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バレエ・アイコンズ・ガラ @ロンドン

Ballet Icons Gala, @London Coliseum, 17th March 2024

ロンドンで行われたバレエ・アイコンズ・ガラを見てきました!

ロンドンでは非常に稀なバレエ・ガラ。それだけではなく、実は海外のバレエ団がツアーに来ることも稀なんです。ヨーロッパだし、大都市ロンドンだし、世界中からくるのでは!?と思われがちですが、ヨーロッパの大きなカンパニーはほぼ来ません。来るのは小さなカンパニーで主にコンテ。パリ・オペラ座なんてお隣なのに、この20年で来たのは1回と記憶しています…。ヨーロッパは近いので、お前が見に来い!ってスタンスなのでしょうか。アメリカのNYCBやABTが数年に一度来るくらいかな…。ロシアのボリショイとマリインスキーは昔交互で夏に来てくれていたのですが、今はこの情勢ですので。(泣)日本でよくあるような、海外のバレエスターのグループガラ公演というのも全然ないです。海外のカンパニーが色々見られるという点では、ロンドンは東京には全く及ばないのです。というわけで、ロンドンではとっても貴重な機会なのです!

ほんっとうに楽しみにしていたガラ。演目も気になるところです。古典が好きですが、(というよりコンテは本当に作品によって好みがあるので楽しめるかわからない)ヨーロッパはコンテ人気もあるので、日本の世界バレエフェスなんかよりはコンテ色が多めになります。今回も17作品中7作品にとどまりました。クランコのじゃじゃ馬ならしは古典に入れちゃいました。フォーサイスのインザミドルももう古典じゃない?って感じですが一応外しました…。

でもせっかく世界中のダンサーが集まる機会! ロンドンのカンパニーがレパートリーに入れてない作品を見られるいい機会でもあります。ロイヤルバレエのダンサーもロイヤルではあまり見られないグラン・パ・クラシックや海賊などを踊ってくれるので嬉しい。今回はUKプレミアが3作品もあり、クランコのじゃじゃ馬ならしなどイギリスでは見られない作品なども見られて嬉しかったです。そういう意味でもどんな作品を見せてくれるのかな!?と注目します。

それでは、次から私の独断と偏見による感想です〜!それでもいいよ!っていう方だけご覧くださいね! かなり長いよ笑。でもビデオなども(見つけた分は)つけてみましたので、作品が気になる方はリンクだけでも是非!


1.グラン・パ・クラシック(金子扶生&ヴァディム・ムンタギロフ)(ロイヤルバレエ)

ふみさんとヴァディムの優雅なグラン・パで幕開け。こんな機会でもないとグラン・パなんてロンドンで、ロイヤルのダンサーで拝めないので嬉しい。音楽性、優雅さ、完璧。ふみさんはバロネのパートが完璧すぎた。ヴァディムのジャンプは音に一切遅れない!

同じ二人の映像ありました。

2.赤い薔薇ソースの伝説(フランセスカ・ヘイワード(ロイヤルバレエ)&ヘルマン・コルネホ(ABT)

ロイヤルのオリジナルキャスト、フランセスカとABTでのファーストキャスト、ヘルマンの組み合わせ。情熱的な最後のパ・ド・ドゥ。

3.エスメラルダ(マルガリータ・フェルナンデス&アントニオ・カサリーニョ)(バイエルン州立バレエ)

めちゃくちゃ盛り上がったエスメラルダ! バイエルン州立バレエ(以下ミュンヘンバレエにします)のお二人が、特にマルガリータが素晴らしかった! ミュンヘンは後で出てくるオシエルをはじめ、テクニックがすごいというイメージがあるのですが、このお二人もすごかった! テクニックを見せるガラ的演目だからバッチリハマっていたというのもあるけど、テクニック見てくれ〜的な押し付けがましさはなく、音楽的にも素晴らしくて、華麗なジプシーの踊り子(男役はこれはフェブュスなの?だったら違うけど…このバージョンのことよく知らないのですいません)らしく、魅せるところをきっちり魅せる踊り方で、止めるところは止めて魅せて、という、ため方というか、それが素晴らしかった。

