日本文化を知る
こんにちは、事務局の吉野です。
11月にベトナム行った際に私の授業にずっと付き添ってくれた学生がいました。その学生はすでにN3(日本語能力検定3級)を取得していて、大学の授業の翻訳の課題をやっていました。
せっかくずっと私といるので何かわからないことがあったら聞くようにと声をかけていました。
すると、翻訳課題の文章の最後のまとめがわからないとのこと。
課題に目を通すと、日本の原発の文章を翻訳していました。
なかには内閣であったり、衆議院、参議院などのベトナムにはなさそうな言葉。ただでさえ、海外でも上院と下院などと別れていますが、衆参の漢字の意味を読み取らないとわからないと思います。
課題は「翻訳」です。
それが本だったり雑誌に載るなどのことを想定するので、きれいな文章にしなくていけません。
その学生がわからなかったのは、「我々は継承者として心を傷め、、、」という文章。
まず、継承者とは? 心を傷めるとは?
最後の文章だけでは私も理解できず、最初から課題を読みました。
最後の文章を読み解くには、日本人の一部の人が思う原発への考え方を知る必要があるということ、日本の戦争の歴史を知るということ、漢字の細かい意味や表現方法を知ることが必要だと思いました。
①まず、原発は核を使用しているエネルギーであり、地震大国の日本では危険が伴う可能性が大きいということ。
②「継承者」とは、何かを受け継いでいる人。ここでは、日本は世界の戦争の歴史の中で「唯一の被爆国」という意識があり、核エネルギーが脅威であることを忘れてはいけない、と考えていること。それを日本人が受け継いでるということ。
③心を傷めるのは、物理的にではなくメンタル的な話で合って、肝に銘じると近い意味だということ。
この内容を説明するとやっと理解できたようでした。
どの言語の翻訳者、通訳者もそうですが、その言語の裏にある文化や歴史を知ることで、本来の意味が翻訳・通訳されるのだなと感じました。
ドンア大学では、3年生から専門分野の授業が多くなり課題の内容も難しくなるということです。
難しくなればなるほど大変ですが、学生のわかったという表情がとても明るく、こちらも力になれてよかったと思えます。
「一つひとつのわかる」をたくさん見つけられるように、私も教える力をもっとつけていきたいと思いました。
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