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「彼方のアストラ」というSFミステリー漫画の到達点

本当に嬉しい。こんな漫画が描かれる事をずっと待っていた。

先日最終巻が発売された「彼方のアストラ(全5巻)」を読み終えた。
終盤を読んでいる時点でこの漫画の素晴らしさを一刻も早く多くの人に伝えたくてたまらなかった。なので、今この書評を書いている。
とはいえ、この作品はネタばれ厳禁要素が多いので、読んでみようと思った方にはまっさらな状態で読んでいただきたいため、ストーリーにはほとんど触れずに、抽象的ではあるが作品の凄さを外堀から書いてみようと思う。

タイトルにSFミステリー漫画と書いたのだが、その言葉がピタリとはまる漫画は意外とそう多くは思いつかない。自分は漫画が好きでありミステリー小説が好きでありSF映画も好きだ。それぞれのジャンルの表現方法でしか得られない驚きや感動があるからだ。例えば、よくミステリーコミック特集という切り口で語られる作品は、もちろん漫画としては素晴らしいのだが、上質なミステリー小説の真相が明かされた時の驚きはやはり小説ならではの体験であり、ミステリー漫画的に語られる作品もそういうミステリー要素よりもどうしても漫画としての要素が強いものばかり、という印象だった(ちょっとこの部分はうまく表現できない)

ところが、本作は上質なそれらを体験した時と同じくらいのものが味わえるのだ。つまりは、最高のSF作品であり最高のミステリー作品であると断言できる。しかも、計算されつくした確かなプロットが少年漫画の強みである個性豊かなキャラ立ちと盛り上げる演出の手法で表現されているのだ。
さらに、時折挿入されるギャグも何の違和感も無く本作の大きな魅力となっている。また、最近の漫画では見なくなっていた未知なる宇宙の姿を想像力を駆使して描かれている。見た事もない世界を見せてくれる漫画本来の楽しみ方が存分にできる。

というように本作の魅力をあげればきりがない。最終ページが近づいて行く時、自然と目に涙が。決して感動の涙だけではないのだと思う。こんな良質な作品に出会えた事に対する幸福感と読み終える事に対する寂しさ。そんな涙だったのだと思う。

全5巻でもハードカバーの小説一冊よりもちょっと高いくらい。断然お得!漫画が好きな方もSF小説や映画が好きな方もミステリー小説が好きな方もどんな方にも自信を持って全力でおすすめできる作品。もっともっと読まれて欲しい。

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