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京助くんは今日も考える(2)水

「やべ~~、、寝坊した!!」
今朝は家族みんな寝坊してしまった。いつもは7時45分に橋のところで、友達の亮太と待ち合わせをして一緒に行くのだが、もうその時間は過ぎていた。亮太はもう行ってしまっただろう。。

「まったく、、、母さんめ~」
ブツブツ言いながら、大きなランドセルを左右に揺らしながら走った。

遠くに同じ学校に向かう赤色のランドセルを背おった女の子たちの姿が見えてきた。

おっ!!どうにか遅刻はしなくてすみそうだ!
その女の子たちを追い抜いて、さらに走った。
横を小さな川が流れていて、川の流れに負けないように一生懸命に走った。まぁ、走るのは得意な方だ。

遠くに亮太の姿が見えた。
おっーー!!やっと見えた見えた!!

その時、ふと考えた。

いつも通り亮太と待ち合わせの7時45分に橋のところで会って、一緒に学校に行っていたら、今頃あそこにいたんだな。。。
でも、もう少しで亮太に追いつく!!ということは、タイムスリップしている感じだ。
そう考えると、途中で追い抜いた人たちは7時46分に出た人、7時47分に出た人とそれぞれ時間に思えてきた。
僕は今、時間を越えているんだ!

また、横を流れる川を見ると、そこには当たり前に水が流れていた。

水は1滴を落としてそれが川に入ると、それが前の水を追い抜いたりはできないだろう。でも、川の水は1本の紐みたいな感じで繋がっているわけではない。水道から出る水だって、出る時間が少しずつ違うのが集まって出ているわけだけど、、1秒後に出た水が1秒前に出た水を追い抜くことはできないだろうから、タイムスリップはできないな。

僕は、今、タイムスリップをしているんだ。

亮太に追いついた。

「はぁはぁ、、、追いついたぞ~~ 7時45分に!!」
亮太の肩を掴んで言った。

「おっ! 京助、何言ってだ??」
「よく間に合ったな!!おはよ!」
亮太が振り返って言った。

つづく。