひとつだと感じます。若い方々が「リスク見える化」ツールを駆使して、「あの時刻の列車乗るのはヤバイよ」「あのルートやエリアはリスク度9.8だから止めない?」 などリスクの見える化コミュニケーションがとれると良いなと感じました。

③集団発生・偏見
新型コロナウイルス感染症の性質上、ある特定エリアでの集団発生が今後も起こります。それによって、国境や越境が封鎖されたり、民族主義や差別が助長することが十分に考えられます。右傾化や自国第一主義的な発想が、幅をきかせるようになるかもしれません。一方、都市集中型の経済活動や社会活動の再考、里山資本主義や多極分散型経済への回帰が、改めて議論されると感じます。

そんな、ふとした “違和感のある真実” を妄想に、妄想を構想 に変えて、新しい一歩を踏み出せると良いですね。


桜と雪の混じる2020年3月29日 

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