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未来からみた今は過去だという

必ず別れが来るとわかっているのなら
言っておきたかった美しい言葉は
ためらう必要なんてなかった。
わたしはなぜ隠してしまっていたのだろう。
わたしの半端なプライドと自意識が
出ようとした言葉を遮って
汚れた両手で押さえて飲み込んだ。

居なくなった時に最初で最後
その人が形を完成させて、命の全てを現した。
歩んだ人生はあれやこれやを飲み込んで
様々な思いも解決してないことも
おーるおっけー、簡潔に。
ひとりの命を手にのるサイズに収めてしまった。
手のひらの命は外界への発信を止め、ことばは増えることも減ることもない。

いつか来る未来をそんな風に考えていると
今が過去ならやるべき事は素直になることだと
先の時間の私が教えてくれる。

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