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妄想アマガエル日記(63)-6月30日(日)曇り時々雨

「あっ、日出夫ごめんよ。こんなに長い間 頭の上に乗っていて。。」
与助はそう言って、日出夫の背中からスルスルと地面に降りた。

すると、そこには初めて見るアカハライモリがこちらを見ていた。

「はじめまして。俺は与助っていうんだ。あなたは、、確か、、あっ、真矢さんだったね。」
「そうそう!日出夫からさっき聞いたんだった。」
与助がニコニコしながら気軽に声をかけた。

真矢はその爽やかなしゃべり方や日出夫の背中をスルスルと降りてくる様を見て、さらに見惚れてしまっていた。

「ん??大丈夫かい??」
返事をしてくれない真矢を見て、与助が少し心配になって声をかけた。

それを横で見ていた花子が
「姉さん、、真矢姉さま、、どうしたんですか??」
と小声で言って、横からちょんちょん指でさした。

「はっ!!!なんでもございませんわ♡」
「考え事をしていまして、、、すみません。。」
真矢が我に返って、与助と花子に少し恥ずかしそうに返事をした。

「あっ、そうなんだ。なら、よかったよ。」
「じゃ!」
与助はそう言って、銀次郎たちの方に走っていった。

その後ろ姿を真矢は、じ~と眺めていた。

「いったい、どうしちゃたんですかい??」
花子が心配になって声をかけた。

「えっ!!あたし、、与助さまに一目惚れしたみたいなのよ、、、」
真矢が恥ずかしそうに、うつむいて答えた。

「えっ!!! あの青色だけが取り柄の与助に一目惚れ???」
花子が驚いて、つい思ったことを呟いた。

「そうなのよ。。」
「さっき、日出夫ちゃん↑の頭にいた時に、あたしのことを″綺麗“とか言っていたでしょう??」
「もう、、彼も私に一目惚れしたみたいなのに、あんなにそっけない素振り見せて、、そこがまた素敵よね。。」
真矢が花子に嬉しそうに言った。

ん??与助が″綺麗“なんて言っていたかしら??
花子はさっきのことを思い出していた。
たしか、、、あの時、、、あいつは、、、真矢さんのことを、、”長い“とか、なんかそんな感じのこと言っていたように思うけど。。。??
真矢さんのことを”長い″とは失礼な!!と内心思っていたから、その時の記憶に関しては自信があった。

「ね~~、見た?」
「さっきの、与助さまの私に対する心配の仕方。。そんなにあたしに関心あるのかしらね~??」
真矢がその時のことをうっとりと思い出していた。

ん??心配の仕方、、、??
花子はまたさっきのことを思い出していた。
たしか、、、あの時、、、あいつが、、真矢さんに自己紹介をして、、真矢さんの返事を待っていたけど、真矢さんが答えないのを見て心配していただけだったと思うけど。。。??
真矢さんに気軽に話しかけるなんて失礼な!!と内心思っていたから、その時の記憶に関しても自信があった。

「まったく、、、彼ったら、、あんなに無邪気に彼らと遊んで、、」
「ほらっ、またチラっとあたしのことを見たわ!!」
「かわいい~」
真矢がうっとりした顔で花子に言った。

ん??
今のはただ、銀次郎たちがかけた水をよけるためにこちらを向いただけだと思うけど、、??

そして、花子は真矢を横目で見ながら思った。
なるほど、、、この人のこの艶っぽさは、この異常に高い自己肯定からにじみ出てくるものなのかもしれないわ。
私にこの人みたいな艶っぽさが出るのは、無理そうね。

つづく。