特にマルガリータのタンバリンのバリエーション。最近ローザンヌでお腹いっぱい見たので、これぞコンクール女子たちに見てほしい! というお手本な踊り方でした。タンバリンのエスメラルダといえばもう、コンクールの定石、テクニック! テクニック‼︎ ピルエットぐるぐる足バーン!みたいなイメージですが、さすがプロというか(当たり前なんだけど)テクニックを「見せない」、“ジプシーのエスメラルダ“を魅せる踊り方が素晴らしかった。音の取り方がまず完璧、仕草でコケティッシュで妖艶なエスメラルダを表現。テクニックを見せない、と書いたけど、実際はアラベスクのところでアチチュードを頭上に持って行ってタンバリンで毎回叩くという超絶技巧やってのけたんですけどね。それが「超絶技巧見てちょうだいよ!」といういやらしさが全然なかったんです。技よりエスメラルダというキャラクターが出ていたというか。最後のバロネも、音に合わせてタンバリンを叩いてパッセでキープという、シンプルだけど難しい技巧を見せてくれて(普通は単調にバロネする人が多いイメージ。パッセキープもちゃんと音に合わせて長かった。)スコーンと音にハマって気持ちよかったです。コーダのジャンプも全部後ろ足でタンバリン叩いてくれて(!)フェッテも素晴らしかった〜!もちろん会場大盛り上がりでした!

エスメじゃないけど二人のディアナとアクテオンの映像がありました。

4.ツーピース・フォー・HET(坂本莉穂&コンスタンティン・アレン)(オランダ国立バレエ)

HETとはオランダ国立バレエのことです。オランダ国立で活躍されてる坂本さんが見られて嬉しい。作品は男女それぞれのソロをお互いが見ているところから始まり、二人が張り合っているような感じで、プティのボレロ(男と女の戦い、みたいな)を連想させました。

踊り手は違いますが、こんな作品。

5.考える人(セルジオ・ベルナル)

元スペイン国立バレエのセルジオが作った作品で、ロダンの彫刻作品からインスピレーションを受けた3部作「The Sculptor of Emotions」(感情の彫刻家)の一部。クラシックギターの生演奏に合わせて、あの有名な考える人が動き出して…フラメンコ! 面白いアイデア。だけれど、私はやっぱりもうちょっとバレエっぽいダイナミックな動きがある方が好きでした。フラメンコの情熱らしく、フラメンコシューズを履いてタップっぽく音を出してるのだけれど、ヒールがどうも気になるというのもあった。考える人ですからほぼヌードの衣装で、そこにヒールが目立ってフェミニンな感じに見えるのですよね…。もちろん履いてるのは女性用じゃなくて男性用ヒールだから全然高くないんだけど、衣装がほぼないからヒールが目立つわけです。プティのカルメンでもシューズでフラメンコっぽいステップは踏んでいたし(あまりに多かったら足痛めるのかもしれないけど)せっかくバレエっぽい衣装、素材だしもっと動きを入れたらダイナミックで面白い動きもできたのでは…。と個人的に思っちゃいました。

が、今、ビデオがないか探したときに発見した3部作のイメージビデオを見て、あ〜やっぱこれでいいかも!って思っちゃった。個人的には太陽王のバロックなダンスがすごく興味ある。そこからのスパニッシュでの考える人、で、最後のキスはちゃんとバレエになっていて、3種類のダンスがあってのあえてのフラメンコだとしたら、やっぱりこれが正解かも。そこはやっぱり全体の切り取りを見せるガラの難しさですね〜。(もちろん上述のは完全に私の好みの話なのですが。)

この作品を含む3部作のイメージビデオ。

6.ルネッサンス(ブルーエン・バティストーニ(パリ・オペラ座)&ジュリアン・マッケイ(ミュンヘンバレエ)

