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『The First 90 Days』⑥影響力を発揮するために

『The First 90 Days』/ Michael D. Watkins

前回の記事:『The First 90 Days』⑤組織再編のための第一歩

本章では、組織内外における協力関係のつくりかた、そしてそれに伴う社内政治の乗り越え方を学ぶことができる。本章は僕が最も参考にさせてもらった章だ。

かなり内容が濃く文章量も多い章だったので、特に重要だと思った部分を自分なりに解釈してまとめようと思う。

大切にしたい2つの原則

自分の力、あるいは自分のチームだけで達成できることは限られる。ほかの部署や社外への協力があってこそ、大きな事業を成すことができるのは言うまでもない。

ただし、組織には様々な人間がいて、様々な思惑が渦巻いていることを忘れてはいけない。そのため以下の以下の2つの原則を僕は大切にしたい。

1. 関係する人々のモチベーションに関心を寄せること
2. 過去の成果への批判を避けること

人々が常に自分の思い通りに動くと思ってはいけない。賛成してくれる人もいれば、反対する人もいる。ひよっとしたら無関心の人もいるかもしれない。

人々の行動基準には理由がある。それに関心を寄せることで、自分が彼らのためにできることが見えてくるかもしれない。win-loseの関係ではなく、win-winの関係を目指せるのがベストだ。

そのためにも、闇雲に過去の成果を批判してはいけない。外部から来た人間にとっては一見愚かで非効率なやり方であっても、多くの人々の努力によって築きあげられた仕組であることが多い。

仕組ができた背景と関係者を知ることは、組織を理解するために非常に重要なことだ。本書でも繰り返し述べられている。

賛成してくれそうな人へのアプローチ

多かれ少なかれ、あなたの意見に「いいね!」と言ってくれる人はいるだろう。こうした人々に対する懸念は少ない。あなたが思うままを話せばよい。

それでも効率的に影響力を発揮しようとすると、相応の計画が必要になってくる。大切なのは組織内での影響相関図を作ることだ。

組織のオピニオンリーダーは誰か?特定の人の意見が他の人を動かすきっかけになるとしたら、いったい誰から説得するのがよいのか。人々の関係性を理解することが、組織内部であなたの意見を浸透させていくために大きな助けとなってくれるだろう。

もっと露骨に言えば、「有力者とコネを作ること」に専念するということになる。そのためには利害が一致しそうな有力者を早い段階で特定することだ。

反対しそうな人へのアプローチ

最も神経を削るプロセスの一つ。正面からの説得は難しい場合が多いだろう。正面衝突を避け、「なぜ自分の意見が反対されるのか?」の分析を優先するとよいだろう。

反対理由は様々だが、例えば以下のようなものが想定できる。

・現状に満足している。何も変える必要がないと信じている。
・行動することが面倒。自分の仕事を増やしたくない。
・過去のやり方で成功したので、それを守ることに固執している。
・自分の権力や影響力を維持したい。
・あなたとは別の目的がある。
・個別最適を優先するため反対せざるえない。

このような反対理由を理解し受け止めてあげたうえで、最初の段階で目指すのは妥協案の成立だと思う。

「そこまで言うならとりあえずやってみてもいいか」というような状態を引き出し、小規模な合意を得る。いきなり大きな変化を生み出すと、それに釣り合う抵抗を生み出す。スモールスタートから始めることに専念する。

段階的に、徐々に協力者を増やしていき、最終的には全体合意を図る。意見をごり押しするのではなく、反対者が納得しやすいようなアプローチを心がけるのがよいだろう。

まとめ

社内政治は一見理不尽なものである。それを念頭において行動したほうがよいだろう。論理的なアイデアであれば必ず採用されるというわけではない。場合によっては、長期的で辛抱強い計画が必要になるだろう。

あなたに素晴らしいアイデアがあれば、組織内外に支持を表してくれる人がいるはずだ。まずは彼らと効率的なネットワークを築き、そののち反対する人々への浸透を図る。その順序を大切にしたい。

参考文献

「関係する人々のモチベーションに関心を寄せること」を実践するための参考書を紹介したい。

執拗に反対してくる人々を「障害物」と見なさずにヒトとして尊重することができたのであれば、自分自身もより一層成長するきっかけになるかもしれない。

自分の小さな「箱」から脱出する方法
アービンジャー・インスティチュート 著





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