豊田ホタルの里ミュージアム・下関市立自然史博物館

下関市立の自然史を扱う博物館です。ホタルだけではなく、下関市の動物、植物、化石、岩石に…

豊田ホタルの里ミュージアム・下関市立自然史博物館

下関市立の自然史を扱う博物館です。ホタルだけではなく、下関市の動物、植物、化石、岩石に関する展示や教育、調査・研究を行っています。

記事一覧

京助くんは今日も考える(4)虫と痛み

僕の家は坂の上にある。 亮太の家に遊びに行くため、自転車でその坂を勢いよく下っていた。 「風が~~あぁ~   気持ちいーーーー♪」 大きく口を開けて、口いっぱいに…

妄想アマガエル日記(69)-7月25日(木)晴れ

干乾びていた黄色いアマガエルが、周りを見渡した。 「おっ、、、俺は、、助かったのか。。。???」 「よかったよ~~、、穴の奥の壁の窪みで干物みたいになっていたか…

妄想アマガエル日記(68)-7月25日(木)晴れ

「オイオイ、、最初を右に曲がってからだいぶ歩いたけど、まだ突き当りに着かないな~」 先頭を歩く与助が後ろにいた銀次郎に声をかけた。 「おい!!聞いているのか?」 …

妄想アマガエル日記(67)-7月25日(木)晴れ

干乾びていたトノサマガエルが、周りを見渡した。 「おっ、、、俺は、、助かったのか。。。???」 「よかったよ~~、、穴の奥で干物みたいになっていたから、もうダメ…

つぶやき

夏休みが始まると毎年昆虫標本の作り方について質問を受ける。 昆虫標本の作り方には色々とあるけど、一般的には乾燥標本という干物みたいな標本の作り方を知りたいのだろ…

妄想アマガエル日記(66)-7月15日(月)雨

真矢と別れて穴の奥に進んで行くと、その先は光がまったくない真っ暗闇であった。外からの音も聞こえず、ヒンヤリとしたコンクリート製の地面は、さらさらとした細かい砂埃…

つぶやき

最近、夏休みを前にして学芸員研修の問い合わせや学芸員についての質問みたいなのを受けることがある。 その時に、「学芸員はどんなことをしているのか?」という問いがあ…

京助くんは今日も考える(3)虫と光

最近は、毎日暑かったけど、今日は朝から曇りだったし、夜になってより一層涼しくなってきた。 外はだいぶ暗くなって来て、涼しい風が網戸越しに入って来る。 「今夜は涼…

京助くんは今日も考える(2)水

「やべ~~、、寝坊した!!」 今朝は家族みんな寝坊してしまった。いつもは7時45分に橋のところで、友達の亮太と待ち合わせをして一緒に行くのだが、もうその時間は過ぎて…

妄想アマガエル日記(65)-7月11日(木)曇り時々雨

「じゃ、そろそろ、雑木林に戻ろうか!!」 与助が皆に声をかけた。 「そうだ!そうしよう!!」 小太郎もそれにすぐに同調して答えた。 「え~~、、まだ来たばっかりだ…

京助くんは今日も考える(1)プロローグ

これまで、小説「妄想アマガエル日記」やエッセイ「つぶやき」を空いた時間に書いてきた。  小説「妄想アマガエル日記」は、まったくのフィクションで、エッセイ「つぶや…

つぶやき

これまで、200くらいの企画展を作ってきて、その内容は藻類から動物、植物、化石、岩石と多岐に渡る。 そして、企画展の度にその対象をなるべく詳しく調べて来た。 対象…

妄想アマガエル日記(64)-7月8日(月)曇り

「いや~~楽しかったな~」 小太郎が嬉しそうに言った。 「ほんとだな~、、与助もあとから来たけど、楽しかったろ?」 銀次郎が嬉しそうに与助に聞いた。 「あ、、あぁ…

妄想アマガエル日記(63)-6月30日(日)曇り時々雨

「あっ、日出夫ごめんよ。こんなに長い間 頭の上に乗っていて。。」 与助はそう言って、日出夫の背中からスルスルと地面に降りた。 すると、そこには初めて見るアカハライ…

妄想アマガエル日記(62)-6月23日(日)雨

「あっ、、、俺は死んだのか。」 与助は周囲を見渡して、ポツリと独り言を言った。 「いたたぁ・・・」 頭を掻きながら日出夫が上体を起こすと、間違えて与助も一緒に掻い…

つぶやき

当館には学芸員は私一人しかいない。 だから、いろいろな問い合わせに関しては私が対応することになる。 一人ではあるけど、これまでいろいろな分野を調べて企画展やテキ…

京助くんは今日も考える(4)虫と痛み

僕の家は坂の上にある。 亮太の家に遊びに行くため、自転車でその坂を勢いよく下っていた。 「風が~~あぁ~   気持ちいーーーー♪」 大きく口を開けて、口いっぱいに空気を貯めるように下った。 口が風でめいっぱいに膨らみ、一気に乾燥した。 あぶない、、あぶない。。。こんなバカなことしてたら、口に虫が入るぞ!!、と我に返った。 ビッターーーー!!! 「いってぇ~~」 額に何かが勢いよくぶつかった。 「いってぇ~!!なんなんだ、、」 急ブレーキで自転車をとめて、つま先で自転

