四葩がゆれて/5分で読める現代短歌14
曲がつてる道は遠くが見えなくて安心できた 四葩がゆれて
/魚村 晋太郎
四葩(よひら)は、紫陽花のこと。鬱蒼と茂った紫陽花の道が、さらに曲がっている。先行き、不明。〈ゆれて〉いるからには、たまのような紫陽花の花々が、わずかばかりに伸びた茎の先に付いているのだろう。行く手を阻む紫陽花に目を向ければ、ひとつふたつの大きな球形だった紫陽花の色が、小さな花の集合だと分かる。さらに細かく視れば、その小さな花に見えていたひとつひとつは額であって、花弁らしい花弁はないが確かに蕊などを抱