ロンドンでパリ・オペラ座のダンサーを拝見できるのは本当に稀です。最近になってスジェ、プルミエと昇進したブルーエンが、ミュンヘンのジュリアンとメンデルスゾーンの美しい音楽で踊るパ・ド・ドゥ。振り付けはオペラ座のスジェ、セバスチャン・ベルトー。流れるようなリフトが美しいバイオリンコンチェルトに合ってて素晴らしかったです。ブルーエンの体がジュリアンのリフトで漂いながら伸びやかで美しい。ただね。衣装がね。バルマンだったらしいんですけど。ジュリアンのトップスが美川憲一レベルのギラギラさで。ブルーエンは全身ヌーディーなタイツ、レオタードのところだけうっすら白味が増し、そこにキラキラのスパンコールが輝く、綺麗なスタイルだったんですが、ジュリアンはトップスがその10倍レベルの、完全に美川憲一のシルバー総スパンなジャケットみたいになってて。どうして?ジュリアン、タイツの方はブルーエンとお揃いでいい感じのカラーなのにトップスのぎらつきがすごくて。なんでなの?普通は色味合わせない?ブルーエンのレオタードも同じくらいギラギラにするか、ジュリアンのトップスをブルーエンのレオタードに合わせたらよかったのに。なんでジュリアンのトップスだけあんなギラギラだったのか…。もう美川憲一が頭にちらついて集中できませんでした…。ごめんね…。(下のビデオを探す際に全幕が写ってるイメージビデオがあったのですが、なるほど、色々衣装パターンがあったのですね…)

ジュリアンがこのガラにも出演しているスカイラーと踊っている映像。

7.マーシー・デュエット(IMAGOより)(トラヴィス・クローセン-ナイト&ジェームズ・ペット)

踊り手二人による振り付けのIMAGOより最後のパ・ド・ドゥ。すごく面白い作品でした! 私は本当にコンテの好みが好き嫌いが激しくて。自分でもこれは好き、これはイマイチ、というのを言語化できない。本当に見てから自分の好みにハマるかハマらないかで決まります。振付家でも作品によっては好きなものとそうでないものがあるし。なのでコンテの新作は身構えてしまうのですよね、これは果たして私が好きなやつか?で、これはめっちゃ好きなやつでした。最近この手の、男女じゃないパ・ド・ドゥが好きです。男女だとどうしてもカップルを想像したり、男性がリフト役になっちゃうところがありますが、男同士、女同士だとどちらもフラットでより面白い動きができると思うんですよね。これは感情的にも、男同士の友情みたいな、いや男でもない、普通に個々の人間としての繋がりのように見えました。男女だとどうしても恋愛フィルターが見えそうだけど、これはフラットにただの人と人、というのが見えてよかったなあ。音楽もコンテ用に新しく作られた音楽ってあんまり好きじゃないことが多いんですが、これは好きでした。近々全幕をロンドンでやるらしいので見に行きたいくらい気になってます。

ロンドン公演のPRリール。

8.海賊(エヴリーナ・ゴドゥノワ(ポーランド国立バレエ)&清田元海(ハンガリー国立バレエ)

一部の締めは海賊で盛り上げて締め!これはもうエヴリーナさんには申し訳ないけど、清田さんの独壇場という感じでした。観客大盛り上がり!とにかく清田さんがノーブル(?と言っていいの?奴隷役なのに?でも本当に紳士で、言うなれば英国執事のようなアリ)で、なのに超絶技巧で観客を沸かせていました。グルングルン回るしジャンプもすごく高くて、客席もどよめく。なのに立ち振る舞いがものすごく美しくて。奴隷だからもうちょっとワイルドでも?と思う方いるかもしれないけど、ガッツリテクニックを見せてるので、ここでバレエらしい美しい所作を見せてくれてちょうどバレエになる、と思いました。ちなみにメドーラのヴァリエーションはガムザッティのやつでした。

9.Proximity or Closeness(エレオノーラ・アバニャート&セルジオ・ベルナル)