妄想アマガエル日記(69)-7月25日(木)晴れ

干乾びていた黄色いアマガエルが、周りを見渡した。 「おっ、、、俺は、、助かったのか。。。???」 「よかったよ~~、、穴の奥の壁の窪みで干物みたいになっていたから、もうダメかと思ったんだけど、さっきもうまくいったから、ダメ元で水を掛けたらまた生き返ったみたいだ!!!」 銀次郎が嬉しそうに黄色いアマガエルの肩を叩いて言った。 干乾びていた黄色いアマガエルを皆で囲み、生き返ってよかったと安堵して、皆で顔を見合わせて喜んだ。少し離れたところでその様子を干からびていたトノサマガエ

妄想アマガエル日記(68)-7月25日(木)晴れ

「オイオイ、、最初を右に曲がってからだいぶ歩いたけど、まだ突き当りに着かないな~」 先頭を歩く与助が後ろにいた銀次郎に声をかけた。 「おい!!聞いているのか?」 与助が返事をしない銀次郎に再度言った。 「あっあ~、、、」 上の空といった返事であった。 「どうしたんだい??銀次郎??」 「いやね~、、一番後ろを歩くさっきまで干からびていたトノサマガエルのさぁ~歩き方がなんか、、、変じゃないかと思ってさぁ」 銀次郎が見ている先に目をやって、与助も一番後ろにいるトノサマガ

妄想アマガエル日記(67)-7月25日(木)晴れ

干乾びていたトノサマガエルが、周りを見渡した。 「おっ、、、俺は、、助かったのか。。。???」 「よかったよ~~、、穴の奥で干物みたいになっていたから、もうダメかと思ったんだけど、ダメ元で水を掛けたら一気に水を吸って生き返ったみたいだ!!!」 銀次郎が嬉しそうにトノサマガエルの肩を叩いて言った。 干乾びていたトノサマガエルを皆で囲み、生き返ってよかったと安堵して、皆で顔を見合わせて喜んだ。 「いや~~、、ほんと、、、もうダメかと思ったんだよ。。。」 「ほんと、ありがとう

つぶやき

夏休みが始まると毎年昆虫標本の作り方について質問を受ける。 昆虫標本の作り方には色々とあるけど、一般的には乾燥標本という干物みたいな標本の作り方を知りたいのだろうと思って、その作り方を説明する。 ただ、昆虫の乾燥標本というのは、なんとももったいないものだと常々思う。 たとえば、古生物(化石)の場合、少ない情報からどうにかして情報を得ようと苦労する。昆虫の化石が出て来ても、翅の一部とかして出ていないことが多いし、全身が出ていても不鮮明でしかでないこともある。だから、どうに

妄想アマガエル日記(66)-7月15日(月)雨

真矢と別れて穴の奥に進んで行くと、その先は光がまったくない真っ暗闇であった。外からの音も聞こえず、ヒンヤリとしたコンクリート製の地面は、さらさらとした細かい砂埃を覆っていて、その感触のみが感じとれた。カエルたちのピタっピタっと歩く音のみが響いていた。 先頭を歩く与助が周りを見回した。 「そろそろ右に曲がらないといけないと思うんだけど、なかなか道がないな。。。」 「ほんとだな~~、、これまでの道には横道らしいのはなかったからね。」 銀次郎も周りを見回していた。 少し進んだ

つぶやき

最近、夏休みを前にして学芸員研修の問い合わせや学芸員についての質問みたいなのを受けることがある。 その時に、「学芸員はどんなことをしているのか?」という問いがあるのだけど、正直どう説明していいのか少し困る。 というのは、私は大学院を修了してから、どこかの博物館で働いた後にここに就職したわけではなし、当館は開館以来、学芸員というか職員が私一人であるから、学芸員というものがどのようなものなのか、未だに私自身がよくわかっていないからである。 また、私は他の博物館の学芸員の知り

京助くんは今日も考える(3)虫と光

最近は、毎日暑かったけど、今日は朝から曇りだったし、夜になってより一層涼しくなってきた。 外はだいぶ暗くなって来て、涼しい風が網戸越しに入って来る。 「今夜は涼しくていいな~」 網戸を見ながら独り言を言うと、3歳上の姉がちょうどリビングに入って来た。 「京助、戸を閉めて、エアコンにしてよ!!」 「え~~。。外は涼しいから、エアコンなんてつけなくいいでしょ」 「だって、、、ほらっ、虫がいっぱい網戸にいるでしょ?」 「あたし、、虫が嫌いなのよ。。」 「ふ~ん、、そう?」

