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『Good to Great』⑤勝ち切るための戦略論

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『Good to Great』/ Jim Collins

企業戦略についての教材は多くあるが、ぶっちゃけた話どの教材の内容も似通っている。おそらく、どの地域や時代でも普遍的な定石が存在するからだろう。

本章で登場する戦略論も、日本人のマーケッターなら必ず見たことがあるアレやコレと似ている。

しかし、「知っている」と「活用する」の間には天と地の差がある。むしろ、基本に忠実な戦略を立案することが価値といえる。

Greatな会社は例外なく、教科書通りに戦略を策定し実行できる組織なのだろう。

ハリネズミの概念

本書で紹介されている戦略フレームワークはハリネズミの概念(Hedgehog Concept)

「情熱をもって取り組めるもの」「自社が世界一になる可能性があるもの」「経済的原動力になるもの」の3つを考え、3つが重なる部分に事業を集中せよ。という内容である。

図にすると下のようになる。中心の赤丸に当てはまるものに特化することが、自社の核となる戦略となる。

僕はこの図に対してすごく既視感があった。

「ハリネズミの概念」は「3C分析」や「ドラッガーの3つの輪」といった有名なフレームワークと類似している。3つの円によって構成される図も共通だし、概念の意味するところもおそらく同じだろう。

「ハリネズミの概念」「3C分析」「ドラッガーの3つの輪」を整理すると、下図のような対応になるだろうか。

個人的感覚ではあるが、「3C分析」が最も抽象的、「ドラッガーの3つの輪」が具体的、「ハリネズミの概念」はその中間といったところ。

だからかもしれないが、「3C分析」は企業戦略の場で非常によく使われ、「ドラッガーの3つの輪」は自己分析など個人のキャリアパスを検討する際によく使われている気がする。

戦略策定時のアドバイス

普遍的ですでに別の概念としても浸透しているであろう「ハリネズミの概念」ではあるが、これを使ってどのように戦略を立てるかというのが最も重要なところ。著者からのアドバイスを整理したい。

できるだけシンプルに。領域を拡大しすぎるな。
器用貧乏になるな。強みを生かして鋭く尖らせよう。

完成された自社の「ハリネズミの概念」を獲得するためには時間がかかる。議論を重ねて熟成させよ。
著者曰く、検討開始から平均して4年ほどかかるとのこと。

現時点の業績やリソースだけで検討をする必要はない。将来のあるべき姿も含めて検討すること。
積み上げ思考だけに陥ってはいけないということですね。

まとめ

会社であっても個人であっても、リソース配分のための戦略立案は必須だろう。「戦略なきところに戦術なし、戦術なきところに勝利なし」と僕は考えている。

戦略が優れているかどうかは、その後のすべてのアクションに影響する。本章では戦略を考える際の道具として「ハリネズミの概念」を学ぶことができる。

一見簡単であり、何ともないこの概念を究めることが実は極めて難しい。なぜなら、市場・競合・自社を熟知しなければ「ハリネズミの概念」を完成させることができないからだ。

焦って場当たり的な戦略を立てるのではなく、時間をかけて戦略を研鑽し続けることが必要だと思った。

余談

3C分析は実は日本発祥らしい。

経営コンサルタントの大前研一先生が考案されたのだとか。

大前先生は有名なのでもちろん存じているけど、3C分析を発明したのが大前先生だったことはこの記事を書くまで知らなかったよ。

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