プログラムに順番の変更ありで、この作品とダイヤモンドが入れ替えに。おそらくステージ上にピアノと弦楽器を呼んでたので進行上の都合だと思われます。元オペラ座バレエのエトワールで、現在ローマ歌劇場の芸術監督である(…だよね?プログラムには一切ローマの文字がなかったので不安になって調べたけど…)エレオノーラと元スペイン国立バレエのセルジオによるパ・ド・ドゥ。マーラーのピアノ四重奏曲(シュニトケによる完成版)で踊られるのですが、とても面白い! タイトルを直訳すると、近接性への近さ、みたいな感じでしょうか。Proximity、Closeness、どちらも距離的、関係性の近さを表します。振り付けはイタリアのエルマンノ・スベッツォで、ステップだけでなくマイムだけだったりして面白かった。最初はそのようなソロだけで二人が絡む場面はなく。二人の距離を表している感じ。そして後半で近づいていき、パ・ド・ドゥになります。ライモンダのように手をパチンと打ち鳴らす動きもよくあり、時々それで照明が落ちてスイッチになったり、スポットライトの中で佇むだけだったり、という、本来の「ステップで動くバレエ」の概念がない作品だった。もっと彼の作品見たいなあ〜。マーラーのピアノ四重奏曲美しくて良かった。

踊り手は違いますが、素晴らしい作品なので映像ぜひ。

10.クオリア(ヤスミン・ナグディ&リース・クラーク)(ロイヤルバレエ)

本当にごめんやけど…。私マクレガー作品興味なくて…。マクレガーがロイヤルでデビューした作品。この後に出てくるフォーサイスのインザミドルと似てるな〜と思いながら見てました。ダンサーのお二人はもちろん素晴らしかったです。

11.白鳥の湖より黒鳥のパ・ド・ドゥ(スカイラー・ブラント&ヘルマン・コルネホ)(ABT)

わたくし、今日はこのために来た! と言っても過言ではない! ABTのスカイラーを見たかったんです! インスタでの華麗でキュートな踊りを見てからすっかりファンになってしまい。ABTが来ることすらもうほとんどないので、今回スカイラーがくるからこのガラを予約したと言っても本当に過言ではありません。コケティッシュな黒鳥は彼女にピッタリ! 小悪魔的な魅力を振り撒くオディールでした。が、時差ぼけか緊張か?ちょっと空回り感も見えて。残念ながらフェッテは落ちてしまって32回転ならず、最後はピケターンからのジュッテアントゥールナンへ。ヘルマンはちょっとバジル味入ってる。もう完全にラテンの国の王子のジークフリートでした。オディールに負けず劣らず色気を振りまいていた。

スカイラーがアラン・ベルト踊ってる黒鳥。

12.カラヴァッジオ(メリッサ・ハミルトン(ロイヤルバレエ)&ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座)

比べると申し訳ないんだけど、直前にスカイラーでハラハラした後のこの二人、安定感がやばすぎる。メリッサとボッレの黄金コンビ。メリッサはボッレのガラ公演にほぼ毎回呼ばれていて、この作品も踊り込んでいるだけある。このテクニック大丈夫?なんて気持ちがミリも起きずにただただ踊りに集中できる。ボッレのベテラン格、そしてメリッサとのパートナーシップが素晴らしかったです。

映像ありました。

13.リメンバランス(ロスト・レターズより)(ルシア・ラカッラ&マシュー・ゴールディング)

後半が始まったとき、「ダイヤモンドから始める予定を変更しまして〜」の後が聞き取れなかったんですが、ひとつずれたわけでもなくいきなり知らない作品が始まりまして、後半知らない作品もあったので、ん?どの作品やってるの?とわからなくなってしまいまして。(プログラムはざっと見ただけ、目もめっちゃ悪いので)で、ラカッラかな〜と思ったりもしたのですが。この作品始まってから、あ〜やっぱりラカッラは見ただけでわかるわ!と思いましたね。ラカッラの体美しすぎる。バレリーナなんてみんなスタイル良くて美しいんですが、もうね、ラカッラは本当にレベルが違う。こればかりは神様不公平と言わざるを得ないよ。このみんな美しいバレリーナの中でさえ際立つ美しい身体! 足の長さ、形、いや、本当に同じ人間とは思えない。カメラや舞台上ってやっぱり視覚が違うから実際で見たら写真や舞台上より細い〜!全然違って見える〜!というのはよくある話ですが、ラカッラ、実際会ったらもっとすごいんだろうな。顔なんてこぶしぐらいしかなさそうだ〜。

