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製品の設計から量産化までのフロー(法人/産業機器向け)

弊社トランセンドでは、法人向け/産業機器用の製品については厳密なスケジュールで開発を行っており、そのステータスは全世界の支社からリアルタイムで確認ができます。

個人ユーザー向け製品に関しては、市場に対し迅速な動き、つまりスピードを求められることもあり、法人向けフローとは違ったものになっています。

一方、法人向け製品に関しては、信頼性を高めるために、設計 ー 評価 ー 量産化までを特別なフローで運用しています

まだまだ日本では「トランセンドと言えば個人向けメーカー」というご評価が多いのが事実ですが、実際には世界全体の売り上げの約50%は法人向け・産業用製品で形成されているのです。

それでは法人向けフローについて、それぞれのステージの説明をしていきます。
(恐縮ですがあくまで法人向け製品に関しての記述となります。)

ステージ1:Product Planning (製品企画)

製品企画は台湾本社が世界各国の支社にヒアリングをしながら進めていきます。日本支社もトランセンド全体からみると、古くからある重要拠点の1つであり、多くの意見を求められます。

もちろん日本支社から要求を挙げたり、実際に日本のお客様からの要求で製品企画が立案されるケースも少なくありません。

働いていて感じるのは、トランセンド本社の人達は本当に親切で勤勉な人が多いです。「本社だから」といった偉そうな態度を取ることも無いですし、職階や性別によっても態度を変えることなく真剣に対話ができます。こういった面は外資系ならではのメリットなのかもしれません。

製品企画で特に重要なのは、当然ではありますが「売れるか?」という点です。例えば大容量の製品や、最新スペックの製品等はあまり積極的に開発は行いません。

・物理的には作れるが部材がまだ高価なので、販売単価も高額になり過ぎてしまい普及しない。
・最新スペック品はピュアメーカーの製品の方が優れており、そこで戦うのは得策ではない。
・メモリサードパーティはまさにジェネリック的な立ち位置なので、こなれてからが本番。

といった堅実な考え方の元、最新鋭よりも安定性・供給性を重視した製品企画が行われています。

企画が通った後、製品型番が付与され、製品カテゴリー(Classと呼ばれます)が定義されます。この時点で全世界の支社から、社内システムにて情報が確認できるようになります。

ステージ2:Engineer Sample (ES)

製品型番が付与された後、次のステージはエンジニアリングサンプルです。
開発部門がプロトタイプのテストを開始し、ドラフト版のデータシートが作成されます。

なお、この時点で搭載部材は確定しますので製品価格が(概算に近いですが)設定されます。

とはいえ、メモリ製品は市況によって価格が変動しますので、正確に言えば英語で言うと価格が「Ready」状態となり、製品コストは価格変動の影響を受ける形になります。

ステージ3:Customer Sample (CS)

開発部門によるテスト・信頼性試験 等が完了し、お客様へサンプルを提出できる状態になるとCSとなります。この時点で既に量産(MP)品同等の製品としてお渡しする事ができますが、まだ正式なMP段階ではない為、数には限りがあります。

そのため世界中の支社からの要求に応じてサンプルが配分されますが、日本支社はおかげさまで優先されているので、比較的早期にCSを入手する事が出来ます。

とはいえ、優先されるのはあくまで「トランセンドのパートナー顧客様」及び「パートナー顧客様になりえる企業」向けとなっており、いわゆる相見積もりを数多くとってベンダーに競わせるというスタイルの企業様向けにはお出しする事はできません。

その代わり、お出しするからには徹底したサポートをお約束しています。営業フォロー的なリソースも当然限りがありますので、背伸びをせず今後もできるだけ多くの企業様にパートナーになっていただけるよう頑張るのは、営業の仕事ですね。

ステージ4:Mass Production (MP)

大量生産の体制が整うと、量産(MP)化です。
この時点では生産リードタイムも設定されていますので、営業担当者や代理店様など多くのお客様への案内を開始できます。

ただ環境資料等について、元データはもちろん揃っていますが各国・各企業向けの特定のフォーマット資料はここから作成開始なので、MP化初期はドキュメント関連はお時間をいただくこともありますのでご注意ください。

台湾メーカーですが真面目かつ堅実に作ってます

過去に展示会のアンケートで「トランセンドのイメージ」を聞いた時に、意外と多かったのが「真面目なメーカー」という声でした。

確かにトランセンドは広告宣伝費を殆ど割いてませんし、専門誌への広告記事も掲載依頼を行っていません。

大々的にやっているのは、台湾国内の学生スポーツ支援の広告と、これも台湾国内ですが片親家庭・孤児が通う学校への支援くらい。

個人向け製品であれば、どのメーカーの製品でも差別化はなかなかできないので、広告宣伝が重要になりますが、法人向け・産業機器用製品に求められるのは信頼性・安定供給性であるため、お金をかけるところが変わってくるわけです。

「真面目に製品を作り、わかってくれる人に買ってもらい、堅実にサポートをしよう」これが私たちトランセンドの目指すところです。



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