京助くんは今日も考える(2)水

「やべ~~、、寝坊した!!」 今朝は家族みんな寝坊してしまった。いつもは7時45分に橋のところで、友達の亮太と待ち合わせをして一緒に行くのだが、もうその時間は過ぎていた。亮太はもう行ってしまっただろう。。 「まったく、、、母さんめ~」 ブツブツ言いながら、大きなランドセルを左右に揺らしながら走った。 遠くに同じ学校に向かう赤色のランドセルを背おった女の子たちの姿が見えてきた。 おっ!!どうにか遅刻はしなくてすみそうだ! その女の子たちを追い抜いて、さらに走った。 横を小

妄想アマガエル日記(65)-7月11日(木)曇り時々雨

「じゃ、そろそろ、雑木林に戻ろうか!!」 与助が皆に声をかけた。 「そうだ!そうしよう!!」 小太郎もそれにすぐに同調して答えた。 「え~~、、まだ来たばっかりだし、、もう少しここにいてもよろしいのじゃありません?」 真矢が与助を見つめながら甘えた声で言ってきた。 「でもっ、、ほら、、もう暗くなってきたしね、、そろそろ、鳴く練習とかもしないといけないからね。。」 「ねっ、、」 与助が銀次郎を振り返りながら言った。 「まぁ、そうだね。暗くなってきたから、そろそろ帰ろっか

京助くんは今日も考える(1)プロローグ

これまで、小説「妄想アマガエル日記」やエッセイ「つぶやき」を空いた時間に書いてきた。  小説「妄想アマガエル日記」は、まったくのフィクションで、エッセイ「つぶやき」は私が思ったことを書いたものであるが、最近、その両方を合わせた感じで書いてみたくなってきた。 つまり、フィクションなんだけど、実際の現実のことを盛り込んで書くというものである。 小説「妄想アマガエル日記」でも季節やカエルの生態、種類の特徴などに関する知見を盛り込んではいるけど、やはりあれは妄想の世界の話しであ

つぶやき

これまで、200くらいの企画展を作ってきて、その内容は藻類から動物、植物、化石、岩石と多岐に渡る。 そして、企画展の度にその対象をなるべく詳しく調べて来た。 対象を調べる時は、まず生きたところをじっくりと観察する。動き方や体の各部位の動かし方、その時の行動要素などを分けてさらに観察する(私の専門は行動学なので、特に行動を観察するのが好きなのもある)。 次に、実体顕微鏡で解剖などしながら体の隅々までを観察する。 さらに、生物顕微鏡や偏光顕微鏡などを使って、実体顕微鏡では

妄想アマガエル日記(64)-7月8日(月)曇り

「いや~~楽しかったな~」 小太郎が嬉しそうに言った。 「ほんとだな~、、与助もあとから来たけど、楽しかったろ?」 銀次郎が嬉しそうに与助に聞いた。 「あ、、あぁ、、楽しかったは、楽しかったんだけどよ。。」 「あの、、陸にいるアカハライモリの、、真矢さんがさ~、、なんだかずーーと俺のことを見ていてさ~、、、なんか悪いことしたのか、、?ってのが気になってな~~」 与助がまだこちらを凝視している真矢を見ながら、小声で言った。 「ん??そう?」 銀次郎がそう言って真矢の方を見

妄想アマガエル日記(63)-6月30日(日)曇り時々雨

「あっ、日出夫ごめんよ。こんなに長い間 頭の上に乗っていて。。」 与助はそう言って、日出夫の背中からスルスルと地面に降りた。 すると、そこには初めて見るアカハライモリがこちらを見ていた。 「はじめまして。俺は与助っていうんだ。あなたは、、確か、、あっ、真矢さんだったね。」 「そうそう!日出夫からさっき聞いたんだった。」 与助がニコニコしながら気軽に声をかけた。 真矢はその爽やかなしゃべり方や日出夫の背中をスルスルと降りてくる様を見て、さらに見惚れてしまっていた。 「ん

妄想アマガエル日記(62)-6月23日(日)雨

「あっ、、、俺は死んだのか。」 与助は周囲を見渡して、ポツリと独り言を言った。 「いたたぁ・・・」 頭を掻きながら日出夫が上体を起こすと、間違えて与助も一緒に掻いてしまった。 「いてて、、」 日出夫の大きな大きな手に体を押しつぶされながら、与助が声を出した。 「あらっ。。。ごめんね♡」 「与助ちゃんまだ乗っていたのね♡ すっかり忘れていたわよ~♡」 日出夫が与助に謝りながら言った。 「いてて、、痛いよ~。。なんて力なんだよ~。」 「でも、痛いってことは、俺は死んだわけ

つぶやき

当館には学芸員は私一人しかいない。 だから、いろいろな問い合わせに関しては私が対応することになる。 一人ではあるけど、これまでいろいろな分野を調べて企画展やテキストを作って来たからか、いろいろな問い合わせや来客がある。 ただ、面白いことに、化石に関心がある人に対応する時は私は化石に関することしか答えないわけだから、その人から見たら私は化石の専門家と思われているようだし、岩石薄片の作り方を習いたい人などが来ても私が教えるわけだから、その人から見たら私は岩石の専門家と思うよう