というわけで、ラカッラのスタイルだけでたくさん書いてしまいましたが、彼女を見るのもこのガラの目的でした。大きなバレエ団に所属してないのにガラに呼んでいただけるとかありがたすぎる。大好きなプティ作品の1人者、ということも大好きで見たい理由の一つなので、今回も期待したのですが、今回はパートナーのゴールディングの作品。こちらはウォー・レターズという実際に戦争中にやり取りされたラブレターの展示からインスパイアされた作品の中の一場面。タイトルにもあるリメンバランスは、イギリスのリメンバランスデー(第1次世界大戦の休戦記念日。11月11日)と思われ、赤いポピーが風に揺れる映像が舞台一面に映される中で踊られます。赤いポピーの花は戦没者に対する慰霊の意味があり、イギリスではよくその時期にコサージュとして身に付けられています。そのポピーと同じ赤いドレスを着て登場するラカッラの美しいこと! ただ歩いてるだけなのに。赤いドレスを靡かせながら舞台をゆっくりと横切るラカッラ。そのドレスは舞台を覆うほど。そして舞台が覆われたら、その布の下にいたゴールディングがスカート部分を華麗に翻しながら取り去るシーンはそれだけで作品になっていました。おそらく戦没者と残された夫人との美しい濃密なパ・ド・ドゥ。息を呑んで見守りました。

ロストレターズのイメージ映像。めちゃくちゃ素敵。全幕見たいです。

14.じゃじゃ馬ならし(カミラ・ボッカ&オシエル・グノー)(ミュンヘンバレエ)

ミュンヘンバレエのオシエル、そして未見だったクランコのじゃじゃ馬ならしで期待大。でしたが、う〜ん、ガラ向きじゃなかったかな。面白い作品だったけど、やっぱり全幕で見たいかも。クランコだしシェークスピアだしロイヤルのレパートリーに入れればいいのに。オシエルを見るんだったらやっぱりもっと飛んで跳ねての技を見たかった気はします。

15.ダイヤモンド(ジュエルズより)(オルガ・スミルノワ(オランダ国立バレエ)&ヴァディム・ムンタギロフ(ロイヤルバレエ))

さて、私の今回のハイライトはこちら。どれも素晴らしい作品で本当に楽しいガラでしたが、一番を決めるとなったらこれかも。というのはですね、私バランシンのダイヤモンド好きじゃないんです。今回も楽しみにしていたスミルノワが何を踊るのかな〜と見てみたらダイヤモンドでガッカリしたくらいです。これは完全に私の好みで、バランシンがそんなに好きじゃないんですが、ダイヤモンドは特に、音楽も入りこめず。どんなに好きなダンサーが踊っても感想は、「ふーん」って感じだったんですよね。

それが今回は、目から鱗。とてもじゃないけど今まで同じ作品を見ていたのかと疑いたくなるくらい違って見えて。スミルノワとヴァディムに釘付け。音楽も振り付けも全く変わってないはずなのに、本当に目が離せませんでした。スミルノワの美しさ。本当にダイヤモンドのようにキラキラしていて。(団によると思うけど、ちょっとくすんだ(アイボリーより?)チュチュつけてるとこないですか?私はダイヤモンドは純白がいい…)もう立ってるだけ、ポーズを取ってるだけで完成品。オーラが素晴らしかった。やっぱりスミルノワがなせる技なのか、それとも私のその日の気分の問題だったのか。笑 もうすっかりファンになってしまいました。個人的には、ロシアンバレエのオマージュであるダイヤモンドを生粋のロシアンバレリーナのスミルノワが踊っていたのも良かったと思っている。あ〜、オランダ国立バレエはスミルノワ以外にもみたいダンサー、作品がたくさんあるので、いつか現地に行って見たいです。

