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映画「哀れなるものたち」衣装展 @ロンドン

映画「哀れなるものたち」の衣装展がバービカンセンターでやっていたので、見てきました!

映画はその後に見に行ったのですが、ほんっとうに大好きな映画。私は映画はビジュアルをかなり重視するのですが、本当にこの映画のビジュアル大好き。衣装も世界観も本当に素晴らしかった!

衣装は ヴィクトリアンの典型的な巨大パフスリーブですが、ベラはそれに超ミニ(というか当時の感覚だとパンツ一丁で出歩いてる感じ?)に合わせてるのがかわいい。その衣装を間近で見られるというのでワクワクで行ってきました。

ネタバレあるかもしれないので、「映画の内容聞きたくない!」という方はご遠慮くださいませ。

衣装展と言っても映画館の片隅にちょろっと置いてある程度だったんですが。この時点では映画を見てなかったのでこんなものなのかな〜と思ったんですが、映画を見た後だと、あ〜〜〜〜全部置いて欲しかった! と思いましたね! 特に娼館のレディたちの衣装とか、見てみたかったな〜。

一番お気に入りの、リスボンの街で一人で探検している時の衣装。

ベラはパンツ一丁でリスボンの街に繰り出してもなんとも思いません。
ジャケットはオーガニックのスポンジのような質感で、ラッフルの袖なしブラウスは 、デコルテを「埋める」ヴィクトリア時代の淑やかなファッションをベースにしています。
ブーツのベースはフランスのデザイナー、アンドレ・クレージュの60年代のスペースブーツ。それに ヴィクトリアンのヒールを合わせています。

キャプションも訳してみたけど、間違いがあったら教えてくださいね。笑

爽やかな水色と、柔らかいレモンイエローの組み合わせも素敵。

ちなみにこのイエローのニッカーズと呼ばれているショートパンツ。英語でニッカーズは下着のパンツなので、これはショートパンツじゃなくて下着のパンツなのです。これは知り合いのディーラーさんがインスタにあげていたのですが、彼女のお店で購入したほぼ同じものを元に作られたとか。(ヴィンテージだとどうしてもお古感が出てしまいますからね。)元になったのは1920−30年代のフランスのニッカーズだそう。彼女は金曜日のポートベローに定期的に出てるのですが、この映画の衣装さんがこのマーケットでもリサーチ、資料集めしていたようです。

胸元たっぷりのラッフルもかわいい。

こちらがブーツ。ディテールもかわいい。 ヴィクトリアンのヒールを合わせたってことはオリジナルのヒールをとってくっつけたっていうことでしょうかね? 確かに60年代はもっと角張った大きなヒールっぽいかも。 ヴィクトリアンのヒールは写真のように、ピンヒールほど細くもないけど安定した太さでちょっとくびれたラインがかわいいし、ローヒールが多いので好き!

(追記)キャプションにクレージュのスペースブーツをベースにしたとあるので、オリジナルのものを使ったのかな、と思いましたが、おそらくデザインをベースに作られた、ということだと思います。60年代、この丈の白ブーツが爆発的にヒットしました。その中の代表的なブランドがクレージュで、クレージュはこのような穴あきブーツをデザインしていました。(最初訳した時「宇宙ブーツ」?と思った笑)

ロンドンの家でくつろぐベラの衣装。

ベラはメイドのミセス・プリムによって着せつけられますが、時間が経つにつれて洋服が次々脱ぎ捨てられていきます。小さな子供によくあることですが、これがこの衣装をひらめいたきっかけです。
ブラウスはお人形の服のようなデザインで、体のサイズに不釣り合いな厚みがあります。バッスル(足の後ろに垂れているやつ)は19世紀後半の衣装を参考にしていますが、キルティングのふっくらしたロールが現代的な雰囲気を持っています。

超巨大なパフスリーブにかぼちゃパンツがかわいい。

面白いのがこのバッスル! バッスルとは、19世紀のドレスのおしり側を膨らませるためのもの。よく見るのはワイヤーのものですが、ここではちょっとダウンジャケットのようなぷっくりしたキルティングになっています。これがなんだか近未来的な感じがして、面白い! 芋虫みたい!笑

ブーツもフリルがあってかわいい〜

上流階級のパーティに出席した時の衣装。

自然界では「警告」の色である黄色と、ベラの長い黒髪が際立った組み合わせになっています。
光を反射するひまわりのような黄色のダッチェスシルクサテンとポリウレタンがドレスに使用されていますが、ベラはまさにこの素材のように眩くて、喜びに溢れた存在です。
ここでは、ベラは見かけは他の人たちに溶け込んでいますが、彼女の振る舞いは 上流社会で求められるそれとは笑えるほどかけ離れています。

そう、このドレスの面白いところは、フリルにビニールのような素材(これがポリウレタンなのかな?)が使われていたところ!

