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知りたい事実、知った事実、生きていく事実。 ~ 舞台 ツダマンの世界 ~

阿部サダヲさん、吉田羊さん、江口のりこさん出演と聞いたら、ポチっとしない訳にいきません。

んだ、んだ、ちげぇねぇ!! (村人のみなさん)

1回目のチケットサイトでは抽選に漏れ、他のチケットサイトに抽選申し込みをして祈り続けたところ当選♪

しかも、当日会場のシアターコクーンへ出掛けると、ニヤニヤの止まらない7列目。

演者さん、ガッチリ見えます、何なら舞台全体が見えない近さ!!
(書き方)


ざっくりストーリーと感想を書いて参ります。

これから観劇予定の方はまた後日お読み頂けましたら幸いです♪



お話の中心人物、阿部サダヲさん(役名:津田万治・つだまんじ 売れない作家)のお宅に住み込みで働く、ストーリーテラー的立ち位置の江口のりこさん(役名:オシダホキ 津田家の女中)の語りから始まります。

既にご臨終な皆川猿時さん(役名:大名狂児・だいなきょうじ 津田の幼なじみ・人気作家)、村杉蝉之介さん(役名:強張一三・つよばりいちぞう 津田に弟子入りした長谷川葉蔵・ようぞうの世話係)、笠松はるさん(役名:神林房枝・かんばやしふさえ アングラ劇団の看板女優、津田の愛人)の三名がそれぞれ「成仏したいので自分の死に関して疑問に感じている部分を解消したい」と申し出て、江口さんと一緒にお互いに生前の出来事を突き合わせして行くことになります。


阿部さんは出生が複雑で、割と裕福な家で育っていましたが、産みの母の早逝により後妻に来た吉田羊さん(後の津田の嫁:戦争未亡人の数・かず、と二役)にちょっとしたことで定規でしばかれては、反省文を書くことを強制されます。この「反省文」を書くことでまさかの文才が芽生えることに。

残念ながら生家のイケイケは続かず、中年となった今は細々と小説を書いて生計をたてている阿部さんに縁談が持ち上がります。

結婚して2週間で夫が戦死してしまい未亡人となった吉田さんが、皆川さんの計らいで阿部さんに嫁いで来ます。

そこへおせんべいの製造でイケイケな家の三男坊の間宮祥太朗さん(役名:長谷川葉蔵・ようぞう)が自身の「絶好調な人生」では良い小説が書けない、そこで大人気作家の皆川さんでは無く、貧乏作家に成り下がっている阿部さんに、敢えて弟子入りすることで「揉まれたい」という鼻持ちならない理由で転がり込んで来ます。

日本が本格的に戦争に突入していく過程で、この癖のある登場人物たちも様々に人生を翻弄されます。


先日、同じ戦争ものとして観劇した「夜の女たち」

こちらは結構重い雰囲気の舞台でしたが、今回の「ツダマンの世界」は同じ戦時中ものとしてキツイ演出や映像もちりばめられていますが、癖のある人物たちの演技やセリフにより、ニヤニヤし吹き出すことが止められない状態が最初っから最後まで続きます。

なかなかのくんずほぐれつの下ネタ人間関係やブラックジョーク、そんな訳無いだろう的な演出がそこかしこですが、戦前・戦中・戦後だったら有り得るんだろうと思ったりもします。新聞記事や戦争のお話で似たような記述を見かけますので。

唐突にミュージカル的に歌を歌うシーンも入りますが、メインの歌は元四季の笠松はるさんが大いに引っ張る感じで聞き応えがあります。ダンスシーンもあれ?戦時中の話だよね?と思いつつも、シーン、シーンでフィットしていました。


成仏したい三人の何で死んでしまったのか?の理由も、それぞれが「仕方なくもない」だったり、「そりゃねぇだろう」だったり、「思いを達成出来た?」だったりで、強烈でした。

最期の最後は、女の強さ、強かさに尽きるかと。

そして、入水自殺をするかしないかの冒頭を思うと「作家本人が欲した訳では無いモテ具合」にも思いを馳せて見たり。

休憩20分を挟んでの約3時間半。

これだけ動いて叫んで一日2回公演があるなんて、役者さんって凄いです。


今の日本人にこのバイタリティーは恐らく無いと思います。

何が何でも!!よりも、諦めが先に立ってしまうような。。

疲れることが多い昨今、良くも悪くも気合の入った、楽しいこと、好きなことに貪欲、生きることに愚直な人たちを見ることをオススメ致します!

強烈なお話ですが、確実に笑えます☆

「いっちょ、やってやろうか?」と何かに向かって思ってみなくも(笑)


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