スミルノワのチュージンとのダイヤモンド。

16.イン・ザ・ミドル、サムワット・エレヴェイテッド(サンゲウン・リー&ギャレス・ホー)(ENB)

最近ENBに移籍してきたサンゲウンとギャレスのフォーサイスの定番。もう古典じゃない?って思う、個人的には。古典と呼びたいお馴染み作品ではあるけれど、振り付けは色褪せない。この二人も踊り込んでいる感じが出ていてすごく良かった。特にサンゲウン、この作品にありがちな無機質なイメージが払拭するほど味が出る踊りをしていた。特にこの作品、純粋に振り付けが全て、という感じだけどサンゲウンはそこに、振り付けを邪魔しない程度に自分の色をつけていたというか。説明がしにくいですが、とにかく、フォーサイスの難しい振り付けをただこなすだけでなく、落とし込んで自分のものにして踊っていたところがすごかった。これからENBで見るのが楽しみ。古典も見てみたいです。イギリス人はこれ、大好きなので大盛り上がり。

17.ドン・キホーテ(ナタリア・オシポワ(ロイヤル)&ギオルギ・ポツヒシヴィリ(オランダ国立バレエ)、エヴリーナ・ゴドゥノヴァ(ポーランド国立バレエ)、マルガリータ・フェルナンデス(ミュンヘンバレエ)

ガラの締めでドンキつったらもう、エンターテイメントでしょ⁉︎というのを完全にわかっているオシポワ様のキトリ姉御とギオルギの伊達男バジルのエンターテイメントショー。二人の、「お客を楽しませる!!」という気概が伝わってきて嬉しかった。

プログラムではゴルスキー版となっていますが、多分もうかなりごちゃ混ぜ。これも、ガラを見にくるくらいのバレエ好きならドンキの振り付けなんてわかりきってる、というのを知ってのことかと思います。次はこのステップでしょ?というところで全然違うものを持ってきて、振り付けをわかりきってるこちらを常に驚かせて楽しませてくれる徹底ぶり。最初の部分にちょっとアコスタ版取り入れたり、アラベスクターンからのパンシェのところでフィッシュダイブ持ってきたり、とにかくちょこちょこ変えてきて、こちらを常に裏切ってくる飽きさせない作戦。嬉しい心遣いでした。

ジオルジはラストまで控えていたので、ここで大爆発という感じ。ジャンプがとにかくすごい。バッチュであんなに開いてるのみたの初めてかもしれない。コーダのターンではほとんど全てにジャンプ入れててバネが半端ない。

オシポワ様はもう華やかなオーラがすごい。全盛期のアナニアシヴィリを思い起こさせる、舞台上に出てきただけで華やぐ、大輪の花という感じ。ここでも高速パッセで沸かせたり、コケティッシュに演じて見せて観客から笑いを誘ったり。フェッテは、最初頑張って全部ダブルでやろうとしてて、そこだけ私は「そんな頑張らなくてもいいよ〜」って思っちゃった。笑 でも二人の「観客を楽しませるぞ!」という気持ちが伝わってきた舞台でした。

友人はやはり、マルガリータが素晴らしい。テクニック、見せ方、本当にお手本なヴァリエーションでした。もっとみたいダンサーです。

という感じの舞台でございました! 日曜の夜で、多分遠くから来ている人もいたんでしょう、ドンキの前にもう帰ってしまう人たちがかなりいて、「えええ〜これ見ずに帰っちゃうの〜!?嘘でしょ〜!?」となった。帰った人たちも泣く泣くでしょうけど…。これでも7時からになってて通常よりは早まっている。(多分長かったからだろうけど)土曜にするとかマチネにするとかしたらいいのにな〜と思いました。来年も楽しみです!


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