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『Good to Great』⑦テクノロジーとイノベーション

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『Good to Great』/ Jim Collins

イノベーションを起こす企業に必要な条件を教えてくれる本書。今回まとめるのは、テクノロジーとの向き合い方について。僕のお気に入りの章でもある。

企業文化あってのテクノロジー

よくある誤解が、テクノロジーさえあればイノベーションが生まれるという考え。「AI」や「機械学習」といったワードが世間を騒がせているのを目の当たりにすると、一見これらは万能的にイノベーションをおこしてしまうかのように錯覚してしまう。

しかし著者はそれを否定する。テクノロジーはイノベーションを加速させるが、それ自体がイノベーションを生むわけではない。Greatなメンバーを揃え、Greatな企業文化を持つことが先にあるべき。テクノロジーは為すべきことを加速させるにすぎないという。

著者の調査によると、Greatな企業と平凡な企業との間で最新技術への向き合い方が明らかに異なっていたという。平凡な企業は最新技術に追い回され、新しい技術におびえていた。一方で、Greatな企業は最新技術を乗りこなす。明確な企業文化と事業コンセプトを持ち、それらを研ぎ澄ますため、あくまでも道具としてテクノロジーを使う。

大切なのは「何を実現したいか」を明確にすること。やみくもにテクノロジーを使おうとすると破滅する。そして、テクノロジーに対して過度な期待を持つことも間違っている。もし周囲に「Pythonとか人工知能でなんかすごいことやってよ!」的なことを言ってくる人がいる方は、ぜひこの本を紹介してあげてほしい 笑。

企業文化あっての外部人材

ここからは僕自身の考え。本章の考え方は何もテクノロジーにのみ限った話ではないと思っている。外部人材登用も同じことが言えるだろう。

最近は自前主義を捨て、外部からの人材を広く受け入れることでイノベーションを目指そうとする動きが加速しているように感じる。異業種人材登用、プロ経営者、ダイバーシティなどが代表的な例だろう。

確かに、こうした人材はプロパー社員だけでは思いつかなかったような視点からアイデアをくれることもある。けれども、決して外部人材の力だけでイノベーションが起こるわけではない。彼/彼女らの力を生かす環境があって初めてイノベーションの可能性が起こるのだ。研ぎ澄まされた自社文化があり、文化と獲得する人材の一貫性を見極めることが重要だろう。

余談:コンテナに見るイノベーション

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最近、物流の勉強をしている中でコンテナが「20世紀最大の発明のひとつ」と呼ばれていることがわかった。

コンテナの偉大さについては別記事にまとめているのでそちらを参考にしていただきたい。ここで触れたいのは、コンテナ自体は「ただの箱」にすぎないということ。特に最新テクノロジーが導入されているわけでも、新しい概念が組み込まれているわけでもない。

イノベーション≒テクノロジーのように思われることもあるが、決してそうではない。あくまでテクノロジーは手段でしかない。

イノベーションを起こすのは優れた技術ではなく、正しい課題認識とたゆまぬ努力の積み重ねである。

イノベーションそのものは、コンテナ発明のようにシンプルで美しいアイデアから生まれるものなのだろう。それはどれだけ便利な技術が現れたとしても変わることのない原理なのではないかと思う。


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