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今のご時世でも? ~ 舞台 チョコレートドーナツ ~

単純に東山さんがゲイのシンガーを演じるということと、高畑淳子さんご出演ということでチケットをポチったと思います。

現在進行中の事件に於いて、東山さんが代表者になるとは知らなかった時のチケットゲットだったので驚きました。

そんなこんなで渋谷のパルコ劇場にて観劇。

前から10列以内のほぼ中央、前の席の方の座高も全く問題無い素晴らしい席でした♪

ここから感想を含めたネタバレとなります。

観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!


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舞台は1979年のハリウッド。

ショーパブのクチパクダンサーとして働いているゲイのルディこと東山紀之さん。

カツカツの日銭で生活している中、本物のシンガーになりたいと日々奮闘しています。

ある日、ショーパブでいつも通りに仲間とショーを披露していると、泥酔客がカウンターの椅子から転がり落ちます。

東山さんが介抱しますが、この泥酔客が検察官として働くポールこと岡本圭人さん。

岡本さんは優しくキレイな東山さんに一目ぼれ。

岡本さんも実は隠れゲイ。

大学生の時、1回だけ同級生の男性と関係を持ったことがあり、そのことがバレて父親に無理やり別れさせられたことがあり、そのことを知ってしまった妻から離婚を申し出られ、子どもの親権も取られてしまい、泥酔するまで飲んでいたのです。

その同級生の男性は岡本さんと別れた後、自ら命を絶っています。


泥酔しつつ東山さんに一目ぼれしたことを伝えると、東山さんも岡本さんの思いに答える形で粗末な自分のアパートの部屋に連れて帰ります。

部屋で二人で過ごしていると、薄い壁の隣の部屋から怒声が聞こえ、その後に爆音で音楽が流れ始めます。

東山さんは「いつもなのよ、文句をいってやる!!」と怒りながら部屋を出て行きますが、しばらくすると人形を抱いた子どもと一緒に戻って来ます。

岡本さんが尋ねると「隣のごみ溜めみたいな爆音の部屋に座っていたから連れて来た」と。

マルコ(実際のダウン症の子役)という名前のこの子はダウン症であり、不憫に思った東山さんがこの部屋で面倒を見ると言い出します。

岡本さんが家庭局に連絡して預けるべきと言いますが、東山さんは子どもの頃に家庭局で過ごしたことがあり、「あんなところ」にマルコを入れるなんて出来ない!!と言い、二人は押し問答。

その間に薬物依存症のマルコの母は捕まり、部屋でマルコの面倒を見ていた東山さんですが、アパートの大家の密告によりマルコは家庭局へ連れて行かれます。

東山さんのマルコへの思い、そして大好きな東山さんのために岡本さんは法的知識を駆使して、マルコの母から「自分が刑務所にいる間の面倒は二人に見てもらうことを認める」署名をゲットし、一旦は家庭局からマルコを救い出します。

しばらく三人で岡本さんの綺麗な部屋で仲良く生活していました。


ところがある日二人はケンカをしてしまい、怒った東山さんはマルコを連れて自分の粗末な部屋へ帰って来てしまいます。

この「粗末な部屋に戻ったこと」により、「規約違反」としてマルコは再び家庭局へ「保護」されてしまいます。

仲直りをした二人は「自分たちの子ども」としてマルコを迎えるため、岡本さんはゲイをカミングアウトし、東山さんも「環境の悪い仕事」を辞めて、自分たちが「親」として「本当の家族」になるため、裁判に挑みます。

そこへ岡本さんの学校の先輩が相対する弁護士として登場。

先輩は過去の岡本さんの性癖、後輩の自害に悪意を持っています。

東山さんと岡本さんと以前面談をしたことのある家庭局の担当者は二人に良い印象を持っており、マルコも二人と一緒に過ごしたいと思っている旨を法廷で証言してくれます。

女性裁判長の高畑淳子さんはこの証言で二人に良い印象を持ちますが、先輩弁護士の「二人は同性愛者」であり、二人の行うことは「子どもに悪影響」と、「一般的な男女」だったらほぼ問題の無い偏見に満ちた意見を次々と展開し、高畑さんもこれを重く見ます。