バッセルの衣装もそうだけど、 ヴィクトリアンなのにちょっと近未来的な感じがするのが面白い。リスボンのシーンもちょっと近未来っぽい感じの都市で素敵でした。

大きなパフスリーブがリボン型になってるのもかわいい!

アレクサンドリアに降り立った時の衣装。

チャラチャラしたフリルにピエロみたいな袖のこのクルーズの衣装は、ベラがこのシーンで目撃した人間の悲惨な苦しみと、はっきりと対照的になっています。
この時、ベラはファッショナブルな上流階級を代表しています。映画の中で彼女がきちんと服を着ている場面は少ないですが、そのうちの一つです。アイボリーのブローチまでつけていますが、アイボリー(象牙)は搾取を象徴する素材であり、残酷にもヴィクトリア時代によく使われていました。

象牙ジュエリーの言われよう…。ヴィクトリア時代の後、象牙の乱獲が問題になり、次第に象牙ジュエリーは少なくなったので、ヴィンテージ・アンティークの世界では象牙はコレクターズアイテムです。

アン・ブーリンをおもわせるBのブローチがかわいい。本当にアンティークなのでしょうか、それともプラスチックでわざわざ作ったのかな。ヴィンテージジュエリーでも、アイボリーは20−30年代ごろになると、オールドプラスチックや魚や動物の骨などに取って代わられました。

医学校に聴講に行ってる時の服。

ベラのジャケットは典型的な1890年代のパリの仕立てで、医学校の男子学生に完全に溶け込むことができます。かっちりしたウールはそれまでベラが着ていた軽い生地とはだいぶ違います。
ダークカラーのウールフロックコートを着た男性たちとベラは馴染んでいますが、セットアップになるはずのスカートを履かないことで、そのスタイルを壊しています。

映画の中で好きな衣装の一つ。これは今このまま街を歩いてもかわいいんじゃない?

大きなパフスリーブに超ミニ、ロングブーツ。考えてみたらちょっと80年代っぽいですね。エリが大きいのも好き!

ブーツもヒールがセクシーな ヴィクトリアンスタイル。これ欲しいわ〜。

ベラの生前の衣装。

袖のひだの部分は中世の甲冑を彷彿とさせる1890年代のファッションイラストをベースにしています。
メランコリックな深いブルーのドレスが与える厳かな印象は、ベラが着ている軽やかなワードローブとは対照的です。

ちゃんとキャラクターの性格とかも考えて作られてるんだな〜と思った一枚。ただ、素敵な衣装!と思ってみてたけど、深いんだなあ。

他のキャラクターの衣装もありましたが、やっぱりベラの衣装が一番かわいい!ので省略。笑

唯一この方だけ。娼館のオーナー、スワイニーの衣装。

このガウンは、筋が入ったオーガニックシルクの質感が特徴です。スワイニーはしっかりとした古い肘掛け椅子のように、ぴっちりと布張りされたように感じます。
ヴィクトリアンジュエリーによくみられるモチーフである小さな手が、彼女の体を抱きしめるように包み込んでいます。ターバンは1940年代のイギリスの労働者階級の女性が身につけていたヘッドスクエア(頭につけるスカーフ)みたいなものを彷彿とさせます。スワイニーはちゃっかりとしたイーストロンドンの女性リーダー。この古いターバンでいつも髪を隠しています。(というよりハゲを隠しているのかも)

この手のブローチ?が気に入った! 手のモチーフは大好きで私も集めています。(そういえば手モチーフを集めたコレクションが近々発売予定です☺️)


もう本当に、ビジュアルが素晴らしい映画です。(ストーリーもだけど!) ポスターもシュールレアリズム感があって好き。主演が私の大好きなエマ・ストーンということもあるけれど、本当に衣装がかわいかった〜。何より私の大好きな「アンティークと現代のミックス」というのがポイント。時代はヴィクトリア時代だけれど、ベラの破天荒なファッション(スカート履かずにパンツ(ミニスカみたいな)のまま、とか)が本当に今の時代にも普通に着られそうで良い。映画ではそこまで注目できなかったけれど、ビニールっぽい素材を使ったり、細かいところまでこだわってるんだな〜とわかってよかったです。

博士のお屋敷やパリの娼館などのインテリアもどストライクで、ロケ地巡りしたい! ってなったんだけど、どうやらセットのようです。あとはハンガリー。残念…。

この映画の写真集あったら買いたいかも…。

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