その偏見に岡本さんは都度異議を唱え、高畑さんも異議を認めはしてくれますが、残念ながら裁判で二人は敗訴します。

がっかりする二人ですが、そんな中でも、東山さんの歌がハリウッドに届くなど、少しだけ光明が見えてきます。


そして、腕利きの弁護士を見つけて、控訴することにします。

その裁判で本来まだ服役しているはずのマルコの母親が出所した上で証人出廷し、「わたしがマルコを育てる」と唐突に宣誓します。

母親を出所させてまでマルコと二人を「家族」にさせないよう、父親の友人である岡本さんの職場の上司が手を回していたのでした。

「実の親」には何者も勝てない・・。

絶望する二人。

そんな中、何も知らずに「二人と一緒に暮らせる」と思ったままのマルコは、寒い季節に家庭局を抜け出します。

「二人の待つ部屋」を探して街を彷徨ったマルコは・・・


約45年前の実話が元となっています。

政治の世界などでは未だに「同性愛は病気」などと、偏見そのものを当たり前のように発言する政治家がいます。

好きな相手が同性なだけで、他人に何の迷惑が掛かっているのかしらと思います。

自分が子どもの頃には確かに「男女」以外の組み合わせは発想に無く、テレビで「おかま」と呼ばれる(自称)人が登場すると「色物」として見ていた記憶があります。

大人になるにつれて色々な人間関係があると分かってからは、上記の政治家的な発言があると、何に対してそんなに怒っているのかと思うようになりました。

性教育や経口中絶薬など、教えるスタートを遅くするほど、間口を狭くすればするほど「エロ動画を見て」「ネット情報」「先輩から友達から聞いた情報」を鵜呑みにした行動で、誰かが悲しい思いをする羽目に陥っていると思います。

ちょっと話がズレましたが、今回の舞台はそういった各種の「偏見」により、悲しい状況から幸せになれるチャンスを悲しい形で失ってしまう物語です。

「誰が、何が悪いのか?」も、それぞれ関わった人たちの立場や考え方で違うと理解は出来ます。

ただ「幸せの形」が見えているのに、「偏見」でぶち壊されるという出来事の不幸さが悲しく理不尽なのです。


同性愛の話であり、東山さんがゲイの役柄、裁判という事象があり、ダウン症(知的障害)、子どもが悲しい目に遭遇するストーリー展開は、現在ジャニーズ事務所の件でモロに渦中の東山さんと岡本さんには酷な状況だと思いました。

東山さんの舞台は初見ですし、少年隊で歌ったり躍ったりの姿以外、ドラマ出演も見たことが無いため、どういった演技をされていたのかは知らないのですが、心なしか随所随所で少し演技が固い印象を受けました。

岡本さんには感じませんでしたが。

立場の違いがあるのかなぁと。


ラストシーンは物凄く迫るものがあり、かなり涙目に。。

カーテンコールは最初からスタンディングで4回も幕が上がりました。

子役の子がお茶目をするので、とうとう涙がポロポロと。

この4回のカーテンコールは演者さん全てへの観客の感謝であり、同時に東山さんへのエールな気もしました。

「演技が固い」なんて何様?なこと書いてしまいましたが、お茶目で真面目で一生懸命な役柄に東山さんはぴったりだったと思います。

年内で俳優業は廃業と仰っていますが、歌やダンスも恐らく同様と思い、ジャニーズ問題は置いといて、物凄く勿体無いと思います。

才能を発揮する場を失わせるという意味でも、事件は本当に罪ですね。。


そして会場内外で全くポスター等の展示がありませんでした。

展示されていた時にイタズラや中傷があったようでしたら、許せない出来事です。


ですが、舞台は笑えるシーンやセリフ、素敵なダンスや歌も散りばめられています。

下ネタがありますが、お子様と一緒の鑑賞も良いと思います。

とても素晴らしい舞台でした、オススメです!




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